本当は死にたくない君へ
@non00987
泣けなかったら死んでもいいよ
今日僕は死ぬ、理由はちっぽけだ僕は誰の特別でもない、僕がいなくても誰も困らない、この世に必要ないからだ。
「これで終わりだ」
僕は大嫌いな学校の屋上に立っていた。
「ねぇ?坊や?」
突然後ろから女性の声がして危うく足を踏み外すとこだった。
「だ、大丈夫かい?」
「なんですか」
「ん? なにって」
「僕はもう死ぬんです」
「死ぬ......か......本気?」
正直本気かどうかなんて自分にもわからない。
「本気ですよ、今ここから飛び降りるとこです」
「うん! わかった、じゃあ? 行こ!」
「え?」
そう言って彼女は僕を無理やり引き摺り下ろした。
「ねぇ? 坊や! 遊び行こ!」
彼女は僕を無理やり引っ張って学校を出た。
「どこに......」
「ついてきて!」
彼女は僕を引き連れ近くの誰もいない駅に着いた、そしてタイミングよく来た電車に僕を無理やり押し込み電車は霧のかかる方に出発した、電車が霧に飲まれると突然目の前がぼんやりしてきて自然に意識を失った。
「ついたよ!」
「......」
「あれ?ボウリング嫌いだった」
「あの......僕死にたいんです」
「いいよ死んで、ただし今日泣かなかったらね」
「いや、だから」
「いいでしょ! どうせ死ねんだから1日ぐらい」
「わかりました」
僕は素直に従った、彼女の言う通りだ、どうせ死ぬんだから1日ぐらいいいそれに彼女の言った条件だって構わない、だって僕はもう泣けないから。
中に入ると僕たちを迎えるようにニ人待っていた。
「遅い〜」
「ごめんごめん」
「その子が?」
「そ! この子」
「よろしく!」
突然二人のうち一人が手を差し出してきた。
「......」
「ん?」
「まだ、ちょっと」
彼女は何故か申し訳そうだった。
「さぁ! 行こ!」
彼女は僕に無理やり靴を履かせ玉を持たせた。
「重いです......」
「それを投げるんだよ?」
「こうですか?」
僕は手に持った玉を宙に放り投げたゴン!! 僕の足元に落ちた玉は木の床に穴を開けるんじゃないかと言うくらい大きな音を立てて転がった。
「だ、大丈夫?! 怪我ない?!」
すかさず駆け寄ってくる彼女と他の二人はとても楽しそうに笑っていた。
「ごめんね、まずはお手本見せるのが先だったね」
そう言って彼女はさっき僕が投げた玉を正面の長い道に投げ込んだ。
「ここからこの玉を転がしてあの奥にある白いのを倒すんだよ?さっきみたいにやると足に当たって怪我しちゃうから気おつけてね?」
「なるほど......これ楽しいんですか?」
「まぁまぁやってるうちに楽しくなるよ!」
しばらく投げていると彼女が白いのを全部倒した。
「イエーーイ!」
彼女は振り向くとみんなにハイタッチをしだした、そして僕の前に来て彼女は手を広げた。
「ん?」
「ハイタッチだよ! はい!」
彼女は無理やり僕の手にタッチした。
「さぁ次は坊やの番」
そうしてしばらく時間が過ぎた頃何かの偶然で僕が投げ玉が白いのを全て倒した。
「やったね!!!」
彼女は僕を押し倒す勢いで抱きしめにきた。
「おめでとう!!!」
他のみんなも笑顔でハイタッチしにきた、なんだろうこれは嬉しいのかな? わからなかった、それからというもの僕や他の誰かが全部倒すことはなくボウリングは終わった。
「いや〜ボウリング難しかったね〜」
「久々にボウリングしたから鈍ってたな〜」
「でも気持ちよかったね!」
「ねぇ坊や? 楽しかった?」
正直よくわからなっかった、でも人が笑っているのを見るとこっちもいい気分になった。
「わかりません......」
「よかった」
僕には彼女の言葉がよくわからなかった。
「さぁ! 次はカラオケ行くよ!」
ボウリングだけで終わると思っていたから彼女のその言葉に動揺したしかし彼女は、僕の動揺など気にしないで彼女は無理やり個室に入った。
「さぁ!」
そして彼女は僕の目の前にマイクを置いた。
「歌って歌って!」
そんな無茶を歌なんてここ何年も聞いてない、僕は小さい頃見ていたアニメの曲を入れた。
「懐かしい〜」
「私これ好きだった!」
そしてなんとか歌い切った。
「坊や歌うまいね!」
「そ、そんな......」
「だってほら」
モニターには九十点と出ていた。
「すごい! すごい!」
なんだかこれだけ褒められると悪い気はしなかった、それから他の人歌い出した。
「坊やほら! これ持って」
彼女はタンバリンを僕に渡した。
