第99話―黄葉に色づく街並み其の漆―
そのまま帰途に就こうと予定でしたが、滅多にない紬の外出。説得を何度もしていたが、粘っ根拠よくしたことで納得してくれたのだ。
ですので清掃活動が終わると、わたしたちは近くにある遊ぶことにした。
天真爛漫の
まずバッティングセンターに来ていた。
「だ、だめだ…全然なんだけどぉぉーー!打てないし面白くない」
インドア系の紬はバットを手にして「ここからボクの歴史が紡ぎ出すんだ!」などを
「いいですか紬。
ボールをよくみて打つんだよ」
「そんな根性論で打てるわけないじゃん」
「じゃあ理論的にアドバイスに、スイングすると際にはボールの軌道上を打つことに意識してください」
「…くっ、ロジックな説明を。
こうなれば打ってやりますよ。今度こそは」
小銭を投下して再びバッティングをしようとする紬。こんな熱くなる面もあるんだと思った。
運動すること苦手な紬は、いきなり高速度を打てないので最初は遅い速球のほうへ来ていた。わたしはともかく後輩の黄葉も指導などしようかと思ったが彼女は豪速球の方へ一言だけ言って向かっていき現在は二人だけ。
「よし、打てたよ紬!」
「でも飛距離は低い。かよわいボクには無理か」
ヒットしたけど、ビッチャの位置の前まで。
「あと打つのは腕だけじゃなく全身を使う。
腰を振ることなのですけど、腰を振うことで遠心力を加えれば良くなるよ」
「わ、分かった」
助言して、すぐには効果は現れない。先のは、まぐれの一本で当たった。まず指示されたフォームに振り回されてボールを打つことも視野に入れないとならないため短い時間で複数を処理で苦戦をする。
そして次に、お金を投下した二回目の投球。
「向かいまで飛んだ!やったねえ紬」
「やったあぁぁーー。ヒヨヒヨのおかげでね」
右手でVサインをして無邪気に笑ってみせた紬。
交代して、あまり足を向けていなかったがバット手にして自分もしてみた。思いのほか心地よい投打音が耳に入ってストレスがしていくのだった。
―――次に、喫茶店でお茶をゆっくり飲むことにした。汗を流したあとには癒し効果が倍増。アドレナリンが分泌して語彙力は著しくと下がっていた。
「ヒヨヒヨってこう見えても甘えたがりなんだよね。お兄ちゃんとかお姉ちゃんがいて頭をなでられて幸せそうにしているの前に目撃してさ」
「へぇー、クールな比翼さん家では甘えん坊だったなんて……可愛い比翼さんも見てみたい」
「その話はやめろおおぉぉぉーーーッ!?」
わたしは屈んで身を丸くなりたい感情に従って、けたたましく絶叫をするのだった。
そんな恥を
さて次はどこに行こうかなと店を回りながら、気になったら寄るといった感じで物見遊山を楽しんでいた。
流行りのバナナジュースなどもあったが食べ歩きするのも戒める目を向けられる時期で憚るから諦めてアクセサリーなどを購入してみた。
そろそろ電子マネーこころもと無っていき最後に景色を見たくなった。
わたしがそう言うと紬は嫌そうな顔をしながらも嘆息して頷き、黄葉は朗らかに首肯。
普段は、外なかなか出ないからか紬は疲れていて嫌々そうに溜息は察してよと咎めるように意味が含まれるように感じた。
とはいえ察すること出来るけど、そっぽを向くことにした。
「これは、なかなかの景色」
わたしたちは店巡りを堪能したあとに向かったのは望遠台のある丘の上に来ていた。
柵の近くまで寄って、見下ろせば広がる人々の営み。陽が傾いて残照に照らされる街並み。
「もう一日の半分が過ぎていくんだ……」
右の隣で下の景色を眺める紬は独白なのか誰かに向けて言の葉。どこか哀愁を潜めながら
も時の流れを大事にするような慈しむような表情していた。
「あれだけ遊び回っていれば時間が過ぎるの早くて予想しているのと違っていくのよくあるからね。来てみてよかったじゃない紬?」
「そんな事ないし……でも少し楽しかった」
「引きこもり系でギャル。それだけじゃあ物足りずにツンデレ属性も加えようと画策しようとしているッ!?」
「はぁー。人に好かれやすいのにマジでそのノリだけは、ついていけそうにない」
わたしがそう勝手にそう口走られてたら飽きられるのも仕方ない。
素っ気ないように紬は振る舞うが散々と騒いでいる場面を見てきたので今更感はあるが指摘しないでおくとして。
「あの、せっかくですから写真を撮りませんか!この想い出を残しておきたいです」
スマホを抱き抱えるようにして黄葉は提案する。
「いいよ。それでいいよね紬も」
「はぁ?いやいや私じゃなくてヒヨヒヨと二人きりって意味じゃん。距離や関係性から」
この言葉遣いからして紬には、わたしと黄葉を百合百合みたいに思われていないだろうか。
訂正しようと口を開こうとして――
「いいえ、三人でエレガントに撮りましょう!
