失った者達

010「無意識デストラクション」


私達が普段生きているこの地球ほしは、とても

美しくて、汚くて、壮大で、ちっぽけで、

奇跡的で、偶然的なもの。


でも私達は、そんな奇跡に甘えてばかり。


木を切り倒し、山を削り、地面を抉り、

透明な廃棄物でこの地球ほしを埋めてる。


私達が滅びるまで、後1時間。


残ったのは、私と彼だけ。


放射能で私達の身体は朽ちて行く……


今、意識を手放すには惜しい……


夕焼けが私達を眠りへと誘う。


〔もう、頑張らなくて良いんだよ?〕


貴方を忘れる事なんて出来ない……


ダメ……意識が消える……死にたくない……

諦めたくない……


〔君は十分頑張ったじゃないか……〕


貴方が生きた証を、私は忘れたく無いの……


〔僕の為に、君の命を削らないでくれ……〕


嫌……貴方に助けられたから……私は……

ここまで生きて来れたの……だから……

そんな事言わないで……


〔もう、良いんだ……だから今は……〕


そう……わかった……おやすみ。


そう言って私は目を閉じた。


私には、未練と、不屈と、絶望と、希望が

心を埋めていた。


どうしてこうなったかは分からない……ただ私には、生まれた時から薄汚れた大地と、

青緑の空と、黒い雲があった……それだけ。


50○○年4月1日午後6時23分、人類は自身の能力に溺れ、滅びた。

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