「ほら、ふって!」
よくわからなかったがリズムに合わせて振ることにした、そから僕は無我夢中にタンバリンを振ることに専念した、部屋を出る頃にはみんなお腹すいたとぼやいていた。
「カラオケ楽しかった?」
正直自分が少しずつ自分が楽しんでいるのだと気ずいた、僕が静かに頷くと彼女はとても嬉しそうに笑った。
「ご飯だべよー!」
そうしてしばらく歩くと沢山のお店が並んでいる広間についた。
「坊やは何食べたい?」
「わかんないです」
「え〜なんかない? ラーメンとかチャーハンとか!」
「中華ばっかじゃん! うどんとかハンバーグとかどう?」
「坊やもしかしてあんまりお腹空いてない?」
僕はまた静かに頷いた。
「そっか! じゃ私と半分腰しよ!」
「オムライスは好き?」
僕はまた頷くだけだった、それから彼女はみんながいかにもお腹にきそうな食べ物を運ぶ横でオムライスを運んできた。
「お待たせ! さぁ食べよ!」
「......」
「あ! スプーン一個しかない! 待ってて私もらってくる!」
僕は咄嗟に彼女の袖を掴んだ。
「このままで! いい......です......」
何故自分がこんなことを言ったかわからなかった。
「そっか、じゃ食べよいただきます!」
「いただきます」
「じゃあ坊や、はい! あーん」
彼女はスプーンに一口サイズに乗せたオムライスを僕に向けた、これ食べるんだよな? 僕は口を開けて噛みついた。
「どう? 美味しい?」
「美味しい」
「そっか! よかった」
そうして僕たちは綺麗に半分ずつ分け合って食べ切った、何故か他の二人は自分のご飯に全く手をつけず僕たちを見続けていて恥ずかしかった。
「さぁ! 次はゲームセンター行こ!」
まだ行くのか、きっと彼女に出会ったばかりの僕ならそう思ったのかもしれない,でも今の僕は次に彼女が吐き出す言葉に興味津々だった。彼女は僕を引きずって連れ出した、ゲームセンターに入ると途端今まで聞いたことないくらいの音が押し寄せてきた。
「ゲームセンター苦手じゃない大丈夫?」
「苦手じゃないです、なんかこの感じ懐かしくて落ち着きます」
「よかった! じゃまずこれやろ!」
「え〜これ〜?」
「ゲーセン来たら最初はこれだよ! 絶対!」
彼女が指差したゲームはエアーホッケーのゲームだ、あの頃から何も変わっていなかった。
「しょうがないなーやるか!」
そうして彼女と僕は同じチームになった。
「勝つよ!」
「は、はい」
二人で意気込んでいるとゲーム機から薄いパックが出てきた、その瞬間彼らの目が変わった、目にも留まらぬ速さで弾き出されたパックは僕の手の横をものすごいスピードで消え去った。
「惜しーい! 次は取れるよ!」
そして彼女も負けじとものすごい勢いで弾く、足手まといになるわけにはいかない、僕は必死で打ち返した、そうして四人の激戦が終わると得点板は僕たちの勝利を讃えていた。
「坊や、やったよ!」
彼女はすかさずハイタッチをしてきた、今回はちゃんと返せた。
「次はあれ行こー!」
彼女は四人でできるレースゲームに引っ張っていった。
「これ私うまいんだ〜」
「負けないよ!」
「俺だって負けねえよ」
「さぁ座って」
僕は少し感激していた、あの頃いつかやってみたいと思っていたゲームに今仲間と一緒に座ってる。
「坊やは得意?」
「初めてです」
「ふふ! 負けないよ!」
こうしてレースが始まった、あれだけ言ってた通りやはり彼女は上手かった、しかしよくできたゲームだなんだかんだ終盤までみんな接戦をしている、そして最後のアイテムを取ると僕のハンドルの真ん中が青く光り彼女のカートをロックオンしていた、僕は反射神経でつい押した、結果そのダメージで彼女はゴール目前で四位になりゴールした。
「ん!!!!悔しいい!!!もう一回!もう一回!」
「わかったわかったから席に立つな〜」
「坊や! 次は絶対勝つからね!」
「は、はい」
こんな顔の彼女初めて見た、なんだか怒っているようで違うような気もした、そうして次のレースは彼女は意気込み通りほぼ完璧に走り切って一位をとった。
「満足か〜」
「うん! 最高!」
「さぁ! 次行こ!」
次はプリクラらしい、一生入ることはないと思っていたのでなんだか緊張してきた。
「ほらみんな入って!」
「私プリクラ久しぶり〜」
「俺なんてもう何年も入ってないや〜」
「坊やは?」
「初めてです」
「やった! 初プリクラだ!」
そうしてるうちに撮影タイムに入った。
「さぁ笑って!」
ハイチーズ!
