城〜とある特殊監獄の物語

夏生めのう

第1話 序章①

西暦がとうに廃止された未来世紀


手狭になった母なる地球……


由緒正しきラテン語で ”Terra”


同じく古き言語〜

英語で言うところのEarthから宇宙の果てに旅立ち、人類は様々な生存可能な星に根を下ろし入植

或いは、惑星周回軌道にコロニー都市を建造した


銀河に散った人類はいつしか巨大共同体

<銀河連邦>を創設


惑星開発ーーー主に植民に関しての法規”銀河法”を銀河連邦加盟惑星間に制定


自国の個々の法律とは別の、銀河中に通用する大きな枠組み〜

他惑星間に対しての絶対的ルールを定める事となった

 

銀河での多くの国々〜国家は『連邦英語』と呼ばれる独特の言語を採用


より議論・商業的交渉に適したと言われる、明快かつ比較的単純単調な文法的表現を個性に持つ言葉を、多くの国々がこぞって使う事となる


文化的面倒な<誤解が無きように>と、”正式な公用語”と定めていた


Earthーーーー

アース〜

地球の中に存在する小振りの国”ジャパン”ーー……

かつては趣がある『日本』と呼ばれた細長い龍に似た島国

 

富士の裾野の某所にその特殊収容施設~通称『城』は存在する

国際的に極秘……

いや公然の秘密である『監獄』がこの国にある


中に収監されているのは、全員国際的に報道された重大犯罪事件の中心人物

〜もしくは表沙汰に出来ない陰惨な事件の主犯格である

 

どの国家王国も、叩けば埃が出ない事なぞ有り得ない


〜が、強大な権力を持つもの故に力の及ぶ範疇と限界もよく心得ており「それならば〜〜!」と編み出した方策だ

 


要するに「自分達の国には置いておけない」

だが『対象』は常時監視下にしておきたい


〜当然だが、自身は被害の及ばない安全圏にいる事が最も重要だ

 

自分達に影響を及ぼさない程々の遠距離かつ正直、勤勉で科学・文化レベルも高度に発達した国が何かと都合が良い

 

でないと個人の『秘密』を悪用し自分達に反旗を翻す可能性が捨てきれないからだ


地球内の超大国ーーー……

銀河における連邦諸国

 

様々な惑星都市の為政者は自らに都合良くそう考えた


そうだ

”あの便利な国”ならば任せても良かろう


『信用出来る』〜全ての望みにバッチリじゃないか!

 

200年以上に連綿と続く憲法『平和主義』を掲げた国家であり、古代から列強の帝国諸国の思惑から離れた独自の独特の価値観と地位を保つ島国だ

 

信義やモラルを重んじるあの国ならば……!


一度収監させてしまえばこちらのもの


国家のメンツに賭けて、かたくな迄に実直に人道的に対象者を保護するだろう


殺す事も生かす事も出来ない〜あの厄介な迷惑者達を



しめしめ……!

なぁに大国の止めども無い紛争に巻き込まれない様<見返り>とし、脆弱な其方方面を我々がバックアップすれば良い

 

収監は各国各自が『個別に契約』〜かかる経費負担すれば済む話だ


万事『金』で解決、各々”知らぬ存ぜぬ”

これでいい


<誰も困らない>


極めていいアイディアじゃないか?


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