Notebook: page 005

 これから、どうすればいいのだろう。

 そればかり自問じもんして、私は街をさまよった。

 その間にも時は刻々こくこくと過ぎていく。

 今夜の宿を探すべきだろうか。

 だが、二十四時間、いや、あと二十三時間しかないというのに、そのうちの何時間かを眠って過ごすのもしい。

 だが、どうすれば……。

 あせり、うろたえて、闇雲やみくもに歩き回るうち、私はのどかわき空腹を感じるようになった。

 どこかで食事をとって、一休みするしかない。

 私はできるだけいていて、ゆっくりできそうな店を探した。そこでゆっくり、考えをまとめたかったからだ。

 見つけた店は駅前の、さびれたレストランだった。深夜まで営業しているようで、私は少しホッとした。

 ハンバーグステーキとライスを注文し、それを黙々もくもくと食べた。食べ終わってしまうと、もう、することがない。

 店員にコーヒーを注文し、それを半分ほど飲んで、私はため息をついた。

 このまま、こうして、何もしないまま、私は時間切れを迎えるのだろうな。

 せめて明日の私が困らないように、その時、例のノートを開いておくのを忘れないようにしなくては。

 そう何気なく思い、私はあのノートのことを思い出した。

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