5人目 恋の配達員
最近外出をしないことが多くなり買い物にすら行きたくなくなっているこの頃...
毎日出前を頼むようになった。
最初は使っててちゃんと届くかでハラハラしていたがきちんと届けてくれるようになり配達員も選べるらしくちゃんとしている人を選んでいくともう出前に不安など消えていった。
ピンポーン
ほら...今日もちゃんと来てくれた。
「おはようございます!出前屋さんでーす!」
そこにいるのは専属出前屋さんの宇都宮さんだ。
「宇都宮さんいつもありがとうございます...」
「いえいえぇ...これも趣味ですし宮前さんに届けるのは楽しいから全然いいんですよ!」
「楽しいですか?」
「えぇ...ここだけの話なんですけど他のお客さん渡すときそっけなくて...宮前さんだけなんですよ...こんなに世間話とか話せるお客さんは...」
「そうですか...まぁ僕でよければたくさん話しますよ!」
「そうですか?...今日は少し時間がないから無理ですがまた後日宮前さんを最後の客にして世間話にでも花を咲かせましょうじゃありませんか!」
「いいですねぇ...僕も宇都宮さんと話してるの好きなんですよ!!その時にはお茶でもご飯でも用意して待ってますよ!」
「だ、大丈夫ですよ!...そんな世間話するだけですし申し訳ないですよお茶はともかくご飯だなんていただけませんよ!」
「いえいえぇ...いつもお世話になってますしお礼ですよw」
「そうですか?...まぁまた次回!」
そういって頼んだチンジャオロース定食を手渡しで渡すと彼女はバイクに乗って走り去っていった。
「さてさて...今日もおいしくいただきましょうかな...」
そこにはまだあったかいチンジャオロースと白くふっくらとしたお米においしそうなスープまであった。
「よくこんなスープまでぐちゃぐちゃにならないで持ってこれるよなぁ...宇都宮さんすごいな...さてといただきます!」
食べていくといつも思っていた違和感を感じた。
「やっぱりいつも少し鉄みたいな風味がするんだよなぁ...俺の味覚が変なのかな...」
でも今までそれで体調は崩していないし気にしないでペロッと食べ終えた。
「ごちそうさまです!さて...仕事(配信)をする前にツイッターに配信予告しないと...」
そういって僕はツイッターで配信の予告をしてそのまま配信を始めた。
「あーあーマイクテストーマイクテストー」
少しマイクテストをして始めると
U宮【こんにちは!今日は配信するんですね!】
この人は僕が配信始めたてのころからのリスナーさんだ。
「そうですね...今日話してみようと思ってた人がいて...でも用事あるみたいだしさぁ...」
U宮【えー!?ついにミーヤくんにも青春が?!」
「んー異性的にじゃないから青春とは言わないけど...まぁ話してて面白い人かな...」
U宮「そうなんだ」
「そうだねぇ...ってことでレッドシェインやっていきましょうか!!」
そうやって配信をして投げ銭機能でたくさん投げ銭してもらって生活している。
僕はそこそこの有名実況者でもう働かなくても配信だけで生きていけるくらいだ。
「んー...ってもう22時じゃん!!もう寝ないと!!もう配信切るねー!今日も見に来てくれてありがと!じゃじゃー!」
そういって配信を切って明日担える。
それがいつもの過ごし方だ。
明日もしかしたら宇都宮さんが来るかもしれないから部屋を掃除してから寝た。
____________________
「んん...」
目覚める。
スマホを見ると8:38と書いてあった。
「我ながら早起きだ...」
そういって起き上がるといつも通り出前屋さんに...宇都宮さんに依頼をする。
「すみません...今日はハンバーグ定食をお願いします!」
そうチャットに送ると
「かしこまりです!!」
そう返ってきた。
待っている間はとりあえず昨日眠気に負けて掃除できなかった場所を掃除してくるのを待った。
すると
ピンポーン
「こんにちはー出前屋さんでーす!!」
お!きたきた!
