第244話 モササウルス捕獲作戦 顛末と水着混浴 11月上旬

<<五稜郭建設予定地 地先海域>>


下を見た時には、すでに巨大な顎が俺を食らおうと広げられていた。こりゃあ飲まれる・・・


だがなぁ・・・ 「おりゃあああ!!」 赤い触手を真下にたたき込む。


「ふん!」


上顎の奥、おそらくその先は頭部だろう。ここを破壊してやる。赤い触手で、ヤツの口の中から頭部をズタズタにする。


「おじさん! なんで逃げないの」と、後ろから声が聞こえる。


オキタがファイターで口の中に飛び込んできた。このバカ。


「毒針!」


オキタがライズしてきた恐竜に物騒な魔術を使う。


「バカ!」


オキタのファイターを掴む。巨大な恐竜の口に飲まれながら、ファイターに反重力魔術をかける。


反重力全開! ん? 俺を飲み込んだヤツにも魔力が通る!?


「おんどりゃぁあああああ~~」


巨大な口に挟まれながら、恐竜に反重力魔術をたたき込む。同時に赤い触手を体の回りに展開し、呑み込まれないようにする。この触手は、実は防御も出来るのだ。触手は万能だ。


海にさえ引き込まれなかったら、何とでもなるずだ。

息さえ出来ればどうとでもなる。だけど、臭い。とても臭い。


気付くと、俺とオキタ、それから、何気にファイターの前席に乗っていたノルンの3人は、赤い触手で守られた状態で、肉壁の中にいた。

今回は、オキタのファイターのバディには、ノルンが乗っていたようだ。


数秒すると、誰かが明かりの魔術を使ったようで、周りがよく確認出来た。


おそらく、恐竜に飲み込まれたんだろう。だが、水が入ってこない。

反重力が間に合ったからだと思う。今、俺たちは恐竜ごと宙に浮いているはずだ。


「おじさん、すごい。これ、恐竜ごと反重力魔術で浮いている!?」と、オキタが言った。


「ええ? 生き物には通用しないはずなんだけど」と、ノルンが言った。


「いや、この恐竜、もう死んでるよ。多分、即死」と、オキタが言った。


「ああ、ひょっとして、死んだから反重力が効くようになったのか?」


「そうだね。死骸は魔術の浸透を拒否しないから」と、オキタが言った。


「そっか。このまま浮かせたまま。口から出るか」


「分った。でも、ここで艦載機は動かしにくい」


「ファイターは俺が持ってるから、お前は口から出て皆に無事を知らせてこい。こいつはデカいだろう。剥製にするぞ」


「了解。行ってくる。ノルンさんは待ってて」


「分った。うへぇ。臭い。でも、あんたってさ、一体何者なの? 異常だよ」とノルンが言った。


「知らん。失敬な」


「ふぅ~ん。あの軽空母や異世界転移の魔力もさ、一体どうやって維持していることやら」


「気にすんなノルン」「はいはい。首突っ込むつもりは無いけどね」などと、ノルンと無意味な暇つぶし会話を続ける。


・・・・


そのまま肉壁の中で待っていると、出て行ったオキタが戻って来た。


「これって、巨大なモササウルスだった。体全体が空中に浮いてたよ。すごいすごい!」と、オキタが言った。興奮している。


「いや、オキタどうしたらいいんだ? こいつをこのまま持って帰りたいんだが」


「ああ、ごめん。こっちの方に進んで」


