第30話―溢れる想いは海よりも深く―
グリュースゴッド挨拶を交わした後、すぐ冬雅は俺の家にやってきた。
都会の外を出れば、どんな人のない場所であっで必ずと言っていい程に一人や二人はすれ違う。そんな当然のように冬雅はそう例えるぐらいには毎日と関わってくる。
(あれ?今日は
呼び鈴を押さずに冬雅は2か3年前に渡した合い鍵を使ってドアが開く音がリビング中に音が届いた。
そのまま一直線に居間と考えたが、まず向かったのは洗面所。俺は料理を作っており今は出迎えない。それと
そして廊下から聞こえる足音、ドアが開く。
「お、お兄ちゃん大事な話があります!」
「ああ……んっ。大事な話って?」
フライパンの取手から離して振り返る。
まだ高校の制服をして来たことはスルーして
冬雅は華奢な身体を揺らしていて頬に赤くなっている。
これは珍しい。モジモジするなんて……羞恥が襲ってもそれに屈せず突撃していくような女の子。ふむ、なにか変なものでも食べたのかな?
「わ、わたしたち恋人ですよねぇ」
「そうだね。それを言わないと告白しても実感しないけど正式にそうあるわけだね」
自分の言葉に疑問を抱く。
そもそも正式な恋人じゃないのがあるのか。
「で、ですよねぇ。えへへ感極まっている気持ちのまま言います!
お兄ちゃんのこと大好きです。わたし、これからもこうして毎日そのあとも告白は継続していきたいと所存です」
「所存していくのか……」
「えっ!?い、嫌でしたか……」
「まさか。その逆で望んではいるけど冬雅が疲れないかなと思って。
毎日と告白するの並ならない勇気が必要なわけだし恋人になったのだから頑張って言わなくてもいいんだよ」
ふむ我ながら、なにを心配しているんでしょうね。でも毎日と告白をやろうと決めたのは断って距離を取ろうとした経緯がある。
そんなことに冬雅は不満を持って、離れた分だけ近づいて近づこうとしての策が毎日の告白。ここでより要約すればこうなる。
距離を取ればいずれ恋慕は冷めていき自然消滅などを図っていた。年の差なんて上手くいくはずがないと考えた俺。
フラれて、諦めが悪かった彼女は宣言した自分に課した無理難題。それが毎日の告白。
いきおいだけで自暴自棄ともあったから途中で
しかし冬雅は宣言した通り貫いた。
「配慮してくれて、ありがとう。でも、やめません!これだけは、わたしが好きなのでしたいんです。
一日に一回に伝えるのすごく気持ちよくて、もうやめれません!!」
まるで依存性の高いドラックをやめれない発言だなと俺は感じた。ある意味そうかもしれない恋愛というのは依存性が高い。
恋は盲信という言葉があって、冬雅を好きになってからそれが顕著に心に湧き上がっているのが体感している。
「そうか。やっぱりこれからも続くんだね。朝食もう少し出来るから待っててくれ」
「はーい!」
冬雅はコタツの中に入ると。隣にスクールじゃないカバンを置いて中からタブレットを取り出した。ペン付き。
それは漫画用として購入したタブレット。
懐かしいなあと感じながら冬雅は受験や色々と追われて書く時間が無かったのだろうと俺はキッチンから見た。
「「……」」
声をかけないほうがよさそうだ。集中しやすいように邪魔しないように。
そうしようと思ったが朝食が出来上がってしまい冷めないうちに食べようとやむ無く声をかけて中断させざる得なかった。
冬雅は迷惑そうに邪魔されたといったマイナス感情を一切しないで満面な笑顔を向けていたのだった。
朝の食卓の上を焼き魚、ほうれん草の
「えっへへ、お兄ちゃんの料理」
冬雅からすればインスタ映えにもならない日常生活がありずきるのに至福のような顔をしている。鼻歌を歌うように呟いた冬雅。
しかしたしかに幸せだなと感じる。
恋人になったこと自覚しているから心情に影響しているかもしれない。
「「いただきます」」
手を合わせて食事を始めんとする古典的な感動詞を綺麗にハモる。
さて、まずは味噌汁と手を伸ばそうと――
「あの、お兄ちゃん」
声を掛けられ顔だけ上げる。
目を離しているので味噌汁が入った器を慎重に口に運ぶ。
「なんだい冬雅?」
「恋人になりましたし、そろそろ大事な将来を見据えるべきだと思うのです。そ、その……具体的には
「それはたしかに考えるべきだね……
えっ、婚姻届って?」
「生涯のパートナーを選んだのが、まさか真奈じゃなく、わたしを選んでくれたことに大変スゴく光栄で幸福な気持ちです。
ここは恋人らしく婚姻届を書こうと思いまして用意しておきました」
すると冬雅はカバンから流れるような動作でテーブルの上に一枚の紙を置いた。
それは紛うことなき婚姻届であったのだ。
「……」
「わたしは昨夜から記入しました。
あとは、お兄ちゃんが記入していただければ晴れて夫婦になれます」
「ちがうから!?冬雅なにかと間違えているよ。順序とか何もかも!!」
あまりにも突拍子のない話題に俺は叫ばざすにはいられなかったのだった。
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