第13話 女子高生(おっさん)といる女子達Ⅱ


「ね!? ヤバくない? マジイケてる!!」


 休み時間、俺はクラスの陽の女子達と過ごす事が多くなった。イケてる女子達は大抵がティーン雑誌を見ながらやれ『流行りの曲』だの『可愛い服』だの『何がキテる』だの『イケメン』だの『恋バナ』だの……おっさんが1mmも興味ない事を一日中喋っている。


 心は虚無になりながらも、それに相槌を打ったり愛想笑いをしていると陽女子の中でも更にムードメーカー的存在の【朝比奈ヒナ(通称ヒナヒナ)】が心配そうに声をかけてきた。カラオケの時に熱心に誘ってくれたり、よく【アシュナ】である俺を気にかけてくれる女の子だ。

 天真爛漫で裏表なく、誰にでも素のままで接してくれる容姿もアイドルみたいな娘。


 男だった時も少しだけ話したことがある。積極的にではないが、陰キャにでも嫌な顔せず話してくれて危うく好きになりかけた思い出が蘇る。


「あ……ごめんね、アシュナはこーゆーの興味ないんだよね……」


 ヒナヒナは少し哀しい表情をする。

 どういう気持ちや経緯があって自分のグループに【アシュナ】を誘ったのかはわからない、が、自分の好きな話題や物に興味を示されない故の悲しい感情はよく知ってる。

 自分の好きなものを、自分の好きな人が少しでも興味を持ってくれるのは嬉しいーー無邪気なヒナヒナの行動原理はまさしくそれだった。


 仕方ない、昔少しだけ好きになってるし今は仲良くしてくれているよしみだ。なにより可愛いし、おっぱいが大きい。

 良い関係性を保つ処世術として、俺も会話に乗った。


「そ……そんな事ないよー、ほら、このモデル凄い可愛いよね~。良さみが深くてマジしんどい」

「しんどい!? 体調悪かったのアシュナ!? 早く言ってよ! 保健室行こ!!」


□平成→『しんどい』=体調が悪い

□令和→『しんどい』=気持ちが高揚して辛い

(※例 推しが可愛すぎて朝からしんどい)


 俺はヒナヒナに手を引っ張られて強引に保健室に連れて行かれ、無理やりベッドに押し込まれる。

 おっさんが若者言葉を使うと失敗するという特例だ、時代が違うという事を忘れてた。


 このあと、滅茶苦茶 看病された。

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