第10章 新たなる力

第1話 今回の主題を考えている時に、ネットで『果たし状』を画像検索したら、笑えるものばかりで『平和だな~』と思ってしまった。

 ナメくんが見上げている机の上には、かすかだが『光る点』がたくさん浮かんでいる!?


 ……カーテンを閉めたままなので部屋が薄暗く、やっと見えているが、いつものようにカーテンを全開にしていたら、明る過ぎて見えなかっただろう。


 それは小さい輝きだが、紛れもなく『夜空に輝く星』そのものだった。


 突くと『光る点』はその方向にゆっくりと進んだ。


 ……更に「消えろ」と言うと、跡形もなく消滅してしまった。


 これって、さっき僕が机に書いた『星』?


 僕は椅子に座り直し、もう一度机に一筆書きの星を描いた。


 すると、その中心に、小さな光点が現れ、ゆっくりと浮かび上がった!


「ナメくん! これ、ナメくんがやったの?」

と聴くと、ナメくんは首を横に振った。


 じゃあ、これは……僕のちから? 或いは、ナメくんが近くにいるから起きている事なのか……?


 まあ、どちらでも良い。 僕が机に描いた物が『実体化』した事に間違いは無さそうだ。


 ……これは、試してみる価値がある!


 次に僕は、机の上に『♡』を描いてみた。 ……すると……


 風船のような赤い♡の形をした物が現れ、ふわふわと浮かび上がった!


 凄い! 凄い、凄い、凄い! ……のか?


 とにかく、普通じゃ無い事が起きている事だけは確かだ!


 僕は、一日中、思い付く限りの物を描き、試してみた!



 その日、夜まで充分に時間をかけて調べてみて、やっと判った事がある。


 ナメくんとのコラボ『コンペイト』と、今回の『ちから』を使う事で、僕が理想とする『完璧』な人生を送れるかどうかは、正直、いまだに判らない。


 ……それはそうだ。


 僕はまだ高校生……まだまだ学ばなければならない事がたくさん有り過ぎるからね。


 ……でも、少なくとも今の時点で『暗躍者クリープスあらがえる可能性が出て来た! そして、白樺先輩や狭間さんを護ってあげられるかも知れない事も判った!


 僕には……まだ、希望がある!


 ……そう思ったら、熱いうれし涙が頬を伝った。


 おっと、まずい! またナメくんが僕の涙を拭こうとして溶けちゃう!


 ナメくんに気付かれる前に、僕はパジャマの袖で涙をふき取り、制服に着替えた。


 そして、レポート用紙にある文章を書いて、封筒に入れ、封筒に筆ペンで大きく、こうしるした。


 『 果 た し 状 』

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