オキタの指示通りの方向に、恐竜を口の中から持ち上げたまま空を進んでいく。



・・・・

<<五稜郭建設予定地>>


ようやく陸上に着き、モササウルスを地面に置いた後、口の中から俺とノルンが這い出る。時間にして30分くらいだろうか。


「ふう~臭かったぁ」


「私は死ぬかと思ったわよ」と、ノルンが恨み言を言う。


途中、オキタが空気精製の魔術で新鮮な空気を作ってくれたのだが、それでも臭いものは臭い。


「ま、結果が良ければいいのさ。風呂行こう。体を洗いたい」


「あ~はいはい。私も入ろ。温泉に」


「源泉の方に行こうと思うんだが」


「いいんじゃない? せっかくだし、一緒に入ろうよ。一人じゃ寂しいし。水着持ってきてもらお」と、ノルンが言った。


「そうだな。水着着て入るか。今日はもう仕事はしない。いや、したくない。温泉入ってのんびりする」


・・・・


成り行きでノルンと混浴することに。まあ、水着混浴だ。


ここの天然温泉は、すでに有志によって浴槽が掘られている。一応、間に土魔術で造った壁を立て、男女に分けられいる。だがまあ、今回は水着だから、ノルンも男子湯に来る。


「おっまたせぇ~」と言って、ノルンが俺のいる男子エリアの方に入って来た。


水着で入ると言っておきながら、こいつは全裸で入って来た。俺はちゃんと水着を着て、すでに体を洗って温泉に浸かってまったりしているところだ。


「おいおい。お前はなんで全裸なんだよ。写真撮るぞオラ」


「ん? まだ体洗っていないし。水着はその後。で、写真? 別にいいよ。可愛く撮ってよね」と言って、ノルンが脇を見せるようなポーズをとる。そのポーズ、何処で知ったのだろうか。


「まじかよ。分った」


一瞬でアイテムボックスからカメラを取り出し、カシャカシャとノルンを連写しまくる。このナイスバディの金髪エルフは、恥という概念が無いらしく、カメラの前で惜しげも無くポーズをとる。


「お小遣いくれたら、あそこも撮っていいよ」と、ノルンが言った。もうすでに映っている気がするが、気にしないことにした。


よく見たら、手に、ビキニを持っている。きっと、体を洗ってから着るつもりだったのだろう。


「分った。払おう。適当にポーズを取ってくれ」


「はぁ~い!」


何故か、撮影会が始まった。


湯煙の中、色んなポーズを取らせ、色んなアングルで撮影していく。

流石はエルフ。絵になる。普通に背中だけでも様になる。いや、こいつは背中が綺麗だ。肉付きが良く、お尻も綺麗だから、卑猥というかどこか芸術品のようだ。


・・・・


「次は?」と、ノルンが言った。少し挑発している気がする。


「アヘ顔ダブルピース」と、言ってみる。


「え? こう?」と言って、ダブルピースしてくれる。


「表情がアヘ顔になっていない。ちゃんと眉毛をハの字にして、口元をだらしなく」


「こう?」と言って、ノルンは、仁王立ちで切ない顔をしつつ、ダブルピースをする。


俺はそれをカシャカシャと撮影する。

西日を受けて、妙になまめかしく映る。その後、『バックで即行きした男を侮る表情』『合意無きNDをした不届き者にキレる表情』『最初は嫌がっていた癖に、直ぐに裏切ったヤツと出会った時の表情』など、様々なシチュエーションを撮影しまくった。


