第8章 プレゼント

第1話 私(作者)はシャイだったので恋人が居ても一緒に登校するなんて出来なかったけど、最近の若いもんはどうなんだろう?

 ……あれからしばらく経つが、大きな変化は無く、僕たちは今まで通りの生活をしていた。


 まあ『大きな変化』は無いが、それなりに『小さな変化』はあったんだけどね……。


 まず……


 なんと! 狭間さんが、僕たちのクラスメイトになったんだ!


 高校2年で、しかも中途半端な時期での転校にもかかわらず、我が校は公立なので『母親の転勤』って事で転校出来たと言っていた。 ……狭間さんの転入の真意は判らないけど、きっと何か考えがあっての事だろう。


 まあ、僕にとっては以前と変わらない風景なので『大きな変化』とは言えない。


 もう一つの変化は、白樺しらかば 嶺亜れいあ先輩が、登校時、迎えに来るようになった事だ。


「『変革者イノーヴァー』である僕を護る」……と言う大義名分があるので、僕も文句は言えない……のだが、白樺先輩は部活の早練があるので、いつもより1時間以上早く起きなくてはならない。


「『暗躍者クリープス』が攻めて来ても、ナメくんがいるから大丈夫ですよ……」と言ったのだが「輪音を護るのは私の義務!」と、がんとして聞く耳を持たない。


 普通は、に合わせるのが筋ってものじゃ無い? ……なんて、後輩の僕が言える訳も無く、毎日、眠い目をこすりながら家を出ている。


 ……こう言うのを『押しかけ女房』って言うのかね? (←違うか?)


 でも、白樺先輩がニコニコしているのを見るのは、僕も嫌いじゃ無い。 ……何せ、白樺先輩が怪我ひとつ無く、また『先輩』『後輩』に戻れたんだから、それだけで満足だ。


 あっ……そう言えば、この前、白樺先輩が……


「……輪音りんね……私、君を『大好き』って言っちゃったんだけど……それ……忘れて! お願い!」


 ……って、真っ赤になって言ってたっけ。 あれ……何だったんだろ? (←鈍感)



 校門を入ってすぐ、白樺さんと別れて教室の向かう。 ……当然、狭間さんは、既に席に座っていた。


「おはよう」と挨拶を交わし、自分の席につこうとしたが、ここで僕は、ふと疑問に思った事を狭間さんに聴く為、狭間さんに近付いた。


「狭間さん……」


「……?」 狭間さんは、読んでいた本をパタンと閉め、僕の顔を見た。


「もしかして、僕がこんなに早く来なければ、狭間さんはもう少しゆっくり登校出来るの?」……と聴くと、狭間さんは首を横に振って……


「……少し前まで『暗躍者クリープス』は『間接』のみだったから余裕があったんだけど、奴ら『直接』に打って出たでしょ? だから……」……と言いながら、自分の眼鏡を外し、貸してくれた。


 ……僕が伊達眼鏡を外して、借りた眼鏡をかけた途端……想像を絶した世界が拡がった!


 ……ここ……どこ……!?

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