塩を投げる

美しい要を見ていた

あいつはすでに死んでいた

俺は何ができただろう、あいつの死に目に


若葉が舞っています

この素晴らしさが分かりますか

教授はそう幹に触れながら言った


俺はあいつを許さない

いつも君だけを想っていたのに

そう陳腐な言葉を吐くあいつを憎んだ


宇宙がハレーションして

僕と君だけが残ったこの世界で生きていく

世界系なんて流行らないよね


もうこれきり これきりよ

昭和の女は忍耐強い

俺はあいつの殻を掻き抱くのだ


お前はいつも太陽とセックスしてる

そうしなきゃ済まないみたいに

そんなのまやかしだよ


あんな奴、ほっときなよ

負けヒロインがそう言った

黒髪ロングの女は好きだよ


女からの愛はいらないの

彼女はそう言うのだ

タートルネックに口元を埋めながら


ラーメン屋の奥では時間転移装置が

唸りを上げていた

誰も乗る奴はいない、だって知らないから


夢を見ることはそんなにいけないことですか

誰もそんなこと言ってないよ

ただ、現実を知らなければ何もできない


ある映画監督は人間観察をしろと言った

誰がどんなふうに動くのか、話すのか

これを押さえたら確かに力強い


リアルの友達とあまり話さない

どう話せばいいのか

そう悩んでいたこともあった


卵の殻の外にいるよ、いつでも

どうやって中に入ればいいんだろうね

違うよ、中にしかいないから外の中が分からないんだ


重曹が泣いた

自己の無力さを知った

バカめ、まだ未来があるというのに

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