この出会いに祝してね」
「まっ!?マジですか……こんなボクと」
なにかの間違いじゃないかと指を自分の容貌を指して確認を取ろうとする紬。
「んっ?そうですよ。せっかく遊んだのですから夕日を背にして撮りたくなる。
もしかして都合が悪かったでしょうか?」
「ぜ、全然そんなことない。でもボクだよ」
「はは、そんな卑下しないでください。
不死川紬さんと撮りたいのです」
「そ、そう……」
ふーん、あの紬たじたじ状態になっているね。
気負うことが無縁そうな彼女には、かけ離れた反応で見ていて面白くなっていく。そのまま傍観してみるのも良かったけど助け舟を求めるような視線をチラチラと向けられて動かざるえない。
だって無視すればあとでムチを叩かれたりされたりする恐れがある。
もちろんムチ叩かれるのは比喩的な意味である。
「じゃあ陽が沈まないうちに早く撮ろう!」
状況と空気を読んで写真を撮るように促したのだった。こうなることを備えていないので誰も自撮り棒は持参していないので手の長さを頼りに撮ることにした。
「あれ上手く撮れなかった。もう一回!」
撮ったものは、わずかに傾いた写真だった。
手のわずかな震えやタイミングなどを遅れたりして何度も取り直した。
「もう少し右だってヒヨヒヨ。ちがうちがう少し右って言っているじゃん!」
「うーん」
わたしは唸りながら手を伸ばして撮ろうとスマホの向きに四苦八苦していた。
もう少しとばかりで数センチとか具体的にあればいいのに感覚ばかりで困る。
「比翼さん二時の方向を二センチに」
「助かるよ黄葉」
「えっへへ」
写真を撮る。今度はどうかなと三人で画面を覗いてみると夕陽をバックにして無邪気な笑みで女の子が三人が写っている。
満足のものが撮れて胸をなでおろす。
「フッフフ、我ながら玄人に劣らず撮ってみせたと自負している。本当に上手いものだよ」
「あー、それ自分で言うのか……」
「お見事な腕前でした比翼さん!」
挟まれるように右や左から賛否を送られる。
わたしは画面から眼下に広がっている景色を見下ろして物ふけに眺める。
すると黄葉は深呼吸すると口を開いてはっする。
「改めて、今日は来てくださって色々とありがとうございました」
「別に気にしなくていいよ。
かわいい後輩のためなんだし」
まだ一年生である彼女には即戦力となっている。なにかを用意するのも不足しているのを独自の判断で決めていくこともあった。
「あの、自分の名前なんですけど
「へぇー、なかなかロマンチックな付け方じゃない黄葉の名前は」
「そうそう」
夕陽のほのかな光が降り掛かっていく。
紅葉のように鮮やかに彩って。
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