第113話―見えざる追跡それから質問参ノ巻―

ザクロという難読漢字にあたる柘榴の表記される紙をぼんやりと見つめていた。

無為にそうしているのは時間がすこぶる惜しいと自問自答していた。

わたしは掲示板で我が校の名前を書かれた一部を見ていたのはターゲットが現れたと相方は振り返って叫んだ。

わたしとエイちゃんは急いで階下に降りた。


「やっと動き出したか。長い時間だった」


「ヒヨちゃん間抜けなツッコミなの承知で言うけど五分しか過ぎていないよ」


「そんなのは流れる時間と、待つだけの時間では感覚的にちがうものなのですよエイちゃん。

ほら急がないと逃れる」


「けど待っているならクロノスタシス効果と類似とした能力に目覚めて早く到着できるから問題ないよ」


それはまた難しい概念の名称を知っているものだと階段を降りながら思った。

クロノスタシス効果、または現象と呼ばれるものはギリシア語であるCHRONOクロノSTASISスタンス。クロノは時間の意味でスタンスは継続になる。

組み合わせたのがクロノスタシスで定義は眼球運動した直後、目にしたものが長く感じるものでアナログ時計を見ると針が止まっているように起きるとされる時間知覚の錯覚。


「その近いものを目覚めていたなら、スーパーマンになっているでしょうね。わたしたちは。

いや、こういうときはスーパーウーマン?」


と、そんな他愛のないことをやり取りしながら降りると廊下を走る。生徒会の一員としては模範となるべき存在が走るのはよくないこと。

明日からは歩くので走るのは、これが最後と誓いながら駆けていく。

まだ帰宅の準備はしていないが靴を履いて外に出る。後輩と不束な者の後ろ姿を捉えた。


「ちょっと待つのですよ。

わたしたちの可愛い後輩とは、どんな関係なのですか?」


「その声……わあっ!?比翼さんじゃないですか。どうしたのですかッ、もしかして役目まだ終わっていなかったのですか」


歩いていた二人は、息を合わせるように振り返る。まず後輩は、わたしの姿それからエイちゃんと順序で見ながら驚いていた。

慌てて追いかけたことから非があるのではと申し訳なさそうに慌てふためく後輩。


「そんな事ないよ。

コホン、単刀直入に訊かせてもらいますが貴方は一体どなたなのですか?もし彼氏と仰るなら相応の対応をさせてもらいます」


いきなり何事だと言わんばかりに口を開けたままのマヌケな顔をしている仮の彼氏。

そんな彼は、おもむろに言葉を返そうとして口を動かそうとした。


「いや、どなたと言われても姉の弟なのですが」


そう後輩に佇んでいる少年はそう言った。

なるほど姉ということは弟なのか………。


「「「「…………」」」」


姉よりも背が高くて、隙が見当たらないほど近寄り難い気配を放っている。まったくの真逆の存在を主張している。であるからして

理解するまでは時間を要した。


「「えぇーーーッ!?」」


こんなにも離れているのかとも勘違いしながらエイちゃんと声をハモらせて絶叫するのだった。

その後、悲鳴だと誤解して駆けつけてきた教師が慌てて来られてエイちゃんと共に叱られる結果となるのであった。

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