がちゃ!と扉を開けるとずいぶん楽しそうな顔をしている宇都宮さんがいた。
「おはようございます!今日こそは宮前さんと話せますぞ!!」
「おぉ!ここで話すのもなんだしうち入りません?」
「いいんですか?」
「どぞどぞ~」
「失礼します~...って綺麗ですね!」
「ありがとうございます!少し綺麗にしました!」
「おっ...うれしいですなぁ...」
「頑張ったなぁ...」
「これで恋愛感情ないんだボソッ」
「ん?なんか言った?」
「いいえぇ?」
「そっか入ろ!」
そういって注文したご飯を食べながら世間話に花を咲かす。
「宮前さんはなんの職業をして?」
「俺は普通の会社員かな」
配信者と言っちゃうのはちょっとあれなので会社員ということにした。
「嘘つき...」
「えっ?」
「私もう我慢なりません!」
そういった瞬間宇都宮さんは僕の前に来て...
「ちょっと眠っててください。」
そういって僕の首にスッと刺激を加える。
すると身体の力が抜けてそのまま倒れた。
____________________
「んん?」
目が覚める。
今僕がいつも寝ているベットで寝かされていたらしい...
「えっ?」
腕や足に違和感を覚え見てみると...
腕には手錠、足には枷が装着してあった。
しかもなぜが体の力が入らなくなっていた。
「あっ...こんにちは!...ゆずるくん」
「え?...宇都宮さん?」
「もー私のことは玲奈ってよんで!」
「な、なんで」
「なんでってぇ...君が私のことをまだ好きじゃないとかほざいてたから君を直しに来たの。」
「えっ?なんで知って...え?!」
「そう...U宮は私のことよ?...いやぁ傷ついたわぁあれだけ私の作ったご飯とかを食べていながら...」
「えっ!?あれ宇都宮さんが作ってたの?!」
「玲奈って呼んでよ...まあ今はいいや...そうよ私が作ってあげたの...私の血も少し入れて好きになってもらおうと思ったのに好きになってくれないから...」
「え、な...何をするつもり?」
「え?...君に私がどのくらい大切かを教えてあげるんだ...そして君は私のもの...」
「な、なにを言ってるんだ?」
意味が分からなかった。彼女はあへへぇと笑っているが僕は不気味に感じて仕方なかった。
「もぉーまだわからないの?...君は今から私のものになるために私からいろいろと教えてあげるの。」
「わからないよ!どうして君のものにならないといけnむぐぅ!...」
「ちょっと黙ろうか」
怖かった。
彼女の裏には般若がいるような気がした。
「もうやっちゃうか...」
そういうと彼女はスマホをとると何かいじりだして画面をこっちに向けてきた。
その画面は渦みたいなのがぐるぐる回っていてなんか不気味だがなぜか視線が逸らせないままでいた。
「君の意識は深いところに落ちていく...落ちていく...」
落ち着いた彼女の声が頭の中に響くと自然に意識は消えていく...でも彼女の声だけは聞こえている。
「今から私の言うことは絶対に信じてしまう。」
玲奈...いうこと...信じる...
「君は私のことが好きでたまらなくなる。」
僕...玲奈...好き...
「君には私しかいない。私以外の女なんて選べない。」
玲奈以外の女...選べない...
「私が【堕ちる】というとこの状態になってしまう...」
「そして私が3秒数えると今私が言ったようになります。1,2、3!」
「んン...」
目が覚める。
「あ、あれ?僕は何をして?」
「おはよ!ゆずるくん!」
「あぁおはよ玲奈」
「ぎゅー!」
玲奈は僕の胸に抱き着く形で飛び込んできた。
「ぐっ...可愛いなぁ...玲奈ちゃんは...好きだよ」
「ふふーん...私もだよ?」
「あ、あれ?なんで僕手錠とかしてるんだ?」
「あちゃぁ...手錠とかとるの忘れてたよ...仕方ないなぁ...堕ちる」
「あっ...」
また意識は消えていく...でもそれが心地よい。
「私が3秒数えるとさっきまでの記憶は思い出せなくなりより一層私のことを愛するようになります1,2,3!」
「んぁ...」
目を開けると玲奈がいた。
別に変なことじゃないけどやっぱり玲奈のことが好きすぎて玲奈を見ると
「きゃっ...そんな私は逃げないわよ?」
思わず抱きしめてしまった。
「もう玲奈のことがしゅきすぎて...」
「わかってるよ...元から相思相愛だもんね❤」
「そうだね!」
これからもいつも通り彼女と過ごしていこうと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます