第9話
その時、激しい稲光が墓地を覆った。周囲のお墓が急に揺れ出し、にゅっと空へ伸びていった。
「え?! な、何これ?!」
周りはまるでお墓でできた迷路になった。
「お父さん! お母さん!」
必死に両親を呼ぶが、返事は帰ってこない。
おしゃべりな髑髏が私の左肩に現れた。
ずっしりとした感触を感じた。
「さあ、ここからスタートだ! みーぎ、ひだり、みーぎ、ひだり……」
「……」
私はこの不可解な現象を気にせずに、ひたすらおしゃべりな髑髏の言うことの逆の道を歩いた。早く、早く、お父さんとお母さんを探さなきゃ!
「ほれほれ、みーぎ、ひだり。みーぎ、ひだり。そっちは反対だよーー」
小雨で少し肌寒く。徐々に薄暗くなる視界の先にはお寺の灯籠が見えた。
「ひゃははははーーー、ゴールはまじか。みーぎ、ひだり。みーぎ、ひだり」
延々とした迷路となった墓地を抜けると、両親はこちらを見つめていた。
「やっぱり、何だか不思議だと思っていたわ」
「利絵。後ろを見てみな。おじいちゃんだよ」
私は後ろを振り向くと、数年前に亡くなったおじいちゃんが派手な着物姿で佇んでいた。こちらにニッコリ笑っている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます