クラン【以一当千】
第111話 王都で暮らし始めて2年が経った
ティーデとヒセラと共に王都で暮らし始めてから、2年が経った。
そしてクランの発足から1年が経過している。
この間に大きな変化があった。
クランの新規メンバーが50名を超えたのだ。総勢80名近い大所帯になってしまった。
あまりにも増えていくので、30名を超えたあたりで今後の活動方針をどうするか、検討を行った。
主要な部分での活動指針に変化はないが、そもそもの募集要項を変えた。
今までは1ないし2スキル持ち限定、3スキルは要相談としていたのだが、幸い?な事に今まで3スキル持ちがやってこなかった事もあり、思い切って2スキル持ちまでの限定に変えた。例外はない。
但しこの変更を行った事で、【以一当千】が2つスキル持ちまでのクランと、強烈な印象を与えたようで、至る所で賛否両論が・・・・
「ちょっとクーン、何こんな所で油売っているのよ!早くしないと新規メンバーの受け入れが間に合わないって言っているでしょ!」
相変わらずのヤーナさん。
激おまこぷんぷんまr・・・・いや、言うまい。殆ど言ったようなものだが。
さて、ヤーナが何を怒っているのかといえば、
最近王都にやってきた祝福済みの10歳、このうち2つ持ちまでのメンバーが続々と我がクランへの加入を希望してきたのだ。
今は80名ほど在籍しているが、これが今回、何と一度に100名も希望者がいると言うから驚きだ!
何せ今まで1ないし2スキル持ちを受け入れるようなクランが存在していなかった事も大きいが、【以一当千】が成功している事が大きいようだ。
そして俺は何をしているかといえば、大急ぎで仮の宿舎を建造中なのだ。
【土】で壁や屋根、床などを作っていき、その後に家具や必要なものを揃えていく事になるのだが、まず俺が建物本体を用意しないと片付かない。
今何とか50人分の住居を用意したのだが、まだ半分残っている。しかし・・・・
「ヤーナ、魔力切れだ。もう限界。」
50人分の部屋を用意するのは相当魔力を消費する。
流石の俺も枯渇寸前だ。
「ちょっとこっちに来なさいよ!」
俺はヤーナに手を引かれ、作ったばかりの部屋に入る。
「私のを分けてあげるから、目を瞑りなさいよね。」
最近成長著しいヤーナ。
一方の俺は、ますます田舎者っぷりが目に付くようになってきたと思う。
ヤーナの顔が近づいてくるのが分かる。
そして俺の口に何かが触れる。そう、ヤーナの唇が俺の唇に触れたのだ。
俺はそっと目をあけると、そこには・・・・駄目だ!
最近ヤーナの顔面偏差値がますます上がっているんだ!
同じ人類として、この差は何だと思ってしまう。
暫くして俺の魔力はある程度回復した。
「ヤーナ、ありがとう。」
「あ、あんたしかできないから、こうして回復させたのよ!か、勘違いしないでよね!」
相変わらずの【ツンデレ】さんだ。
「何時もヤーナには感謝している。」
「じゃ、じゃあ態度で示しなさいよね!」
これはヤーナのおねだりだ。
俺はヤーナをそっと抱き寄せ、そのまま抱きしめる。
何故かヤーナはこれをするとご機嫌になるのだ。
「さ、さあお互い頑張りましょう!私は絵付けをしてくるから。」
ヤーナの白磁器の絵付けは唯一無二。
誰にもまねができない。
後継者を育てたいが、こればかりはセンスだからな・・・・
そして温泉複合施設【以一当千】。
温泉もパワーアップし、最近白磁器の絵付けの体験をスタートさせたのだが、これが好評で、実際ヤーナの負担が若干減っている。
これ、器そのものの形も、希望者にやってもらうのはどうだろう。
日本に居た時に陶芸でやった事がある。
轆轤を回し、形作る。
この後絵付けを行い焼いてもらう。
尤も陶器と白磁器では色々違うと思うが、こういうのは自ら作ったと言うのが大事なのだ。
そして主なターゲットは富裕層や貴族。
こういった人々の心に訴えかけられる言葉が欲しい。
そして手狭になってしまった館を新たに建てる事になったのだが、建て替えではなく別の・・・・土地は豊富にあるので、同じ敷地に建て替えをするのだが・・・・今までの館は温泉複合施設として利用するつもり。
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