第11章『暗躍者《クリープス》』

第1話 悲劇の始まり

 その日の放課後、いつも通り白樺先輩と家路につくと、見慣れないリムジン? が僕たちの横に着いた。


 リムジンの後部座席から降りて来たのは、白樺先輩の執事、赤松さんだった。


「赤松! あれほど迎えの必要は無い……と言っているのに」と、白樺先輩が不機嫌に言った。


 赤松さんは白樺先輩に深々と頭を下げつつ……


「お咎めは、後刻、如何様いかようにもお申し付け下さいませ。 しかしながら今回は緊急事態にて……」


 あれっ? 後部座席に、狭間さんが乗っていた! ハンカチで顔を抑えている。


 さすがの白樺先輩も尋常では無い状況に驚いているようで


「何が起きたかを話しなさい! 今すぐ!」……と厳しい声で言った。


「はい……。 先程、広井様が……身罷みまかられて……御座います……」


 ……赤井さんの声は震えていた。


「……!」 ……と、白樺先輩は両目を見開き口を抑えて立ちすくんでしまった。


「……お嬢様……詳しい事は車内で……」


 僕はスマホで『ミマカる』……と検索した。



 ……え……


 死んだ……?


 あの広井さんが……死んだ!?

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