(二)-12

 長田たちは成果なく手ぶらのまま、午後二時頃に署に戻ってきた。戻ると、目黒支店に向かった捜査員も戻ってきていた。伊賀屋の不正案件については教えてもらえなかったが、伊賀屋が担当した案件については教えてもらえたようだった。

 そのため、長田たちは戻ってきてすぐに署を出ることになった。伊賀屋が受け持っていた融資先のいくつかの担当になり、事情聴取に行くことになったのだ。

 その融資先に二軒は目黒区内の小規模な印刷工場と飲食店であった。両方とも銀行にとって優良顧客で、返済の遅滞などなかった。そのせいか、返済にあたって伊賀屋などから嫌がらせなどを受けたことなどないとのことだった。


(続く)

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