「こーらー坊や笑ってない! もっとこうこう!
彼女は無理やり僕のほっぺを押し上げた。
「二枚目行くよー」
ハイチーズ! いいよよく撮れてる!それから加工の時間になった。
「へープリクラってこんなに色々できんだ」
「久々にくると変わってるなー」
「坊や? どうしたい?」
「ど、どうって?」
「え〜とねーほら! ほら!」
「す、すごいぞ今のプリクラはこんなこともできるのか」
「俺達先行こうか」
「え?」
「こっからは女子の時間」
なるほどそうなのか、僕は彼に連れられ太鼓のゲームの列に並んだ。
「なぁ? あいつのことどう思う?」
「あいつ?......え? ......彼女のこと?」
「そうだよあいつ、どう? 好き?」
す、好き!!?? ......正直この気持ちがわからないただ僕は彼女のことが気になった仕方がなっかた。
「べ、別にそんなんじゃないです」
「ほーん」
「でもかわいいとは思います」
「ふ、だよなかわいいよなあいつほんとに勿体無い」
「そうです僕には勿体無いくらいかわいいと思います」
「......かもな」
彼の笑顔の奥に何か違うものを感じた。
「お待たせ〜はい! プリクラ!」
ん?
「あー! 見ちゃダメ!」
「え?」
「おうち帰るまではダメ! ね?」
「う? うん」
僕は財布のお札いれに大切にしまった。
「ほら! 開いたしやろ!」
それから二人ペアに分かれて太鼓のリズムゲームをした。
「坊や? リズムゲームって知ってる?」
「見たことだけ」
「ふーん、なら勝ったな!」
「ま、負けませんよ?」
「え? とりあえずさっき坊やが歌った曲選ぼ」
こうして聞き馴染みのある曲に乗せて見慣れたあの画面をプレイした。
「もぉ〜君初めてって嘘じゃん!」
我ながらよくできたな~なんて思っていると彼女が泣きついてきた。
「あはははぁ、いやその昔親に連れられてよく来てたので見たことだけならあったんですよね」
「うま過ぎて勝てない〜」
「あはははぁ」
「もぉ! 次行くよ次!」
そして彼女はクレーンゲームの前に着いた。
「ねぇ? 坊や?」
「は、はい......」
「こーれ! さっきからずっと気になってたんだよね?」
彼女は僕がずっと目の端で見ていたぬいぐるみに指を刺していた、何故バレた...。
「取ってあげようか? 私すっごくうまいよこれ」
「う......」
正直こんな子供向けのぬいぐるみをタダで取ってなんてとても言えない。
「とれたらお願い聞いてよそれでフェアだよ?」
「お、お願いします」
「任せて!」
彼女は手慣れたようにあっという間に景品を落とした。
「はい! 坊や!」
「ありがとうございます」
「それじゃあ、お願い事聞いてね?」
ギク!
「は、はい!」
「お姉ちゃん!って呼んで!」
一体何を言っているのやら、しかし...。
「お、お姉ちゃん......?」
「坊や!!」
彼女は咄嗟に抱きついてきた。
「ありがとう!」
「これでいいのかー」
「いいのよあの子はあれが幸せなんたがら」
「これからもお姉ちゃんって呼んでもいいんだよ?!」
「辞めときます」
「え~~」
彼女は不服そうにほほを膨らませた。
「さぁ次は! ......て」
ん? なんだ?
