005 黄金でできている

 来客があり、戸を開けてみると古い友人のゴーレムだった。


 ゴールデンゴーレムだ。身体が黄金でできていて、いつもピカピカだ。


「金がいる。スマホのゲームに課金しすぎて、今月苦しいんだ」


 ゴーレムはうなだれて言った。


「俺の身体を削って、売ってきてくれないか」


 どうしてもと頼まれ、友人の身体を少しだけヤスリで削って、貴金属買取所に売りに行った。


 それから友人がどうなったかは知らない。


 ある夜、とても小さいノックの音がして、扉を開けた。


 ドアの向こうに、爪楊枝つまようじぐらいのサイズの金色のゴーレムが立っていた。


 泣きながら。



――完――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る