19人目 幸福をあなたに

 急に忙しくなるとき…いつもしていたことがおろかになる。


 俺もそういうことなんてざらにある。


 例えば?


 まぁ自炊だとか洗濯ものとか…


 アルバイトで稼いだお金でコインランドリーや出前屋とかに頼ってしまうからだね。


 じゃあ自然消滅したものは?


 自然消滅…例えるなら昔までよく話していた友達と離れたせいでLineであまり話さなくなる。


 そういう感じだ。


 それも俺があてはまることがある。


 それは近所の少女と遊ばなくなることだ。


 そうなったときの俺の年齢は15歳で彼女は14歳…まぁ遊ぶことができなくなるのもわかるのではないか?


 一歳差…されど一歳差。


 俺が受験した時には彼女はまだ受験じゃない。


 そういうところで遊ばなくなったのだろう。


 じゃあ今はどうだ?


 俺は19歳で彼女は18歳…彼女は今受験の時期だ。


 こういうところで話す機会もなくなる。


 まぁこう話す俺も彼女のことをだんだん忘れているところがあるから何とも言えないな。


 まぁ君たちもそういうところは気を付けな。


 理由は………


 _____________________________________


 最近よく遊んでくれたお兄さんと遊んでない…


 遊ばなくなったときは彼が受験の歳で12月14日の17時32分18秒に分かれたところからだろう。


 …え?細かいって?


 そんなの当たり前だよ…といる時間なんて一分一秒も把握していなくては…


 私も受験で彼に会いに行く暇がない。


 だがこれもあともう少しで終わる…彼とに行ってまた彼と遊ぶんだ…


 その時は…その時は彼に告白するんだ…


 その時が来るのを心待ちにしている。


 _____________________________________


「あぁ…今日はなまら疲れたな…」


 大学行ってバイトして寝るだけの日々を繰り返してもう2年目。


 今日は接客が多くかなり忙しくて帰ったころには時間は22時だった。


「今日はご飯どうしようかな…」


 そういって出前アプリを見る。


「あー…チンジャオロースいいなぁ…久々に食べたくなってきたな…」


 そう独り言を言っていると。


 ピンポーン


 インターホンが鳴った。


 めったなことがない限りならないこのインターホンから急に鳴ると少しびっくりする。


「はーい」


 こんな時間にだれだ?


 そう思ってドアを開けると一人の美少女がいた。


「こんばんは…お兄ちゃん私のこと覚えてる?」


 お兄ちゃん?…俺は一人っ子だし…お兄ちゃんお兄ちゃん…あ!!


「あ、思い出した?…お久しぶり!私だよ!!前にたくさん遊んでた優良ゆらだよ!!」


 この子が前に言った前まで遊んでいた子だ…懐かしいしなまらめんこいな…なしてそんなめんこくなったんだ?


「おぉ…めんこくなったね…元気?」


「元気だよ!!ところでお兄ちゃん?めんこいってなに?」


「あぁ…ごめん方言だよ…東北とか北海道の方では可愛いってのをめんこいって言うんだよ」


 方言っていちいち説明しないといけないのがつらい…めんこいっていつも使わないのか?


「か、かわいい?!…わ、私が?」


「そうだよ!…本当にかわいくなって…もう告白もばんばん来るんじゃない?」


「あ、あんまり来ないよ?…もう好きな人いるって言っちゃったし」


「そうなの?!…いいねぇ…青春やな...」


「お兄ちゃんは?」


 おぉっと…それは禁句だよ?


