第40話 トップチーム

 俺達は堅実に、美味しい食材ハンティングと観察と実験を繰り返しながら、進んでいた。

 それでも全員、サツマイモと栗と筍のフロアで徹底的に修練を積んだ事で、手ごたえのようなものを感じていた。

 その上イオはダンジョン産の素材を人間国宝が丁寧に打った刀を使い、俺は自分で改良した槍を使い、ますます快調だ。

「いやあ、色んな魔術を使うやつがいて楽しいな!」

 俺は新しい魔術を浴びせられるたびに、それをよく観察し、解析し、自分で発動を試みて来た。

 ハル達にも教えられないかずっと試しているが、叶わないでいる。

 ただ、ハルのバリアと浄化はより強力になり、気配を探れる範囲も広くなった。

 俺達は調子よく進み、このダンジョンのトップチームの1つに上げられている事を協会のカウンターで聞かされた。

「攻撃手段は色々と増えたけど、回復みたいなやつはないなあ。魔物って回復しないのか?ポーション落とすんだから、回復だってしそうなもんじゃないか」

 ブツブツと俺は不満を漏らしていた。

「言われてみればそうね。してもいいのにね」

「何言ってんだよ。やつらが回復なんてしだしたら大変になっちゃうだろ」

 ハルは案の定異議を唱え、チサはくすくすと笑っていた。

 と、疲れた表情で戻って来るチームと遭った。トップチームのひとつだ。

「あらあ。こんにちはあ」

 チサがにっこりとすれば、彼らも軽く手をあげた。

「もうお帰りですか」

 ハルが訊くと、彼らが言う。

「水も食料も無くなっちゃってね。それに、これ以上は魔石も持てないから」

 彼らのリュックはパンパンで、重そうに肩に食い込んでいた。

「君達は相変わらず、カートなんだね」

「ここまで大きいのってほかにはないわね、ちょっと」

「だって、美味しい魔物は肉も欲しいんですものお」

 俺達は笑って、カートからにょっきりと突き出している七色イノシシの足を見た。

 こいつは本当に美味しい奴だ。なのにあまりいないので、見つけた時は狂喜乱舞し、何が何でも仕留めると俺達は誓ったのだ。

 唐揚げ、煮込み、ハンバーグ、丼、焼肉、カツ。ああ、楽しみだ。これまで自分はそうグルメな方ではないと思っていたのに、意外だ。

「まあ、気を付けて。この下はまだ何の情報もないから」

「はい。ありがとう」

 俺達は礼を言って、彼らを見送った。

「この階のボスは何かしらね」

 イオが、ボス部屋の前で態度待って言う。

「まだ知らない魔術だったらいいな。ちょっとだけ」

「シュウ、勘弁してくれよ」

「ふふ。大丈夫。落ち着いていきましょうねえ」

 それで俺達は一応気持ちを引き締めた。

「いつも通り、まずはハルがバリアを張って、観察してから決めよう」

「そうね」

「うん」

「ああ、オレンジ姫様、よろしくお願いします」

 そして俺達は、扉を開けた。






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