第160話―その4、花恋と浅草寺に遊びに行く―
とても人が多かった。
さすがは浅草寺!伊達に全国での参拝客数がトップを誇るだけはある。これこそ地元としては自慢できる場所だ。
台東区の地に訪れるのは懐かしい、そんな感慨になりながら都内で最古の寺を花恋と徒歩で向かって到着。
そして見上げると、そこにあるのは正門に佇むは大きな魔除けの効果を朱色の門。その真ん中に吊っているのは大きな提灯で
「ほえぇ。ここが浅草寺か……長く東京を住んでいますけど何故か行かないんですよね。
東洋お兄ちゃんは行ったことはありますか?」
「いや無いかな」
「へぇー、そうなの意外……でもないかインドア主義だし。それで東洋お兄ちゃん手に持っているガイドブックってなんですか?」
「ああ。せっかくの浅草寺に行くからね。
アマゾンで購入したんだ。よかったら花恋もガイドブック読むかい?
偏らないようにカバンの中に、関連する他の本も持ってきているんだ」
「うわぁ……用意が周到すぎて引くのだけど。
でも読みたいので。ここは、お言葉に甘えて一冊を借りましょうか」
「ちょっと待ってて花恋」
数秒前では異常さを間近で垣間見たような態度だったが花恋は好奇心のまま要求してきった。
まあ、この反応をすることは予想はしていたので平常運転。
カバンを開けて探ると探していた本を花恋に差し出す。『ありがとう。これアウトドア向けの本だけど読むんだ』と少し失礼とも取れるような言葉だけど日常会話の内になる。
すばやい速度で動作でページを
「なるほどインスタ映えのある建物がいっぱいですねコレって。
ねぇねぇどこに行きましょうか最初は」
「そうだね……まずは門をくぐって歩き回るのもいいかなと思うのだけど構わないかな」
「構いませんよ。
その前に写真を撮りましょうよ」
「ああ、いいよ。やっぱり山門に来たなら写真を撮りたくなるものだからね」
「さんもん?お参りする門ってこと」
呆然となり花恋は頭上に疑問符がフワフワと浮かびそうな反応していた。ここまで露骨な分からないといった反応に苦笑をこぼしてしまう。
「あはは。ちょっと難しかったかったね。ごめんごめん山門というのは寺院の正門のことを指すんだよ」
「し、知っているもんッ!?」
つい声にして笑ったことに癪だったのだろう。
ほのかな朱色に頬が染めて恥ずかしくなった花恋は噛み付くように否定してきた。つい無邪気な彼女が面白くて笑ってしまったが平穏だなと花恋の照れる態度にそう思える。
かなり表情の豊かな顔を見せるようになったけど懐かれているからなのかなと思うけど違うこともある。そう俺は解釈する。
「恥じることはないよ。仏教的な用語とも扱ってもいい言葉だからね」
「むうぅぅ。今日は随分と余裕の様子ですよね東洋お兄ちゃんは……まったく大人ですね」
なんだか皮肉を言われているみたいだ。言葉の意図を考えるほど恐らく皮肉の可能性が高そう。
「じゃあ花恋お詫びに知識を提供しましょう。東京の最古としての寺にあたる浅草寺、正式名称は
「そんな情報を提供されてもね。
へぇーとしか漏れないんだけど」
「そうか。そうなのか。おぼえるときはセットで寺院の称号の意味である
なので山号と一般的な読み方を組み合わせて呼ぶと金龍山浅草寺になる」
くっ、これが現代子か。冬雅なら目を輝かせて喜んでくれるのに……いや駄目だ。今は花恋だけを見ないと失礼にあたる。
んっ、そもそも本当のデートじゃないのだから彼女として対応するのは間違っている?
いや、でも何かが踏み込んではいけないような……くっ迷宮に迷い込んだみたいに道が見えない。
「はいはい、インプットしておきますよ。
山号は金龍山ね。ですので記憶しましたから撮りましょう」
腕を引っ張られて話を無理なり区切りられる。定位置に着くとシャッター音が鳴り、スマホ画面を一瞥して満足そうな顔を浮かべる。
どうやら気にいられた一枚は撮れたみたいだ。
「それじゃあ中へと入りますよ」
また手首を引っ張られて進む。
またたく間に巨大な提灯の下を通過していく。
ここを通ったことの優越感めいた感動を噛み締めていると花恋は速度を落としながら振り返る。
「東洋お兄ちゃんの所持金の件なのですけど……んっ?あれ、なんだか雷門の後ろに四字熟語みたいな文字があるのだけど?」
花恋の視線は上に向いていた。
先程は目を見ていたが視界に疑問となるものが目にいき見上げている。
足を止めていたので俺も同じく振り返って提灯の裏を見る。きっと推量できるのはそれだと思ったからだった。
案の定と向けていたのは提灯の裏側だった。
「ああ、あれは
ちなみにあれが本来の読み方」
「えーと?つまり正式名称ってこと」
「そう、あの裏が正式名称なんだよ」
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