第101話―月下のシフト―
時間を忘れた談話のあと夜の密度が濃くなる。
自制を求められる生活を長々とやっていたことで先行きがみえないことに生活の基盤が少しながら緩やかに変わった。
その自制して新しい日常に、いささか不満や疎外感に抱えられる。たまには羽目をはずそうと彼女たちは一つの空間内で集まってパーティを広げた。そのパーティとなる空間が俺の家であることは納得しないながらも情で言われれば理解せざるえない。
なのだが…盛り上がり過ぎてしまい午後十時にと回った。このへんで解散して夜道を帰宅するにしても、家の近くまで見送るのも難しい。
なら一晩だけでも泊まること結論になった。
サファイア家の令嬢の比翼とペネお嬢様は使用人の車に乗って帰宅したが、それ以外の彼女たちは俺の家に宿泊する。
……まず一言だけ言わせてもらおう、ここは民泊でもなければ宿泊施設でもない。
「やって、みたかった」
「なにをやってみたかったのネコネコ?」
「もう理想。もちろん友達の泊まりイベントに、仕事ではそういう演出したのを撮ったことあったのですが。
そんな見映えるとか意識の外にした本当の友達と泊まるなんて憧れだったの」
国民的アイドル、今ではテレビを置かない家庭もあるので適切ではなく古い表現だろう。それでもテレビを普段から観ている人からすれば国民的なアイドルになる猫塚さんは大勢の友達と泊まることに感動していた。
さすがに感涙までしなくとも、そう思わされるだけの熱量はあった。聞いていた自由人の不死川さんが若干と引きながらも慈しむように微笑んでいる。
猫塚さんは友達に飢えていることは俺たちの中では周知ではあるけど対応を困ることもある。
ざっくりと無断で判断するなら、現役アイドル猫塚さんはリア充で人生を楽しんでいる。
引きこもりなギャル風な不死川さんは一般的に根暗と非リアとして。
しかし、その陰と陽がどこまでも終始と抱えるものではなくリア充や非リアのようなものを持っている。いつまでも終始にあるとは限らないの知っていながらも隔たりはある。
まったく違う二人が仲良くするのを隔たりなくて和むなあと思いながら横目にして眺めていた。
さて女子大生グループが騒がしくなったのでそちらのほうへ視線を向ける。
「これで、フィニッシュ!」
わずかの間を置いた真奈は高々と挙げた指を液晶画面にタップしていた。
どうやらスマホゲームしているようだ。
「また負けてしまいました。やはり真奈さんには運に左右されるゲームでも敵いませんね」
スマホ画面から顔を上げる三好さんは微笑む。あまり勝負にこだわらない三好さんは笑っていて気の置けない仲である友人と久しぶりに対戦すること時間を大事にしているように窺える。
そうしたものを噛み締めるように。
「やっぱり真奈さまは無敵だと改めて実感しました。運さえも手中にあるんですね」
「フフっ、もう大げさ過ぎるよ香音。
ワタシだって負けるときはあるから偶然が重なって連勝したに過ぎないよ」
「凡愚でしたらテングになるところ真奈さまは謙遜であられる。さすがです!」
こちらの方も盛り上がってはいるけど接待しているように感じるのは俺の気のせいだろうかと思ってしまう。
とはいえ、彼女たちは今年で二十歳となる女性だ。成長した一端があり、その反面に幼い面も残っているのはノスタルジックをどこか感じるものがある。
ふむふむ俺がオッサンになったからか感傷的になりやすいだけかもしれないが。
「あまり触れないでおいたのですが東洋お兄ちゃんってロリコンなのかシスコンどちらですか?」
ソファーで
「いや、どちらでもない…かな」
「そう回答するか大人は。とぼけても無駄なんだからね東洋お兄ちゃん。私から見てロリコンだと思います」
「いやいや、事実に基づいたものがないじゃいでしょう?だったら俺がロリコンとはならない。仮に俺がロリコンなら冬雅が女子大生になったら態度に出るじゃないか?
であるからして言動を窺ってみてもらえば悟ってくれるはず、俺がロリコンではないことを」
「うわぁー。マジそんな必死に返すと帰って怪しまれるけど…事実を基づいたというのは決定的な証拠はあるよ。
冬雅さんの体格や性格も幼いからロリコンに当てはまるじゃないかな?」
「そんなこと……は……ない…………」
好意を抱いて決めている相手は冬雅だけと偽りない気持ちではある。おそらく気持ちは変わっても想いというものは過ぎ去っても思い出として残り揺るぎないものにあるだろう。
そうした恋情があることは自覚はしても、冬雅を大好きになったのが幼げな面と突きつけられて強くは否定が口にできなかった。
「楽しく談話中に失礼。
コーヒーとジュースを持ってきましたよ。お兄ちゃん、花恋よかった飲みませんか?」
高校生の制服の上にエプロンというコスプレをした冬雅、トレイの上には三人分のドリンクが置かれており湯気が立ちこめるコーヒーが二つ。おそらく片方は冬雅のだろう。
「ああ、持ってきてくれたんだ。
ありがとう喉が渇いていたからコーヒーが飲みたかったんだ」
お礼を告げてトレイの上からマグカップの取っ手をつかむ。花恋も「いただきます」と言って受け取って喉をうるおす。
楽しげに微笑んでいる冬雅は花恋とは反対に俺の隣にと腰を下ろす。左右から美少女がいることに鼓動が早まることはない。
「先の話なんですけど、お兄ちゃんってロリコン。やっぱりお兄ちゃんは幼い言動する子が大好きなのですか?」
「ッ――!?ゴホッ、ゴホッ」
この話題して現れたから内容を聞いたのだろう。器官に入ってしまい咳き込んだ。
やっぱりという言葉からして俺がそういうのを好むと疑っていたようだ。
この展開に鼓動は高鳴っている。
「そ、そんなことないよ冬雅。
無邪気な姿には惹かれるのはあるけど恋愛感情とか別であってね…見ていて癒されるからなんだよ」
「そうですねぇ。なるほど分かりました。
でしたら安心してください、お兄ちゃん!」
「安心って?」
「お兄ちゃんが大好きなのな無邪気に、子供みたいに振る舞うことを好む。わたしが小さくありつづけることを維持していきます!」
「ロリコンだって思われているうぅーー!」
こんな気迫の込められた小さくありつづけるセリフを初めて聞いた。
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