「…察してくれ。」


「わかった!!!」


 なんかうれしそうだ…なんでや…


「なんかうれしそうだな…」


「そ、そう??気のせいじゃない♪」


 もう嬉しさ全開だなこやつ…


「まぁとりあえずうち入りなよ」


 そういって中に入れさせる。


「んで?…今日はどうしたの?」


「あ、そうそう!私大学受かったの!」


「おぉ…おめでとう!!どこの大学に行ったの?」


「えーとね…日嘉大だよ!」


 え?…俺と同じじゃないか…


「まじ?!…俺と一緒だよ!」


「本当?!…じゃあこれでお兄ちゃんと一緒にまた遊べるね!」


「あぁ…昔はなにで遊んでたっけ…」


 あんまし思い出せない…まぁ楽しかったのだけは覚えてるけど…


「うーん…なんだっけぇ…あ!夫婦ごっこしてた気がする!」


「ぶふっっっっっ…」


 飲んでいたお茶が気管支に入る。


「げほっ...げほっ…」


「だ、大丈夫?!」


 大丈夫も何も俺そんなことしたのかよ…


「だ、大丈夫…びっくりしただけだから…」


 びっくりも何も夫婦ごっこって…なんじゃそりゃ…


「あ…ねw…まぁ覚えてなかったらびっくりするよね…」


「うん…なまらびっくりしたよw」


 そんなこんなで昔話に花を咲かす。


 そこで出てきた話題の中で一番びっくりしたのは催眠術の話だった。


「お兄ちゃんってさ…催眠術かかりやすかったんだよね…驚いたよ…当時13歳だった私もまさかあんなにかかるとは…」


 催眠術か…テレビでちょくちょく出てくるやつか…うさんくさいからあんまり信じてないんだよね…


「ほぇえ…俺そんなにかかりやすかった?」


「うん…例えばさ…」


 そういって彼女はこっちに体を寄せると手をおでこにつける。


「あなたの意識はだんだん深いところに落ちていく…」


 あぁ…なんか懐かしい…この感覚は昔大好きだったあの感覚。


「あなたは意識は落ちていきますが私の声は届いています。」


 ………


「あなたは私の言うことが絶対です…いいですね?」


 あぁ…彼女の言うことが絶対…


「は…い……」


「あぁ…ぞくぞくする…私が堕ちるというとその状態になりますいいですね??」


 堕ちる…この状態…


「そして私が5秒いうと目が覚めますがそれと同時に私に触れられると気持ちよくなっていく…1,2,3,4,5!」


 突然目が覚める…さっきまで何があったのか覚えてない…何してたんだっけ俺…


「ねぇねぇ…私ね言ってないことがあったの。」


「なに?」


 なんだろう…優良の顔がだんだん紅く染まってきた。


「お兄ちゃん…私お兄ちゃんのことが好きなの!!」


 え?!告白?!…え?!


「え、じゃあ…え?じゃあささっきの好きな人って…」


「もちろんお兄ちゃんだよ!」


 そ、そっか…でも俺は受け入れ難いことがある…それは俺がバイトが多すぎて彼女とあんまり話せなくなる…それだけは嫌だった…バイトは日に日に忙しくなってるし…だから彼女の告白もうれしいが落ち着いてからにさせてほしい。


「そっか…でもそれは後ででいい?…最近俺忙しくて…」


「じゃあ…断るってこと?…」


「こ、断るわけじゃないよ!!…最近忙しくて…」


「そ、そうなの?…どうして?」


「バイトとかで…」


「そっか…お金が欲しいってこと?」


 こ、この人ド直球だな…


「ま、まぁそのためにバイトしてるわけだし…」


「ならやめよ…どうせ私のものになってお金なんて必要なくなるんだから…」


「え?」


 彼女は俺に近寄りると抱きしめてきた。


「あぅ…」


 何故か抱きしめられているだけなのに気持ちい…なんか変だ…あ、あれ?…さっき催眠術の話…まさか?!


「お、お前まさか…」


「あれ?…ばれちゃったの?…それで堕ちないお兄ちゃんもさすがだね…私の見込んだ通り❤」


 彼女は悪い笑みを浮かべていた。


 それはまるで魔女のように…


 逃げないと…俺の体はそのまま玄関に向かって走ろうとしていた…その時。


「堕ちる」


 彼女のその一言でまたあの気持ちい状態になる。


「こっちに来て。」


「はい…」


 そういって彼女の横に座る。


「じゃあ横になって」


「はい…」


 そういって彼女の膝に頭を置く…


「ふふふ…捕まえた❤…あなたはこれから私が動いていいと言わない限り動けなくなります…いいですね?」


「はい…」


「じゃあまた5秒数えると意識がまた戻ってきます…1,2,3,4、5!」


「あぁ…」


 また目が覚める…


「あれ?さっきまで玄関の方にいたのに…」


 気づいたら優良の膝に横になっていた。


「可愛いねぇ…」


 そういって頭をなでてくる…あぁ気持ちい…


「な、なにをして…って動かない…」


「ごめんねぇ…逃げ出さないために暗示で動けないようにしちゃった…まぁその前にお兄ちゃんを満喫させてよ❤」


 そうして地獄てんごくは始まった。


「お兄ちゃんはさ…ずるいんだよ…優しくてこのカッコよさ…こんなので惚れない人なんていないんだよ…」


 彼女はそういいながら頭をなでたり耳を優しくなでる…そのたびに気持ちよすぎて意識が飛んで行ってしまいそうだ…


「じゃあお兄ちゃん耳かき…しよっか」


 彼女はそういうと耳かき棒を耳に入れる。


「ひぅ?!…」


 くすぐったくて…でも気持ちよくて…


「痛い?」


「い、いや…」


 さっきまで逃げようとしていた気持ちがいなくなっていく。


「お兄ちゃんはさ…本当は私と一緒にいたいんじゃないの?」


 彼女は優しくささやく。


「お兄ちゃんはつらいことをやりすぎて変になっちゃったんだよ…」


 そういいながら右耳から耳かき棒を抜くと梵天の方をいれて軽く耳垢をふき取るとふぅと息を吹きかける…あぁもうだめ…


「ほら反対になって…」


 そういってさっきまでテーブルを見てたのが彼女の服を見ることになる…しかもいい匂いなんだよ…優しくてフルーティーなにおいが逃げるという意思を完全になくす。


 そうしてまた耳かきを始める。


「お兄ちゃんはさ私と付き合いたいんだよ…でもおかしくなっちゃったからできない…だから私が直してあげる…私がずっとお兄ちゃんを幸福にさせてあげる…ずっとつらかったね…でもこれからは私が一緒にいるから…安心して」


 さっきみたいにゆっくり優しく囁くと耳かき棒を抜いて梵天で軽く耳垢をふき取るとまた息を吹きかける…あぁ…最高…


「お兄ちゃん…動いていいよ。」


 彼女がそういうと身体が動かせるようになった。


「逃げるなら今のうちだよ?…今逃げなかったら私にめちゃめちゃにされちゃうよ?…いいの?」


 俺に逃げるなんて選択肢なんてなかった。


 もっと彼女にめちゃめちゃにされたい…彼女のものになりたい…


 そんな思いでいっぱいだった。


「ふふふ…お兄ちゃんは素直だね…そんなお兄ちゃんが大好きだよ❤…これからもよろしくね❤」


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