第28話
「ん~?何なんだろうこのお守り・・・?」
「あ~・・・」
「・・・え?」
優がお守りを手に持ち眺めていると、何処からか声が聞こえた。一体何処から?と部屋の中を見るも勿論誰もおらず、家の中にも今は優しかいない筈だった。
となると、勝手に家の中に人がいるという事は泥棒や強盗の類かと優は慌てだす。
「ど・・・泥棒!?どうしよう!?け・・・警察」
警察に電話をかけようと携帯を取り上げようとしたところで、再び誰かの声が聞こえた。
「ははっ、泥棒?」
「ひっ・・・!?」
思ったより近くから聞こえた声に驚き、咄嗟に近くに置いてあった本を掴み構える。
「ち・・・近づいたらこれでぶん殴るからなっ!?ハードカバーだから痛いぞっ!?」
キョロキョロと部屋の中を見回しながら本を振り回す。
しかし部屋の中には人の隠れるようなスペース等はそうなく、あるとしても服が仕舞ってあるクローゼットの中か押し入れくらいなものだ。
優はゴクリと唾を飲みこみ、どうしようか考える。警察に電話をかけようにも、かけている最中に声の主が現れ危害を加えられるかもしれないし、下手をしたらそのまま・・・。
最悪の事態を想像してしまい焦りに焦った優は何を思ったか、先手必勝で攻撃を加えれば何とかなる!と言うおかしな考えになってしまい、声の主が隠れているであろうクローゼットと押し入れを確認しようと行動しだした。
未だ手に持っていたお守りをポケットへと突っ込み、ハードカバーの本片手にまずはクローゼットへと近づく。
クローゼットの中で隠れられるとしたら一番大きな扉が付いた部分なので、そこへ手をかける。
「ゴクリ・・・」
緊張の為自分が唾を飲みこむ音が大きく聞こえたのを感じながら、本を振りかぶりながらクローゼットの扉を開けた。
「・・・っ!?」
しかしそこには誰もおらず、服がぎっしりとかけられていただけだった。
という事は・・・
(押し入れ・・・)
押し入れの方へバッと振り向き、本を構えながら近づいて行く。
そして再び本を振りかぶりながら押し入れの扉に手をかけ・・・開いた。
すると押し入れの片隅に何かが丸まっていることに気が付いた。
「う・・・うわぁぁああ!?」
いざ声の主に対面すると声の主に攻撃を加えると言う考えは頭から抜け落ち、悲鳴を上げながら尻もちをついてしまった。
「ひっ・・・ひぃぃいいい??」
しかしよくよく見るとそれは・・・
「い・・・いつぞや入れておいた布団じゃないか・・・」
優が人だと思ったのはゴミ袋に入った布団だった。捨てる前に入れておいた物をすっかり忘れていたのだ。
「な・・・なら一体何処に!?」
隠れていそうなクローゼットと押し入れにもいなかったので、何処にいるんだとキョロキョロと見回す優だが、他に人が隠れられそうな場所はない。
「げ・・・幻聴だったのか・・・?まぁ最近疲れてたしな」
「あはは、幻聴?違う違う」
「ひっ!?」
てっきり聞こえて来たのは幻聴だと思って呟くと、その呟きに答えが帰って来た。という事はやはり誰かいるのだと優は警戒した。
「だ・・・誰だ!?言っとくが内には金目の物はないからな!盗っていくものはないぞっ!」
「あ~、そもそも泥棒やないで。というか、誰とは心外やな」
優が声の主に問いかけると声の主は気さくに喋りかけて来たのだが、優の記憶にはこんな喋り方をする声は覚えが無かった。
「・・・!?こ・・・こんな時間にこっそりと人の部屋へ入ってくるような知り合いはいない!」
「こっそり?あはは、最初からずっと居ったやん?なあ?」
「はぁ・・・!?そんなわけな
いやいや、居ったで?」
(!?)
突然優に不思議な現象が起きた。
話している途中に声の主に割り込まれると、何故か声が出なくなってしまったのだ。
(い・・・一体!?ま・・・まさか超能力者!?・・・霊がいるんだ、いてもおかしくないか。でも何で超能力者が家に・・・?)
「あははは!超能力者!そんなんおらんやろ!?」
(心を読まれた!?やっぱり超能力者なんじゃ!?)
「あはははは!あーっはっはっはっは!ひぃーっひっひっひ・・・・」
優が再び超能力者説を考えると、声の主は大爆笑をしだした。
声の主は否定したがやはり心の声を読んでいるとしか考えられず、声の主にやはり超能力者だろう!と叫んだ・・・筈だった。
「あはははは!あーッハッハッハッハ!ヒィーっひっひっひ・・・・」
(あれ?また声が・・・)
「あはハハは!あーッハッハッハッハ!ヒィーっひッヒっひ・・・・」
(そもそもこの声は何処から聞こえて・・・それにどこか聞き覚えのあるこの声は・・・っっ!?)
「アハハハHA!アーッHAハッHAハ!ヒィーッHIッヒッヒ・・・・」
その声は・・・優の口から出ていた。
「AHAHAHA!・・・さて、そろそろ喋りにくいからどうにかしよか」
「あたっ・・・!」
どうにかしようかと言った直ぐ後に、部屋の入口から声が聞こえて来たのでそちらを見ると、一人の男が尻もちをついていた。
「ってまぁ痛くはないけどな?でも何で尻もちやねんな。これもあれのせいか?」
その男は尻もちをついた状態から立ち上がり、優の顔を見て来た。当然、優からも顔が見えるのだが・・・。
「な・・・なんでここに・・・?」
「なんでて?ひどいなぁ優ちゃん」
そこに居たのは・・・
「何でここに・・・?阿部さん・・・?」
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より:読んでいただ ありが うご います。
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