第11話 家は落ち着ける場所のはず

 いつも通りと言うべきか俺と穂香の勉強会が始まった。穂香は物覚えが良いため、大抵のことは少し説明すればスラスラ解いてくれるから教える身としては非常に嬉しいことである。

 そのおかげか穂香はテストでも順調に成績を上げている。すごく誇らしい。そしてコイツは褒めて伸びるタイプなので、難問で突っかかった時教えてやり解けた時は優しく頭を撫でる。こうすれば穂香の勉強効率が良くなる。

 俺もその合間に宿題を済ませていくと、元々少なかったこともあったが二人とも課題を約半分終わらせていた。まだ春休み始まったばかりなのに…。


「う~ん、結構進んだ~!」


 そう言いながら穂香がノビをしてカーペットに仰向けに倒れる。ラフな服装をしてるせいで白い肌が、程良く締まったお腹が露わになる。とりあえず見たことを悟られないよう目をそらしておく。あとは穂香に最後のご褒美あげるか。


「穂香」


「ん~何~?」


 コイツ、半分夢の世界に入ってる。そんなに疲れてたのか。けどこういう時は…


「寝るのはいいけど、俺のケーキ食べられねえぞ。」


「よし、ケーキ食べよう。」


 案の定、すぐ起きた。俺は冷蔵庫から冷やしておいたショートケーキを取り出しテーブルに置いた。


「ん~おいし~!」


 ホント、うまそうに食べるな。両親が日本から出る前に母さんに教えてもらって正解だったな。


「あれ、裕司は食べないの?」


「俺は夕飯のあとに食べる。」


 まあ夕飯までまだちょっと時間はあるが。


「でも味二人で共有したいからさ、だから、ん。」


「ん、って何?」


「な、何って、あ~ん。」


「あー、はいはい。」


 あーんを受けなきゃ穂香がずっとこっちに手を伸ばしていそうだったので素直にそれを受ける。そしてフォークにあるケーキが俺の口に入ろうとしたその時…、


パシャッ!


 え?パシャ?おそるおそる音のする方を見ると、そこにはカメラを起動したスマホがあった。撮ったのは穂香。何が何だかよく分からずに混乱している俺を他所に、


「おー、よく撮れてる。」


なんて言いながらスマホをイジっている。


「んーでももうちょっと欲しいな。」


 何を言ってるんだこの人は。


「何がしたいの?」


 思わず聞いてしまった。すると穂香はスマホの画面をこっちに向けてきた。そこには


『放課後デート中~♪』


という言葉から始まり、あーんしたりくっついたりしている涼と美萌の写真が送られているメッセージのやりとりが映し出されていた。


「なるほどな。対抗したかったわけか。」


「うん」


 穂香がうなずく。仕方ない、ここは一つ乗ってみるか。


「じゃ、続きするか?」


「続き?」


「もうちょっと欲しいって言ってたろ。」


「あ、そうだったね。でもいいの?」


「何が?」


「写真写るの苦手じゃなかった?」


「まあ、なんとかする。」


 穂香と二人で写る分には問題無さそう、そう思えたからだ。


「んじゃ、写真撮る前に、んっ。」


「何?」


「あ~ん、結局裕司ケーキ食べてなかったし。」


「いや、いいよ。」


「そんなこと言わずにさ。ほら、あとこの一口だけだし。」


 ケーキがあった皿を見るといつの間にかケーキがなくなっていた。俺と話してる時に食ってるところ全然見てなかったのに…。とりあえずもらうか。


「あーん。」


「どう?」


「うん、うまい。」


 味見した時より甘く感じたのは気のせいだろうか。











〈あとがき〉

今回あまりイチャイチャできなかったかもですね。次回はもうちょっとイチャイチャさせます!あと、ちょっと穂香視点入るかもです!



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