第3話 遺伝子操作
何時までもアソコを凝視してても仕方がないと白いパンティを履き直して捲り上げていた浅緑色のワンピースを下に降ろした。
うっ、ピタッと張り付いたちんこの感触が気持ち悪い。位置的に女性器と男性器が密着してる感じがする。これ、夢精とかしたら自分の精子で妊娠する可能性があるんじゃない? そういえば植物には自家受粉という雌しべ雄しべを持った同一個体が自分だけで子を作る仕組みがあるな。森の精である僕も同じ事が出来るような気が……。
止めよう。ニンフの中でも高位の精霊である僕が自己妊娠するのが最も効率の良い戦力強化の方法だなんて気付いちゃいけない。
ガンギマリ魔法少女が自分のクローンを量産して防衛隊を組織するのはバッドエンド扱いだったし、最期には頭が変になって死ぬ。自分から正気度を減らす事はない。
「そういえば量産型魔法少女による地球の知的生命体絶滅ルートはIF話だと思ってたけど平行世界で実際にあった事なのかな」
発狂した魔法少女に対抗する苦肉の策として他の魔法少女達も自分のクローンを作り始め、徐々に誰もが狂っていく斬新な世界線だった。
侵略に来たはずのインベーダーやデーモンすら地球を忌避して訪れなくなって、一般人諸共ミュータント全てを駆逐して尚、魔法少女のクローン同士が只管に地球で争い続けるエンディングはトラウマ物の鬱エンドとして有名だ。
魔法少女はインベーダーやデーモンという派手な侵略者と敵対してるからヒーローに見えるだけで、実は地球に潜伏してる隠れ悪の組織なんじゃないかと邪推されてたっけ。悪落ち魔法少女はウィッチ陣営なんて俗称でファンに呼ばれる事もある。バッドエンド世界のクローン達だって余所の世界や星を侵略しようとした事はないんだけどね。
そう、もしそういう世界が実在しててもプレイヤーの誰かが故意にバッドエンド世界の次元座標を見付けて干渉しない限り問題はないはずだ。
言ってて思ったけど、凄いフラグ臭いな。
「先の事ばかり考えても仕方ないか。まずは自分の箱庭を整えないと」
ヒュインと3Dビジョンを操作してステータス欄の箱庭情報を表示させた。
◆◆◆◆
箱庭名:yj502γ9-hw.xxxδtips02-33245
支配者:サルマ・フィメル
文明レベル:0
文明タイプ:原始/精霊
箱庭人口:1人
経過年月:24分
箱庭面積:10km2
魔素濃度:3000
蓄積神秘:100
保有戦力
N :0
R :0
SR :0
SSR:0
UR :0
◆◆◆◆
まだ、こっちに来てした事と言えば掲示板を見たぐらいだから完全に初期値だ。箱庭の名前さえ決めてない。
文明レベルは惑星規模のエネルギーを全て利用できるようになってようやく1レベルになるから上げられる気がしないけどね。地球の文明すらレベル0.73くらいらしいし。魔法少女大乱の銀河帝国は恒星系を利用可能なレベル2か、銀河系を利用可能なレベル3あたりだと思う。
モンスターカードは実体化させていないから人口は僕だけで、キャラクリして24分経ったのか。
箱庭の土地面積は……10平方キロメートルもある! 周囲を見回しても木々に遮られてよく分からないけど、東京23区ひとつ分くらいの広さはあるな。開拓すれば20万人近くが暮らせる程の面積だ。
う、うーん。一応、僕は森の化身みたいなものなんだけど。木々を伐採しても大丈夫なんだろうか。ちょっと不安だな。
でも森の中で野晒しで暮すのはちょっとなぁ。せめて家くらいは欲しい。
「お、おぅ!?」
金持ちが別荘に持ってるようなログハウスを想像してると周囲に生い茂っていた木々が自ら地面からすっぽ抜けて綺麗な寸法でバラバラに解体され、あっという間に建材へと変貌し始めた。そのまま空中に浮かんだ木材が独りでにビュンビュン飛び回って組み合わさり、3分くらいで想像通りのログハウスへと仕上がっていく。
「凄いな。ガラス窓は再現できなかったのか空洞だけど、屋根は綺麗な漆喰色に変色してるし内部に家具も揃ってる」
一階建てのログハウスが瞬く間に椅子やテーブル付きで想像の中から再現された。これがニンフの、森の精であり女神の力。
流石にマットレスや枕を再現するのは難しかったのかベッドは木組み部分のみだけど。足りない物は地球で何とか買い揃えよう。
「そうなると購入資金を手に入れる為に金策を考えないとな。ミュータントプレイヤーの書き込みによると現代社会は何とか存続してるみたいだし」
ヒャッハーと強盗するのはニンフじゃ不安だ。それにまだ、良心が咎めてそこまで弾けられない。
というか、地球じゃ宇宙から飛来したインベーダーの海賊商人と異世界から侵略しに来たデーモンの軍隊を撃退した魔法少女達が目を光らせてる。
4作目の地獄を覆した化物が支配してる星に割に合わないと代わりに特攻させられてるのがプレイヤーの立場なんだ。自重しないと一瞬で死ぬだろう。
ニンフは内政向きの種族なんだし、暫くは引き籠もって掲示板から情報を漁ろう。
「そうなると問題は食料かな」
伝承種族はステータスにある魔素さえ補給できればエネルギーに変えて飢え死にはしないようだけどコスパが悪い。レア度の高いモンスターほど大量の魔素を必要とするし蓄えて置いた方が良いだろう。魔法文明を支える熱エネルギーに位置するしね。余ったら魔石化して売ったりも出来る。
戦闘時の魔法威力にも密接に関わってるから魔法少女大乱の原作じゃ魔素確保の為に人間を生贄にして儀式をする程、デーモンは魔素を重視している。
ニンフの有利な種族特徴である資源++は箱庭の土地を容易く増やす事が可能ってだけじゃなく、この魔素を大量に放出している事も意味する。
つまり、ニンフを含めた精霊種は金のなる木。生きる油田な訳。そりゃ狩られる。
魔素を生存に必要としない人間と一緒に便利な奴隷として繁殖させられデーモン中に同族が出荷され続けているのが現状だ。
でも、そんな種族だからこそ、成功したらデカい。高ランクのモンスターを好きなだけ戦力化できるようになるからね。
初期の魔素濃度だってニンフじゃなかったら2000くらいだったはずだし、吸血鬼やドラゴンみたいな高位種族で始めたら1000もいかない。
戦力を意味する蓄積神秘はその逆の数値だろうけど。ドラゴンなら初期値でも500くらいはあると思う。
良いんだ。魔法少女と比べたら、どっちも雑魚だ。
「植物由来の食べ物ならニンフの力で何とかなるはず」
試しにバナナの果樹をログハウスの傍に生やしてみる。気持ち悪い程、にょきにょきっと木が早回しで育っていく。
魔素の消費も気になる量じゃない。自然回復の方が早い。これは勝ったな。
と、思ったけど何だか様子がおかしい。色合いが緑色のままで一向に黄色くならないしアボカドみたいに丸い。
バナナの実が一本の木に大量に生えてるのは嬉しいんだけど何だか不安だ。
恐る恐る緑のバナナを手に持って割ってみたら中はやたらと大きい種で一杯で可食部が少ない。
それでも念の為、種を舐めるようにバナナを口に含んではみたけれど。
「マズい」
これ、たぶんバナナの起源種だ。品種改良される前の奴。
訳が分からない。何でそんな意味不明な仕様になってるんだ。こんなのってあんまりだよ……。
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