「主計官室にハーモニカの音は鳴る」
ニコルが直接の上官と
「そうか、ゴーダム
広い
「はい。
「アリーシャに
小気味よく算盤の
「
「はい」
「座学だけならアリーシャが学んでいる。あとは
「は、はい、バイトン正騎士」
「ちょっといいか、バイトン」
背後からの声にニコルとマルダムが考えるよりも先に、机の前から自分たちの体を退ける。
「閣下から
「わかった」
計算結果を書類に
「期間は五日間。順路は……ここと、ここと、ここか」
作戦の
算盤をそこそこ使えるという自負があるニコルが
「これが、『算盤騎士』…………!」
口の中で
「これを持っていけ」
バイトンが弾いていた算盤の音が
「こんなに
「その順路の哨戒活動はかなり増えている。
「そ、そうか……」
一度の反論で疑問を
「バイトン正騎士、今の書類は……」
「作戦に必要な物資の一覧だ。作戦概要を読んで私が計算する。必要な食料、必要な武器、必要な馬糧、水、医薬品、日用品、作戦先で用いる金、そしてそれを運ぶための馬、馬車、
「バイトン正騎士の見積もりには
「私だけというのも問題だがな。私の代わりになる者が出てきてもらわねばいかん。――マルダム、良ければお前に私の後を
「い、いいえ、
「――
ふう、とバイトンは息を
「ちょっと長い演奏になるな」
そのままバイトンは主計官室を出、入口の
「バイトン正騎士の気晴らしだよ」
同じく外に出、マルダムはニコルと並んでほんのしばし、その曲を耳にした。
ゆったりとした曲調の
「仕事が落ち着いたら、バイトン正騎士はこうやって口風琴を
「そういえば、遠くでこの音が聞こえていたような……」
小さな
「どの曲もバイトン正騎士の
「ふぅん」
ニコルとマルダムは並んでバイトンに一礼し、その場を去るために歩き出した。
「――でも」
複雑な旋律が流れる中、
「…………」
気晴らしとマルダムは言っているが、それは
「行こう、ニコル。アリーシャ准騎士に話を通しておかないと。時間はそんなにないよ」
「あ……うん。そうだね」
マルダムの
バイトンの演奏はそれから十分と少し、
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