「もう」
「もうそんなか」
「ごめんね坊やもう日が暮れちゃいそうだから帰ろっか」
「え! そんな.....」
この時間がずっとつずいてほしい、そう心の底で願っていたから彼女のその言葉に悲しくなった。下を向いてただ彼女についていくとそこは周りに一面田んぼが広がっている無人駅だった。
「わぁー駅貸切じゃん!」
「なんかエモいね」
駅に差し込む夕日の光で照らされているみんなを見ていた僕の瞳から途端に雫が零れた。
「坊や? よっかたね」
彼女は何もかも知ったように僕を抱きしめてくれた。
「僕は......泣いてる......」
「やっと泣けたね坊や」
途端駅の隣の踏切が鳴り遮断器が下りた。
「ねぇ君?これからくる電車に私と彼は乗って君と彼女は乗らないんだよ」
「え?」
「だからここでお別れ、短い間だったけど楽しかったよ!ありがとう」
「お別れ?なんで?」
「今はまだ言えないよ、いつかわかるから、またいつかきっと私達は再会できると思うからさ、それまでに大きくなってね?そんで今度また一緒にボウリングしようよ!待ってるね!」
「え?ちょっ」
「次俺の番か、なぁ坊主今日楽しかったか?俺はお前と一緒で楽しかったぞ、また会う時には大きくなって強い大人になってこいよ、まだやってないゲームいっぱいあるんだからよ!じゃあな!また会う時はちゃんと握手してくれよなそれまでお預けだ!」
二人はそう言うと右から来た電車に乗り込んだ。
「行かないで! バイバイなんかしたくない」
追いかけようとする僕を彼女は必死に止めた、電車の扉が閉まり発車した。
「さぁ行こうか坊や」
彼女はあの電車の後すぐにきた逆向きの電車に僕を乗せた、彼女は僕が泣き止むんでただ抱きしめていてくれた。
「なんで分かれなきゃいけなかったんですか」
「あっちはまだ私達が行くとこじゃないの、大丈夫いつかきっと会えるよ」
彼女は泣きじゃくる僕をさすってくれていた、そして僕たちを乗せた電車も霧がかかる方に発車した、そして今朝のように自然と意識を失った。
「坊や? ついたよ」
目を覚ますと朝と同じ風景だった。
「おかえり坊や」
「戻ってきた?」
「それで坊や? 約束ダメだったね?」
「泣いたらダメ......」
「どう残念?」
「残念なんかじゃないですよ、だって僕は泣けたんだから、それに大切な思い出が沢山できました」
「そっか、よかった」
「だからもう死なないです! だって僕は約束したから大きくて強い大人になるって!」
「そっか、本当によかった、それじゃ私ともバイバイだ」
「え? 嘘......」
「大丈夫一生バイバイじゃないよ、坊やに私が必要になったらまた会えるからさ?」
「それっていったい」
「今の君には私はいらないよ、もう君は前に進める、自分の特別を見つけられるようになってるから、だから大丈夫」
「お姉ちゃん......」
こう呼んだらまだ彼女は僕のそばにいてくれる気がした。
「行って!君の新しい未来に!」
彼女はそう言って僕の背中を押した、扉を抜けるとそこは僕の部屋だった、慌てて振り向いてももうそこは屋上じゃない。
「ご飯できたわよーー」
下から聞こえるは母親の声
「特別ってのは案外身近なとこに転がってるんだよ!」
ふと彼女の声がした、あ! そうだ僕は徐に財布を取り出し御札入れを見た。
「ある」
そう確かにそこには残っているあの日のことが全て現実であることを証明するプリクラがそれに彼女がくれた大好きなぬいぐるみもある、そのプリクラには僕の特別な仲間たちと彼女の文字が書いてあった。
「こんなの告白じゃんか」
全く......
「ありがとうみんな」
さぁ行こう身近な特別を探すんだ、僕はリビングへの階段を降りた。
あれから六年の月日が経ち僕は社会人になっていた、就活は成功したものの会社の人間関係や、成績不良により毎日上司に怒られてばかりの日々を過ごしていた。
「僕は大きくなっただけでちっとも強くなれなかったよ、もう疲れたよ、辞めたいこんな人生全部、もうやめよう」
「「さぁこれで終わりだ」」
気づいたら僕は会社の屋上の端に立っていた。
「ねぇ?坊や!」
背後から聞こえる声は六年前と変わらなかった。
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