真夜中

春を迎える人がいる世界で、


俺は、春も、夏も、秋も、冬も、へったくれもない真夜中にいる。


たった、ひとりぼっちで、、、


俺にも昔、春が訪れた。


そのまま、夏もなんのヘンテコなところもなく続くと思ってたんだ、、、


でも、途中、夏のある日、


すっと、まるで落とし穴に吸い込まれるように、


夜が訪れてしまった。


誰もいない。


誰かいると思って近寄ってみても、結局それは、ただの幻影なんだ。


最初は俺も、走って、走って、走って、夜が明けるのを待ち続けていたけれど、


大きな石に何度も何度も何度もぶつかって最後、諦めてしまったんだ。


「君の優しいところが私は好きなんだ。」まだ春だった頃、彼女に言われて、嬉しいと思った俺は、


「君は人が良すぎるから、人にそんな言いように使い捨てられるんだ。」暗闇のどこからか聞こえてくる声に心を抉られていくんだ、、、


もう、走れないんだ。


誰か助けてくれ。


『困っている人を見たら、進んで助けましょう。』


俺は小学校で習ったことをやり続けてるだけなのに!


なんで俺が助けた人はニヤニヤしながら、俺の元をさっていくんだ?


俺が苦しんで、困っているのを見ているはずなのに、、、


それともなんだ?俺が苦しんでいるように見えないのか?


ああ。


今、何時だろう


午前4時とかだったらいいな。


12時超えてなかったらどうしよう。


いや。


もういいや。なんでも。


はやく、この悪夢よ。


さめてくれ。終わってくれ、、、


俺を助け出してくれ。


それまで、俺は、寝ていよう。


人の気配がしたら、どうするかって?そんなの、、、



無視するに決まってるだろ。

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