GFQ~ガール・フレンド・クエスト~

桜川玲音

ダイジェスト

≪勇者≫と≪魔王≫~≪勇者≫とシステムまでのダイジェスト

人類は、宇宙人から叡智と、魔法とも呼ぶべき人知を超えた技法を与えられた。しかしそれは禁断の果実だった。


ほとんどの人間が魔法を使うためにマナを持って生まれてくるようになったが、

稀に突如魂ごとマナを吸い出すようになってしまう人間……≪魔王≫が発生するようになってしまったのだ。


唯一対抗できるのは、ディトランサーと呼ばれるマナを断つ剣を保持し、≪魔王≫へと接近ができるマナを持たない≪勇者≫だけだった。


人類は種の保存のために、セクターと呼ばれる画一化された小都市を分散配置し、≪魔王≫の前兆となる≪魔王の蛹≫を人類保護局が管理する<キンドレド>というシステムによって検知し適宜「処置」していた。


しかし、そこには不都合な真実が含まれている。

セクターに住める人口には限界があるということ。


そこで、人類保護局の上位層は<キンドレド>の≪魔王の蛹≫の検知率の完璧性に僅かばかりの綻びを生ませることにした。

そうすることで≪魔王≫によるセクター内の人間の間引きを実現し、セクター全体のエコシステムを保っていた。


その全てを知りながら、≪勇者≫として人類の保護を担っている神谷かみや 通陽みちはるは、

故郷のセクターへと戻ってきた折に、新人の≪勇者≫のバックアップを任されることになる。

理由は、システムによって≪魔王≫へと孵るために選択された≪魔王の蛹≫が、その新人の姉にあたる人物であるためだった。


通陽は自分と同様な境遇へと追いやられる新人の≪勇者≫への憐憫と、それを見過ごすしかできないやるせなさを押し込めるしかなかった。


そんな彼の前に、新人の≪勇者≫の姉、そして≪魔王≫へとなることをシステムに定められた女性、天峰あまみね 香珠妃かずきが偶然現れる。突然のことに動揺する通陽であったが、なんとかその場をやり過ごそうとするが、すれ違いざまに香珠妃から見つめられ、通陽もまた不自然に視線を合わせてしまう。


ただ、それだけのことであったが、通陽は奇妙なざわつきを感じていた。

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