造られた世界

ゲームプレイカウンセリング

 ここは銀河一つのテラフォーミングせずに入植可能な全ての惑星に入植をし、他の銀河の惑星に入植を始めつつ、元々版図を広げていた銀河で入植不可惑星のテラフォーミングを行っている、とある恒星間国家から銀河間国家へと至ろうとしているとある組織。

 銀河規模になり、統一組織として国家の様相を維持出来なかった組織。

 様々な知的生命種が繁栄し、知的種を生み出した組織。

 生命は生命であるが故の限界を捨て、命を捨てた知的種が増え始めた組織。

 視野を遠くに置き薄目に見れば国家に見えるが、矯めつ眇めつ眺め見れば、一つの国家としては到底見れない程の、緩やかな繋がりの国家のような組織。

 国と呼べる物は精々が恒星国家規模か、いくつかの恒星間国家規模が限界だと悟ったこの組織に属する種族達は、早々に無理矢理に国家形態という括りに囚われない緩やかな繋がりを持つべき結論へと至って行く年月。

 とある銀河の、とある星系の、とある惑星に彼はいた。

 彼は知的生命種だった。

 彼は希有な適性を保持していた。

 命という状態を維持したまま、命の限界を超えて生き続ける事が出来る適性。

 彼は不死者だった。

 発達した科学技術により発展した様々な技術。

 彼の肉体は強化された。

 肉体が劣化すれば新たに肉体を作り出し、そこに意識を移し替えた。

 彼はこれに耐えられるだけの精神構造を保有していた。これが彼の希有な適性。


 永い…永い年月を彼は生きていた。

 彼の肉体は、最早元の肉体と比して全くの別物になっていた。

 例えそれが、元の肉体と見かけ上は同じに見えるようにデザインされていたとしても、彼の能力は生命種の埒外に存在する。

 当たり前のように思考は加速するし、当たり前のように並列存在が居るし、当たり前のように複数の用意された肉体を操作していた。

 彼は適性を持っていた。

 生命という生理現象を持つ肉体を保持したまま、彼は生命外の事を行えた。


 彼は娯楽を求めた。

 何か良さげな物は無いのかと探した。

 銀河一つと少しにまで版図を広げた組織の何処かに、何か目新しい物は無いのかと探した。

 目新しい物は見つかった。

 世界創造技術により作り出された異世界で遊ぶというコンテンツ。

 彼は世界を創造し、ゲームとして遊べるように世界を調整した世界を運営している組織と接触をした。


 彼はこのゲームを無料で遊べるプランを選んだ。

 無料で遊べる代わり、遊んでいる様を映像コンテンツとして売りに出す契約を結んだ。

 遊んで撮影された映像の売れ行き次第では、お金が手に入る可能性すらあるプラン。

 さらに彼は、この作られた世界に向かう際に記憶を消去して遊ぶ事にした。

 記憶の消去と言っても、彼の保持する並列存在の内の一つが保持する記憶をマスクするという事。

 その為、他の並列存在の記憶はそのままで、飽くまでも世界で活動する存在のみが記憶を無くした状態。


 この作られた世界には様々な時代の文明が興っている。

 とある銀河系では、魔法技術と科学技術が発達した時代であったり。

 とある惑星では、惑星上で剣と魔法と科学技術が発達する兆しが見え始めた時代であったり。

 彼は文明の推移を愉しみたいと思った。

 文明の推移に関与する事を遊びとして見出した。

 記憶を消去しつつも、関与する時代の技術レベルを引き上げるに足る存在で居続けられるように、適宜調整される様にゲームマスターと呼ばれる担当者と話しを詰めていく。

 適度なストレスを掛ける為、そしてそれを解決する事を愉しむ為、ゲームマスターが適宜介入して様々な出来事を起す事とした。

 一度作られた世界に向かえば、世界で遊んでいる並列存在はこちら側には干渉出来ない。

 出来たとしてもこちら側にいる、記憶を消去されていない他の彼の並列存在が、ゲームマスターを通して要求をする程度。

 自分だが、自分とは言えない自分を見る事を楽しみにしつつ。

 彼は並列存在の一つをゲームマスターに託した。

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