第43話―ギャル冬雅の七日目―
昼食は冬雅と、たまには外食を摂ることになった。あまりそこは深い意味はなく誘ったのだがデートの誘いだと冬雅の喜んでいるのが着信音なかなか鳴り止まないのが表れている。
待ち合わせは駅前にしようと指定して送ったが、せっかく近いのですから支度したら行きます。どうやら一直線に直進する。
その日の講義の場所は自宅。オンライン授業を行われるので彼女は隣の家で勉学に励んでいる。そして冬雅がオンライン授業が終わって支度を終えたのは正午の時刻より三十分前に来客を鳴らすボタンを押したのは。
(もう来たのか……オンライン授業まだ終わらないと思ったんだが思ったよりも早いなあ)
孤独感のある空間を作ったリビングのダイニングテーブルで執筆を捗り掛けるかと実験的に行動して三時間が経つ。
それでも物足りない感がありながらも待たせるのも悪いので閉じて俺は立ち上がって支度をするのであった。
用意が完了して外に出ると冬雅は驚いていた。
「ま!?今日のお兄ちゃんヤバいですねぇ。なんだか気合いが入っているの感じるし大きなリュックも超お気になります!」
「ああ、ちょっと買い物にね。それじゃあ行くとしますか」
「はーい!」
ハイテンションになって元気よく手を挙げて言葉を返した冬雅。一瞬そこまで嬉しいことなのかと俺は訝しんだが、そもそもこれはデートと言ったの俺だったと思い出した。
まだ昼前の住宅街は、思ったよりも人の往来があって賑やかだった。コロナ禍で巣ごもりを続けるのも精神的に限界があって爆発したかめしれない。いや、普通にワクチン摂取や重症化よりも危険性が低いオミクロンなどの危険を比較して判断したのかもしれない。
もう常識となった季節はずれの温度。
三月になっても桜は咲いておらず、いつもより睡魔が襲われる理想的な温度。
「誘ってくれるの嬉しいかったです。えへへ、いつもと違って誘われる。わたしなんだかドキドキしています」
「あ、あはは。そのドキドキしているのに俺の前で口にするんだね。ともあれ誘って良かったよ。とても幸せそうな顔を見れて」
まだ移動中なのに、弾けるような笑顔している。もしサプライズしたらどうなるものか。
まだ俺は恋人らしいデートというものがよく分かっていない。なら冬雅と付き合う前にそうした経験をした方がいいかと問われたら多分それは違うし、次に恋愛を活かすために失敗して破綻する前提でするのは相手に失礼。
もし冬雅よりも素敵な人を好きな人が現れても俺はその人を選ばない。
どうしたら冬雅と理想的な付き合いするかを考える。でも冬雅が俺に冷めるときが訪れるときが来たら人生の妨げにならないよう潔く諦めて関係を終わらせることを決めている。
やっぱり俺が年上だから、その辺りは受け入れようとある。あるとは思えないけど冬雅が心変わりしても冬雅の意思を尊重する。
「あ、あの……お兄ちゃん」
「んっ、なんだい冬雅」
どこか身体を揺らして照れる冬雅。はな摘みにいくのだろうか?
