第98話 素材集めに奔走する
クラン設立から2ヶ月が経った。
この間に工房の細かな改装やら、拠点の改装やら、そして必要な工事もやってもらっている。
そしてこの頃の俺達は、もっぱら素材集めに奔走している。
一応依頼もこなさないといけないからと、薬草採取も同時に行ってる。
【何故我が・・・・】
愚痴っているのはシロだ。
シロには台車をけん引してもらっている。
薬草や素材の回収に台車が欠かせないし、シロが居れば俺達が台車を曳かなくて済むし。何せこの身体は子供だ。力が無さすぎて断念した。
それに何かあった時には頼もしい戦力なんだぜ!
こんなモフモフなのにな。
そう、わんこ達はクラン【以一当千】にとって必要不可欠のメンバーなのだ。
え?そいつフェンリルじゃないか?何で荷物を運搬する台車なんか曳かせているんだよって?
だってなあ、最近天馬はクランでレンタルしているんだ。
正確にはクランとして、外に貸し出していると言った方が正解だな。
折角従魔も沢山いる事だし、何かいい案がないかと検討した所、天馬に人を乗せる車を曳かせて活用しては?となり、だが俺達に御者は無理だろうと思った所、最近増えつつあるクランの加入者に御者の真似事をやってもらう事になった。
天馬は賢い上に、こちらと意思疎通ができる。
よほど理不尽な命令以外は、直接の主以外であっても、主があらかじめ伝えておけば命令を実行してくれる。
流石にトカゲ・・・・ドラゴンにそう言った事をさせるのは無理があるから、ドラゴンは一度魔境の向こうに戻ってもらった。
エサ代もバカにならないからなあ。
ああそうそう、俺は気が付いていなかったのだが、何故かクランの代表となっていた。
知った時には既に手遅れで、何故ニールスにいじゃないのかって、問い詰めたよ。
「クーン、ここのお金は正直な所クーンの金で成り立っているんだ。だからクーンが代表となるべきなんだ。」
そんな事を言われても、と思うが今更。
俺はクランの代表ってリーダーって言われるのかと思ったが、パーティーの代表がリーダーだから、クランの代表はリーダーではなく、そのまま代表と言うんだって後から知った。
後付け設定ってある意味便利だよなあ?とかつい思ってしまった。
・・・・
・・・
・・
・
そんな俺達だが今は森に来ている。
森に到着するまでの間に薬草採取を行い、森に到着すればそれぞれの活動を行う。
マースはフロリーナとディーデリックとサスキア、そしてティーデとヒセラと共にテイムをしに行っている。
俺はヤーナと白磁器の色付けや釉薬等の素材集めに奔走中。何故か森の中にあったりする。
そうそう、俺が最近白磁器の生産にかかりっきりで、ヤーナもそれに付き合ってくれる事になったのだが、マースをリーダーとして新たなパーティーを設立したんだ。
さっきの6名がそうだ。
だからワンチャンスのメンバーは今は俺とヤーナのみ。
しかしそのうち増えるだろう。
クラン【以一当千】の新規のメンバーのうち、半数は生産を希望している。
つまり外で魔物と戦うのを是、としない人が多いって事だ。
まあ俺も戦いは避けたいし、そして人手も足りていないからいいのだが。
だが最近問題も発生している。
これはニールスにい達のパーティーでの事なのだが、クランを立ち上げてから何かしら目を付けられるようになったからだ。
何やら【一騎当千】というクランがあるようで、そのクランに所属している人に絡まれる事が多くなっているようだ。
そう言えば俺達のクランの名前を決める時に、案の一つとして出た名前だったりする。
しかもロッベモント王国において、今一番勢力のあるクランらしい。
何故そんなクランが、立ち上げたばかりのクランに絡むんだ?
俺達のクランはまだ実績らしい実績もない上に、立ち上げたばかりだからFランクだ。
一方の【一騎当千】は結構古いクランらしく、人数も多い。
100名以上在籍しているとか。そんなに沢山の人数をどうやって管理しているのかは謎だが、沢山人がいれば、宜しくない性格の人も少なくないって事なんだろうな、きっと。
そして更に数ヶ月が経過し、問題が表面化した。
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