こうして、温泉撮影会は概ね終了した。

こいつは俺を襲おうとしないし、俺も何故かそういう雰囲気にならない。至って健全な撮影会であった。


今はまだ太陽が昇っている。


ここの風呂の端から見える港湾建設用地のヤードには、巨大な恐竜が横たえられている。


全長25m以上あるモササウルス。


今、総出で水魔術による洗浄を行いながら、皮と肉を骨から切り離す作業を行っている。

肉の一部は、軽空母の貯蓄魔力を使いながら、魔術によって冷凍処理が施される予定だ。


いつの間にかビキニを着たノルンと一緒に、沈む夕日をぽけぇと眺め続ける。何故か、ノルンはビキニを着た方がぐっとくる。そのことは口に出さないけれども。


これにて、珍しい恐竜捕獲作戦、ミッション終了。



◇◇◇

<<異世界が本当にあるか検証するスレ>>


すれぬし『徳済ちゃん負けちゃった~~~』


名無し『やっぱ、現役総理にいきなりは無理だよ。でも、アマビエ新党自体は躍進したんだし、いいじゃん。きっと、異世界と日本は仲良くなれるよ』


名無し2『うん。タマクローちゃんを助けに行かないと。』


名無し3『僕は魔王ちゃんを応援しに行くんだ』


名無し7『今、本当に自衛隊志願者が増えているらしいぞ?』


カメラ男『あのネットニュースに出てた写真のオリジナルな、ここで投稿されたものだ。やはり、このスレに現われるあの2人は・・・』


ギルマス『呼んだ?』


すれぬし『あ、ギルマスさん。今晩は』


ギルマス『お前達、冒険者ギルドの募集。ネットに出したのに・・・』


名無し1『え? アレって本物だったんです?』


名無し2『いや、途中で本物かもって思ったけど、気付いた時には回線が繋がらなくなった』


ギルマス『冒険者ギルドのネット求人。あまりにも反応が無いから、テレビでしゃべってもらったらしいんだ』


すれぬし『なんと。そんな裏話が・・・でも、求人終わったって』


ギルマス『すまんな。今回の求人は大手の警備会社数社に決まってしまった・・・だけど、人手はそれでも足りない』


名無し5『失礼ながら、冒険者を目指したくないけど、異世界には行きたいっていう人はどうしたらいいんでしょうか』


名無し6『それは旅行という話にならない? そうなると、もう庶民ではどうしようもない金額に。ガクブル』


ギルマス『そうだな。今の旅行はとても高価だろう。それ以外の方法は俺の立場的にどうしようもない。それに、職業あっせんとかすると、法的にいろいろあるらしいんだ』


名無し1『急にファンタジーっぽくない話に・・・でも、単に行ってみたいっていう人はおいておいても、冒険者以外で活躍したいっていう人はどうすれば』


ギルマス『そりゃ、異世界事業に参入を表明した会社に就職すれば可能性はある。言っておくが、どの職業も大変だからな。すでに報道されているとは思うが、各種専門職はすでに異世界に行っている』


ギルマス『続き それに、異世界移動は結構高価なんだ。だから、異世界に就職するってことは、海外に就職することと同じか、それ以上に大変と思ってくれ』


すれぬし『そうか。結構世知辛いんだな・・・』


ギルマス『だが、異世界人、要は日本人とかは、魔術的才脳が高い場合が多い。それに、異世界人は今のところモテる。貴族が囲おうとするからな。ムフフな方法も噂されている。あとは、魔術による自己修復で体感10歳は若返る。まあ、1回のみの体感だけど』


名無し1『行きたい。行きたいっす! 僕もうおっさんの歳なんですが、もうこっちの世界は飽きた。辛いことがあるし』


名無し3『俺も・・・最近離婚して、こっちの世界はもういい。異世界はスタンピードがあるから、のんびりは出来ないと思うけど。それでも・・・』


ギルマス『ま。これからいろんな報道が出るだろう。嘘やでまかせも多いとは思うが、それら全て見てみて、自分で判断して、応募してくれや』


名無し9『うん。ぼくもおっさんだけど頑張る』


名無し5『ここにいるのって、おっさんが多いのでは?』


すれぬし『かくゆう私もおっさんですし。若い子はSNSとかチクタクとかやってますよ・・・』


怪人キャッスル『最近忙しくて済まん DZ22000109.jpeg DZ22000512.jpeg DZ22001011.jpeg DZ22001122.jpegじゃ 俺は寝る』


・・・


この日、晴天の夕方、夕焼けと大海原をバックに、ビキニを手に持った美巨乳エルフの写真がアップされた。

温泉に入ろうとする、全裸と思われるその姿は、逆光と温泉の湯気と手ぶれで局部が奇跡的に隠れており、R指定は問題ないものと推察された。


写真は、それぞれ、まぶしいばかりの笑顔。男を誘うような表情、背中とお尻、そして、アヘ顔ダブルピースの4パターンであった。


超荒れたらしい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る