第135話―ツムギ帝の行幸―

ここへ赴いたのは他校との連携を図るため友好を築くことによる行事の拡充ためである。

というのは建て前だ。いつの間にか自粛的にある行事や閉鎖間から脱するために考案していたのが名目を掲げて認可された運びとなっている。

どうも比翼書記にあるのは気概。その精神性で周囲を納得させることに成功させた。

本来それをやるのは俺の役目なのだが如何せん力量の差を感じずにはいられない。

話術だけでなら勝っていると自己分析で思うのだが、それだけなら。あまりある要因をまとめて比べてしまえば得意分野を上回ってしまいことを痛感させられるのだ。

報告してきた記録などを概括的がいかつてきとしたものから理解しやすく是正をしなければならないのを見えるもの。


「あの、どうして楽しくもない能面なまま人の横顔をまじまじ眺めてくるのですか?

全身に総毛そうけだつから是非やめてもらいたのいのだけど」


どうやら考え事をしていて比翼の横顔を見つめるような行為をしていたようだ。

廊下を並んで歩く歩を早めず緩めることないが距離を取ってきた。そして冷ややかな眼差し。


「か、勘違いするではない!

いつもであるなら自ら関わろうとも手を伸ばそうともしない冷酷無比そうであるような貴様がそのような慈善活動することに今になり釈然としないだけだ」


「ほーん、それ争いを売っているのですか?でしたら、そのガチンコバトルやってやりましょうか!」


「ふん!たわけめ。すでに勝負しているのだろう。どいらがケアーが出来たかのなあ」


「くっ。いつものクセで……。

はいはい、そうでしたね。せいぜい無駄な足掻きをするがいいですよ」


「ほう、ではその無駄な足掻きによって敗北という苦い味を喫するといい」


反論する言葉が見つからなかったとみて比翼は顔を前方の正面にと戻すと、わかりやすいほど鼻息を荒くする。

この勝負は附属的なものだから視野の外に奥として他校とこの交流を取るのは画期的だ。

それまでは他校との繋がりを広げようとしたことはあるがコロナ禍になってから縮小してオンラインによる交流する程度に収まった。

なので遠隔な交流ではない他校に寄るということを認可されるのはタブー的に扱っていた。

しかし活動を回復しようとする昨今の時流を見て判断した比翼の辣腕らつわん脱帽だつぼうだと評価するに値しないわけにはいかないだろう。しかし賞賛するのは心の中だけだ。


「ねぇカナカナあの二人って、いつもこうなの」


後方では不死川さんが声を潜めて隣に声をかける。

元々が声の高いからか後ろでも話の内容が聞き取れてしまっている。

聞こえていない体でいよう。


「いやぁー、私もザクロ坂?の生徒会長を会ったのは初めてだからね。どういうキャラなのか知らない。でも少なくともヒヨヒヨと友情以上のものはあると見たね」


なんの根拠があってか軽薄そうな女子高校生は声をひそめること配慮をせず無邪気な声で言った。


「「違うからッ!?」」


そんな好き放題な話をされて無視が出来ない。ただ俺と比翼書記での一致しており乱れることの無い同調したような言葉を発した。


「おやおや、そんなムキになると怪しいね」


不登校と情報で聞いていた不死川さんはニヤニヤした顔をして隣の相手に声を低くして好きなことを言う。やはり声は聞こえる。


「だね。これって痴話喧嘩では。

そういう年齢なんだね比翼も。私は嬉しいよ……。

それで大変な情報を入手したですし、今後どうなるか東洋お兄ちゃんに報告しないとだね」


「うわあぁぁッ!?それだけはやめろおぉぉぉーーーッこのナマケモノ美少女が。

こうなれば強硬手段だ。お前には恥ずかしい髪飾りをつけさせてやる」


比翼は絶叫するとカバンを探りながら他校の生徒に近寄ろうとする。その不穏な気配を悟ってか後ろへと下がっていくが壁にぶつかに逃げ場所を失う。


「ちょっ!?ちょっと矛先を向けられるの私だけなの。超絶に理不尽なのだけど」


「問答、無用だぁぁぁーーッ!!」


「わあぁぁぁぁぁーーーッ!?」


怪しげな笑みの比翼に襲われるのを俺は眺めながら気になった単語に思考を巡させられていた。

東洋お兄ちゃん……その名は、少なくとも年上の男性と解釈していいだろう。

そして最も大きく不安――もとい疑念を抱いているのは比翼書記とはどんな関係であるのか?

ただの兄と妹とは何故か俺は思えなかったのだ。

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