第172話 (メタボおっさんの)絶対服従
「ぎゃあああ!!!!!」
聞きたくねえ叫び声が、王都中に響き渡ったとか渡らなかったとか。
そう、メタボおっさん(50)だ。
チョッキンの刑・・・・じゃない、治療をした。
どうやらこの世界に麻酔のような都合のいい薬は無いようだ。
「あるわよ?」
「え?あるのに何で使ってないんだ?」
ヤーナ曰く麻酔はあるらしい。
「あれを使うと1ヶ月ほど変になっちゃうから、普通は使わないのよね。」
それ、麻酔というよりモルヒネじゃね?
そして俺は今更だが思い出した。
【異世界あるある】低体温療法だ。今回は違うが。これは頭の治療だからな。そして温度を低くするってので思い出したんだが、切ったりする部分を氷なんかで冷やすんだ。
冷たくなった部分って鈍くなるだろう?
何で思い出せなかったんだ。
「なあヤーナ、温度を低くして、つまり氷なんかで冷やしたら痛みって感じねえんじゃねえか?」
「え、そうなの?でも確かに雪の中で寝ちゃ駄目って聞くわね。だったら試してみたらよかったのに。」
「だってさあ、今思い出したんだから仕方ねえじゃねえか。」
折角の実験台が勿体ない。
「ヤーナ、そしてクーン様、終わりましたわ。」
フロリーナによる治療は無事終わったらしい。
「あんなの見たくありませんから、隠しての治療って大変なんですよ?それとあそこに取り出した魔道具を置いてありますけれど、何でしょうね。」
やっぱり魔道具だったんだ。
メタボおっさんの股間がどうなったとか興味はないから放っておくとして、やっぱり魔道具が仕込まれていたのかよ。
・・・・
・・・
・・
・
そこには金ではなく、怪しい光を発する小さな球が2つあった。
「なあ、これって誰か鑑定したのか?」
俺は球の周囲にいる連中に聞いてみた。特に手術前に鑑定した連中だ。
「いや、何かあると困るからやってないぞ。」
だそうだ。
「うーん、触ったらどうなるんだろうな?それか声を掛けるとか、道具を使って球に何かないか確認してみるか?それもしてねえんだよな?」
皆していないというジェスチャーをしている。
うーん・・・・触るのは無しだな。これが収まっていた場所が場所だからな。
「よし、一寸色々やってみる。何かあったらそれぞれの判断で対処してくれ。」
俺は【土】で棒やら球を掴む道具を作った。
まあトングみたいなのだな。
それで球を持ち上げ、全体を見ていく。
何かわからんがこの発光、暗いし赤黒いと言えばいいのか?嫌な色だよな。
そんな中いくつか気になる部分を見つけた。
針の穴ほどの小さな穴が数ヶ所あったのだ。それに網状になっている部分もあった。
俺の見立てではスピーカーかマイクに感じる。
違うか?そして突起はなく穴があるのな。
適当に穴に合う大きさの棒を用意し、突っ込んでみるか?
ああ、それとメタボおっさん、拘束されている魔道具が消えたせいで、完全に隷属化できたようだ。今までの隷属化って何だったんだ?
絶対服従・メタボおっさんの出来上がり。
先ずは痩せるように命令してみるか?
見るに堪えないからな、あの腹は。
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