MISSING YOU.
Kohr.435円
MissingYou Xmas. 上
人々は鳥兜のケダモノに飲みこまれ、まるで
ファベーラは水辺近くの最大貧困街だ。
私はジョアナ、7歳。
元々ブラジリアで高級住宅街に住んでいた。ママは民族学者でパパは不動産屋経営をしていた。
2人は同じ大学出会い、結婚。不動産屋はこの時は安定していて、景気がよかった。それゆえこんなよくある家賃の高い物件に住み、私もそれなりの暮らし、学校に通っていた。だけどある日、パパの不動産屋の経営が厳しくなった。それはお客さんの部屋探しがぱたりと来なくなった。高級住宅街ばかり扱っていたので、収入が低い人は中々手が出せない。それにこの国は裕福な人はホンのひと握りだ。パパはブラジリアンマフィアに手を出した。どうやらマフィアからお金を借りたようだ。経営はあまり上手くいかず、お金は返せない。次第にマフィア達が不動産屋に来たり、しまいには家にまで来ることもあった。おっかない人達が来てた時、私は、小さな収納スペースに入って、丸まって怯えていた。マフィア達はパパに大声で罵倒していた。
パパは、罵り、何も言えない。言えるのは待ってくれの一点張り。そんな日常が続き1年後、マフィアのボスは堪忍袋の緒が切れる。その日、ママは姿を消した。行方は知らない、マフィアに連れていかれたのか、ただ単に恐れて私を置いて逃げたのか、それはパパしか知らない。私は、いつものようにあの狭い押し入れのような場所で丸まっていた。すると、急に扉が開いた。隙間から部屋の電気の光が見え、次第に私の全てが見えるまで扉は開いた。顔をあげパパと言おうとした瞬間、パパじゃなかった。そこにいたのは知らない男たちだった。
おっと? ここにいたのかお嬢ちゃん。
おじさん誰? パパは?
パパは大丈夫だよ、ほらおいで。あとお兄さんな。
大丈夫なの? どこにいるの?
すぐに会えるさ。
そのおじさんは、笑いながら話した。でも怖かった。笑ってるけど目は笑ってなかった。その人は見た目は長髪で、髭が濃くて目が細い。悪役みたいな顔をしている。その男は手を差し伸べた。でも怖くて、体が動かなくて手と手をギュッと握っていた。
すると、少し時間経つと痺れを切らしたのか男は急に顔色を変え私の頬を引っ張叩いた。
きゃあぁぁ! いたい!!
てめえ! 調子乗んなよ! クソガキが! こっちが下手にでりゃああよ!!ナメてんのか!?あぁ! さっさとこいよ!
右頬がジンジンして紅くなっている。泣きそうになり、そのまま立ち上がれなかった。そこに別の男がやってきた。その男は他の人や目の前の男よりも身なりがしっかりしていた。恐らく、上の人だ。
震える私をみて、上の人は先程私を叩いた男を思いっきり殴った。右拳は男の顔面をぶち破った。男は顔をおさえ、悶え苦しんでいる。そこにこう言った。
おいてめえ!泣かせてんじゃねえよ、この娘は丁重に扱え、殺すぞ。済まないなお嬢ちゃん、怖かったか? もう大丈夫だ、こいつは後で始末しておく、おいで。
そう言い、私を見てニコッとさせていた。なんとなく私はこの人はいい人だと思ったのがその人の所へ向かった。だが、この男は仮面を被ったピエロのような男だった。それはまだ知らない。
パパは?
パパは、いま旅行に行ってもらってる。いつか会えるよ、きっとな。
わかった……。
私はこの男に連れられ、彼らが乗ってきた車に乗った。車は黒色の長い車で見たこない大きな車で、車に乗っている運転手がなにやらスイッチを押すと車のドアが勝手に開いた。
なにこれ? 勝手に開いたよ。
自動ドアだ、スイッチを押すと勝手に開くよ。
すごい、見たことない。
君富豪だったのにかい?
こんな車はみたことないよ。
そうか、じゃあ行こうか、乗りたまえ。
私は言われるがままに車に乗った。1時間ほど走らせると海がみえた。ここまでの時間、運転手含め3人は、話さない。唯一、カーザに向かえの一言だけだった。私は海をみるのは初めてだった。パパもママも海は苦手だった。海を見るなりガラス越しに笑顔を見せていた。
うみだ〜! キレイ、初めてみた。
海は初めてなのか? 旅行かなんかで行かないのか?
だって、パパもママも海嫌ってたからいつも山なの。
全くあの男は……。
なにか言いたげだったが、言うのをやめた。私は海に夢中だった。窓は開けてくれなかったけど、それでもこの海は私にとってキラキラしていて宝石を見てるような気分だった。
眺めていると、男が声を掛けた。
おいもう降りるぞ来い。
そう、もう車は止まっていた。大きな家の目の前だった。でもどこか、物騒なところだ。周りは壊れかけたレンガの家に草かなんかで出来た家みたいなものに、周りは港町で海がある。それにこの辺の海はなんかちょっと汚くみえる。さっきまでの綺麗な海ではなくなった。
私は急に身震いした。腕をみると寒気ボロがでてきている。
ん? どうした?降りてこい。
はい……。
降りると、その家の中に入った。中は普通のレンガの部屋だった。特別、シャンデリアがあったり高そうな銅像が置いてあったりはしてない。さらに奥の部屋に入ると、大きなテーブルとイスがある。
ここだ。どこでもいい、座れ。
私は目の前のイスに座った。すると、男2人連れて戻ってくる。
さっきまで一緒にいた男だけ私挟んでイスに座る。
ここが何処かわかるか?
分からない。
ここはアカラの本拠地だ。
アカラ? なんですか? それ?
私たちの事知らないのは無理ないか。お嬢ちゃんのパパは私に借金があるんだ。
しゃっきん?
そうだ。私はこの街を仕切ってるアカラのボス、デジレ・クリストフだ。君はジョアナだな?
うん、私ジョアナ。
お嬢ちゃんは、ここで働いてもらう。
なんで?
ジョアナ、君はパパのせいでこうなったんだ。君はここで働く以外に方法はない。死んでもパパの借金が増えるだけだ。
しゃっきんってなあに?
借金は、お金を借りてることだよ。
パパお金借りてるの? なんで?
それは知らなくていいんだよ、でもねそのお金を返せなくなった。だから君はパパとママと離ればなれになった。君はパパに売られてしまったんだよ。
まだ7歳だった、言葉や状況が理解できない私はなにも言えなかった。ただ思ったのは、もうパパとママには会えないということだった。意味が分からないまま、私は別の部屋に通された。仕事は明日かららしい。その部屋は狭くてなにもない空間だった。あるのはイスと1つの布団だけだった。今日だけの部屋。着てた服は取られて白いワンピースのような服をくれて、それを着た。明日からはどうなるのかわからない。なにをされるのかもわからない。外の満月を観ながら、不安にかられ私は泣きそうになっていた。イスに座りながら、眺めていた。
これはクリスマス日での出来事だった。私は1年で1番クリスマスが大好きだった。いい日にこんな不運なことになるなんて、考えてもなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます