第104話 レベル10と極スキル

 ダークドラゴンを初めて倒した日。


 宴会をする予定だが、まずその前に現状の確認を優先させる。


 戦争が目の前まで迫っていて、喜ぶのはあとでも出来るからだ。


 それと、俺のサブ職能もレベル10を迎えた。


 俺以外のメンバーのサブ職能はレベル9以上は上がらない。


 しかし、俺はサブ職能がメインとなる為なのか、不思議とレベル10まで上げられた。


 レベル10に到達すると、まずステータスが底上げされるのは言うまでもない。


 レベル9に比べて数段強くなり、不思議な強者のオーラを感じられるようになる。


 そして、最も目玉である最終スキルが獲得出来る。


 レベル10で覚えるスキルは、人それぞれが違うスキルを獲得出来ると言われていて、スキル『○○』みたいな感じではなく、スキル『軍神の頭脳を待つ者』とか、スキル『叡智を手に入れし者』とかのように、抽象的な言葉で表記されたスキルが獲得出来る。


 その文言で能力を読み取る事が出来るが、上記の『軍神の頭脳を持つ者』の場合、思考能力が二倍上昇し、思考速度が二倍上昇する。――――である。


 因みに、このスキルはミリシャさんのスキルだ。


 ミリシャさんにぴったりなスキルなのもあって、恐らくレベル10で手に入るスキルはその人を表すかのようなスキルだと予想される。


 こういったスキルを、通称『極スキル』と呼んでいる。



 俺のスキルはと言うと――――何も貰えなかった。


 そもそもサブ職能なのもあるし、スキルは獲得出来なかったけど、ステータスの底上げが出来たので、良しとするしかない。


 多分、転職士をレベル10にしないと、俺のスキルは手に入らないのだろう。


 話を戻して、俺以外のメンバー全員が極スキルを獲得できた。


 メンバー全員から、自分の極スキルの説明を聞いた。



 フィリア『剣神と謳われし伝説』。剣に関する全てのスキルの数倍上昇。剣に関する職能のステータスの数倍上昇。(数倍は剣を極めた分だけ上昇する、最大十倍)


 カール『氷冷を灯し者』。氷属性魔法や氷属性スキルの威力を二倍にし、詠唱や消費を半減する。


 アムダ『強靭を持つ者』。力のステータスが二倍上昇する。


 イロラ『幻影を持つ者』。盗賊系攻撃スキルを使用時、幻影の分が継続して攻撃を与える。効果は実体と同等。幻影は最大三体。


 ミリシャ『軍神の頭脳を持つ者』。思考能力と思考速度が二倍上昇する。


 カシア『獣神の心を灯し伝説』。獣王の本来の力を取り戻す。(獣王の全てが三倍上昇する)


 ルリ『神速の暗殺を極めし者』。暗殺攻撃スキルの効果が全て三倍上昇する。


 ルナ『暗黒に隠れし者』。隠密スキルの効果が全て三倍上昇し、『影同化』が『影融合』に進化する。


 シヤ『絆の箱を繋ぐ者』。スキル『アイテムボックス』が『異空間アイテムボックス』に進化し、絆のスキルを繋いだ相手と共有出来るようになる。



 以上が、みんなが覚えた極スキルだ。


 他にも肆式のメンバー全員がそれぞれ極スキルを手に入れた。


 こう見ると本当にを感じる。


 例えば、この中で単純に最も強い極スキルを選ぶというなら、間違いなくフィリアとカシアさんのスキルだ。


 もはやフィリアを越えられる極スキルって想像もつかない。



 メンバーの極スキルを聞いた後は、肆式全員の極スキルをミリシャさんが一人で聞いて記憶するみたい。


 思考能力が上昇し過ぎて、簡単だそう。


 みんなの報告も念話で複数人が話しても全部理解出来たらしくて、すぐに宴会を始めて、ここにはいないメンバーも宴会を開いて、本日のダークドラゴンを倒した祝いを行った。


 祝い中に、ダークドラゴンの残骸素材を急いでレボル街に送ってくれと鍛冶屋のガイアさんから急かされたから、早速シヤさんの力で『アイテムボックス』を利用し、送ってあげた。



 こうして、『銀朱の蒼穹』の準備も終わりを迎え、二週間でダークドラゴンを素材を使い、肆式用の武器を作ってくれたガイアさんのおかげで、肆式のみんなも更なる強さを手に入れた。


 実はとある理由もあって、ハレイン様ではなく、王国の味方をする事にした。


 ダークドラゴンの装備が完成する間、俺達は両陣営を調査を行ったり、王国との話し合いも進めて、ハレイン様との戦いの報酬は、グレイストール領を貰う事となった。


 帝国と面しているのもあって、意外と簡単に承諾してくれた。


 王国としても今は報酬よりも、ミルダン王国も攻めてくる事を加味すればこその判断だと思われる。


 ハレイン様からは『シュベスタ』を通じて、応援を頼まれたので、ここも利用する事にして、良い返事を返しておいた。


 ――――まさかこっちが裏切り者だとは思わないだろう。


 しかし、に裏切ったのは、ハレイン様だからね。


 この戦いの後、レボルシオン領と『銀朱の蒼穹』を『シュルト』に売るとは思わなかったからだ。



 そして、数日が経過し、遂にハレイン様とミルダン王国は、ゼラリオン王国に宣戦布告を行い、即日侵攻が始まった。

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