「そ、その手を繋ぎりませんか?わたし達って恋人ですし相思相愛ですし大人ですし」
「えぇーっ!?…わ、わかった」
おそるおそるといった動きで冬雅は手を伸ばすが緊張で止まる。だがその緊張は刹那、喉に溜飲して覚悟を決めると手を握ったのだった。柔らかく暖かいと思っていたら「ひゃあ!?」と冬雅は自ら握ったおいて一番に驚いていた。
手を繋いで俺がまず向かったのは知らない人はいないだろうファーストフード店のマック。
そこに行こうと言うと冬雅は「?……??」と珍しく戸惑いと疑問符で情報処理に時間を掛かったのか返事が遅くかった。
たまにはファーストフード店もいいかなと思ったが失敗だっただろうか不安になってきた。冬雅はコーヒーとポテトSサイズにダブルチーズバーガーを選ぶと俺は注文した。
そして三十路に近い俺はカロリーと健康それに食欲の低下もあって量を少なめにした。
頼んだのはポテトL、
ピースを注文する。
「お、お兄ちゃんそんなに頼んで大丈夫ですか?」
「ああ、これが普通なんだよ」
「でもこれって……もう平均の成人男性の摂取するであろう一日のカロリーを遥かに超えているような気がするのですが」
冬雅の指摘に店員もウンウンと頷いていた。
た、たまにはファーストフード店で
そのあと冬雅の静止を押し切ってテイクアウトする。ここから公園で食べようとして歩いて15分ほどの距離。荷物を持っているため冬雅と手を離さないとならなかった。
冬雅は少々…いや、かなり残念そうに落ち込んでいた。なんとかしようとして俺は言葉をかけた。その結果、食べ終わったら両手を握ってお互いの顔を見つめ合うことで話がついた。そんなゲームを約束して話をついたといっていいのかと自問自答を繰り返す。
最寄りの公園に到着すると目的、西洋の東屋であるガゼボが空いており俺と冬雅はそこへ腰を下ろすした。正面にではなく斜向かいになる位置で食事中は静かに食事を取るのだった。
こうして徹底なほど感染しない距離感で食べていると飛沫を飛ばないようにするのが、なんだか手際がいいと感じる。
油断して頼みすぎた俺は平らげると、お腹にはち切れるんじゃないかと苦しい満腹感に襲われていた。
「もう駄目ですよお兄ちゃん。
いくらデートで
「そう……だな。反省して次に話をするけど、冬雅このあと俺と一緒に美術館でデートしないか?」
今からですか!?といって彼女は瞠目して肯定するかどうか迷いを見せていたが、デートというワードが効いたのだろうか。冬雅は小さく頷いて意志を表示したのだった。
―――俺が向かったのは六本木にある日本では五番目となる国立美術館の前にいた。
そこは国立新美術館。
「やあー、マジできゃぱい。お兄ちゃんに翻弄されてキャパくなると勢いで言ってみましたが、まるで愛を叩くようなものですねぇ!」
「よーし、冬雅とりあえず落ち着こうか。
また謎の言葉と凄まじいことを無意識にしているよ。それできゃぱいって?」
「キャパオーバーのことです。いっぱいいっぱい様子やテンパるという意味ですねぇ。
えへへ、わたしも真奈みたいに解説したかったので叶えられました!キャーです」
そんなに真奈のようにギャル語を説明したいと願望があったの初耳だったよ。
ともあれ冬雅よ本当に落ち着こう。とくに最後の悲鳴なのか歓喜の叫びなのか分からない。
「えへへ、いきなり行こうなんて誘ってくれて嬉しかったです。どんどん言ってくださいねぇ。ワガママやお願いでも喜んで叶えます」
また、そんな安易に宣言してと注意するべきかと脳裏によぎるがこんな型破りなことを。
でも、ある意味ここに来たのは冬雅の夢を叶えるためにでもある。
歩いていくと正面の入口には、うねりのような波のガラス張りの大きなスケール。
入館すると圧巻させられた。展覧会ごとに観覧料が変わる。空間そのものが見所があって意向が凝っている。
オレンジ髪の美少女(ウィッグだけど)ギャルの冬雅も「スゴいですねぇ……」と呟いていた。
「ここは所蔵品を持たない美術館なんだよ冬雅。それと展示には大きく二つと分けて企画展と常設展があるんだ。
常設展は期間を設けずに展示すること。
その真逆が企画展でテーマに
「へぇー博識なんですねぇ。えへへスゴいです!さすがは、お兄様です」
「……冬雅それワザと言っていないかい?」
芸術に囲まれる不思議な場所を進んでいくとカフェやレストランなどの食事のエリアもあって、どれも美味しそうである。
思う存分に楽しんで入ってきた門をくぐって振り返ると有名な建築家の黒川紀章さんが最後の傑作品だと思うと歴史好きとしてはセンチメンタルを刺激されるものがある。
そんな流線的な建物は、すっかり夕焼けによって美しく照らす。
夜になると、なんとライトアップされて美しさを際立つらしいが今日は時間があって見れそうにない。
(また冬雅と来て、そのときに見ればいいか)
に眺めると冬雅は、抱きつくような勢いで俺の手を握ってきたのだった。
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