陰キャな俺と陽キャな幼馴染の絡み方

タクラス

第1話 みんな羨む、俺悲しむ1

 「見てあそこ、今日もかっこいいね〜」


まただ。また教室の外が騒がしい。そして、


「くそ~、またあいつだけ女子の視線を集めやがって〜!」


クラスの男子の嫉妬の視線。


「なんで陰キャなアイツなんだよ!」


知らないよ。


「なんで窓際の席で本読んでるんだよ!」


俺の席が窓際だからだよ。


「っていうかあいつなんの本読んでるんだろう?」


ラノベだよ。

 

 ツッコミすぎて自己紹介が遅れたが、俺の名前は伊藤裕司、ひっそり生きることを目標にしている陰キャ科、陰キャ属の陰キャな高校1年生。目標にしていると言ったが周りはそうさせてくれない。なぜなら、俺が所属している私立白鷺学園は陽キャが多すぎるのだ。全員が陽キャなクラスがいくつかあるほどで、陰キャにとって非常に居心地悪い場所である。それでも俺が居場所を保てているのは、この窓際の席と視線だけ送っているみんなとの距離と、そして何より…


「やっほー、裕司!」


そうやって声をかけてくる君のおかげだろう。


「また顔が死んでるぞー、せっかくのイケメンが台無しだぞー。」


そう言いながら、彼女はいつもの様にバックハグをしながら俺の頬をムニムニしている。


 彼女の名前は小池穂香。俺とは正反対の陽キャである。俺と穂香は幼馴染なため、俺みたいな陰キャにも気軽に声をかけてくれるのだ。

 俺と穂香は別に付き合っているわけではないが、幼い頃からずっとくっついて過ごしていたためその感覚が今でも抜けていないのだ。だから穂香は俺のことを普通に抱きしめてくるし、俺はそれをあっさり受け入れてしまうのである。


「あのなぁ、顔が死んでるのはいつものことだし俺は別にイケメンでもないだろ。」


「えー、そんなことないよー、みんなも言ってたじゃん。」


「俺は自惚れないんだ。」


「あ、それもうそこまで読んだの?早いねー。」


「急に話変わったな。」


「まあまあいいじゃんいいじゃん。私もその続き気になってるんだから。」


「なら、一緒に読むか?」


「読む!」


そんな会話をしながら俺はラノベを読み続ける。彼女は抱きしめる力を強くしながら俺のラノベに興味津々である。そしてクラスのみんなはそんな俺たちをポカンとした状態で眺めている。



 


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