第140話 〈続〉LEVEL UPした女子高生(おっさん)

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「──ま、待ってくれ誤解なんだアシュナ!!」


 【龍道】らヤクザ達に絡まれた通学路──学校に遅刻するといけないので、その処理をコクウさんや警察達に任せようとしたその時……龍道が俺に向かい声を荒げた。

 なにか言い分があるらしい、全く聞く気はなかったけど傍らには通学している小学生とかがいたので迷惑になると思い、一応聞いてみることにした。


「……なに?」

「俺様はお前に復讐しようとしてたんじゃなくて……お、お前と付き合いたくて声をかけたんだ!」

「…………は?」


 龍道の言い分によると、県議会議員の父親の更正により心を入れ替えたが……その際に俺(アシュナ)に惚れたんだとか。しかし、以前にあんな事(※22~26話参照)をしたのでどんな面して俺に接触していいかわからず……金の力でチンピラ達に同行を頼んだらしい。


 脳の出来が赤ん坊以下なの? と呆れるほかなかった。惚れた相手に会いにチンピラ達を引き連れていくって時点でもう脅迫みたいなものだし(-20点)、ごめんなさいするのに虎の威を借りるってのも子供以下だし(-50点)……そもそもあの事件のことを未だ謝られてもいないし(-70点)。

 男に点数つける女性は嫌いだったがこれにはおっさんも『待って、ホントないわ、何様ですか?』と苦笑いしてマイナス評価。そもそもDQNの時点で評価は地の底まで堕ちているけど。


 駆けつけてくれたコクウさんやテンマ、めらぎ、神ノ宮さんも呆然としている──とりあえず遅刻しちゃうのでもう無視して行こうとすると再度騒ぎ出した。


「まっ……待てよ! 俺様と付き合えば何でも買ってやれるし……有名人とだって会えるし……お前を守ってやれるぜ!?」

「──んふっ(笑)結構です(笑)」


 そのあまりの惨(みじ)めさに思わず鼻から笑いがこほれた。全てにおいてあなたの上位互換の方々が周りにいますし、この期に及んでまだ親の威光を自分のものだと勘違いしている龍道につい口から本音が出た。

小馬鹿にした言動に龍道は「あ?」と言って俺を睨んだ、仮にも惚れた相手にそんな威圧的な態度とるなよと嘆息する。


 そこへ、当時の当事者だった人物……【村木マサオ】君が通りかかった。マサオ君は二年になって別クラスになっちゃったけど、休み時間にちょくちょく会いに行っている。アシュナが何度も足しげく通うために、新しいクラスでは一目置かれているらしく何の問題もなく過ごしている。


「あ、アシュナちゃんどうし……た……龍道くん……?」

「おうマサオ! なぁ俺様変わっただろ!? お前からも言ってやってくれよ!」


 苛められていた過去が蘇ったのか、マサオ君は龍道を見て青ざめた。龍道は彼のそんな様子を気にも留めず悪びれもしていない──駄目だ、こいつ……まるで成長していない……と月くんと安西先生の合わせ技名台詞を呟いたのち……ゴミを見るような眼をして俺は言った。


「まず、最初に、『あの時は悪かった、ごめんなさい』だろ。もっかい生まれ変わってきてから出直してこい」

「あ? てめえ調子に乗ってんじゃ……」

「調子に乗ってるのはてめえですわ、以前は気付くことができなかったこの雪辱……ようやく晴らす機会が巡ってきましたわ」

「奇遇だな皇、俺も転入前に起きたその事件に腸(はらわた)が煮えていた……アシュナ、こいつの更正は俺達にさせてくれ」


 当時、事件に関われなかったからめっちゃ怒っていためらぎとテンマ率いる部隊に引き摺(ず)られ……龍道は顔面蒼白になりながら姿を消した。昔のロープレ風にナレーションするなら、『その後、彼の行方を知る者は誰もいなかった……』

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