8#ピンチ!愛妻を助け出せ?!

「オマーーーーーーー!!何してるんだーーーーーー!!」


トラのショジは、今まさに崖から落ちそうになっている愛妻のオマに仰天して急いで駆け寄った。


 

 

 がらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがら!!!!



 

 「ダメだ!!駆け寄ると、崖が崩れてオマが真っ逆さまに崖から落ちる・・・!!」


 「風船!!風船!!風船があっちにあるの!!風船!!あの風船が!!」


 目を凝らしてみてみると、崖の先にはあの青い大きな風船の紐が岩に引っかかっているのだ。


 「オマーーーーー!!風船なんかいいから、早く崖から逃げろ!!」


 「やだーーーーー!!風船が欲しい!!あの風船が欲しい!!」


 「風船なんて、僕がどこかから拾って膨らましてあげるから!!だから早くここへ来い!!」

 

 「やだーーーーー!!風船!!風船!!風船!風船!!」


 「オマ!!我儘言うな!!」」

  

 

 がらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがら!!!!




 「きゃーーーーーーーーー!!」


 「オマーーーーー!!」


 間一髪だった。


 オマが乗っていた崖は崩れ落ち、真っ逆さまに落ちる寸前に、ショジはオマの片脚をくわえて掴んだのだ。


 「オマ!!引っ張るぞ!!」


 「風船がーーーー!!風船がーーーー!!」


 「オマ!!暴れるな!!堕ちるだろうが!!」


 ショジに支えられた宙吊り状態のオマの前脚にショジの牙が食い込み、血が滲んでいた。

 ショジはオマ前脚の掴んでいるの牙に、力が入りにくくなってしまった。


 ・・・オマを傷つけるまい・・・オマを傷つけるまい・・・


 ・・・それなのに・・・オマの重みと僕の顎の力が無さすぎるせいで・・・!!



 ぐぐっ・・・!!ぐぐっ・・・!!




 ・・・もうだめだ・・・!!



 その時、この前に何処までも大きく膨らむゴム風船をどんどんどんどん大きく大きく口で息を吹き込んで膨らせた夢を思い出した。


 ・・・僕の限界はここまでじゃない・・・!!


 ・・・もっと力は出せる筈だ・・・!!


 「がおーーーーーーーーーーーー!!」


 トラのショジは渾身の力を体を支える4つ脚に込めて、中吊りのオマを引っ張り揚げた。




 ぶんっ!!



 オマは、持ち上げた反動で中高く舞い上がった。


 まるで見えない風船を身体に結んで飛んでいるように・・・


 

 「がおーーーーーーーーーー!!」




 ・・・・・・


 ・・・・・・



 




 


 




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