第84話 着の身着のままだと気ついた
俺はふと思ってしまった。
さっきまで外で派手に【土】スキルを使いまくり、その後も城での厨房改造を敢行・・・・だって竈が部屋の真ん中にあるなんて邪魔以外の何物でもないじゃないか!
だから水回りと一直線上に綺麗に並べ、城だから大きな鍋を扱うだろうからと車輪付きの台を作り、その台の上に鍋を置き、竈で料理し水回りで給排水、そして別に用意した作業台に鍋を持ち上げなくても作業ができ、配膳台にも鍋をそのまま載せる事が出来る様にしたんだ!あれは我ながら画期的だったな!
ああ、料理した皿なんかも盆に載せ、そのまま台車にずらしながら乗せられるんだぜ!
これは大きな厨房だけに必要だと思う。
一般家庭にはそこまで大掛かりでなくてもいいよな?一寸やり過ぎ感があるがやり切ったと言う達成感に満ち溢れている俺!
俺すげえ!!!!!
【スパン!】
「あいたあ!何すんだ!」
「独り言がキモいから黙っていてよ!」
容赦がないなヤーナさん。それでも俺の彼女か?
「なあ、なんで頭をはたくんだよ。」
「もしかして痛かった?私これでも力はないのよ?」
「うん、痛くはなかったかも。」
「そう、それならよかったわ。」
俺とヤーナがそんな会話をしていると、
「あの、そろそろ宜しいでしょうか?」
いかんいかん、急がなくては!
しかしクーンは厨房で致命的なミスを犯していた。
後に大量注文が来て発覚するのだが・・・・
そう、城での料理の多さを見誤っていたのだ。
あの短時間でクーンが用意した台車は配膳車3台・・・・ファミレスなんかでウェイターが料理を運ぶ台みたいなやつ・・・・そして鍋を置く車輪付き台車が竈一基に付き3台。
料理を完成させても次々に必要であって、各3台では絶対数が少ないのだ。
それに竈も3基では・・・・
・・・・
・・・
・・
・
急かされやっと目的地の手前に到着したクーン。
ここで致命的な事に気が付くクーン。
何せ先程まで外に居たわけで、間違っても国王陛下と会っていい姿ではないのだ。
冒険者の姿の上に汚れている。
何故かヤーナは小ぎれいにしているのを見て、今更クーンは気が付いた。
「なあヤーナ、何でヤーナはそんな綺麗にしているんだよ!」
「クーンが鞍だっけ?ポチの背に乗せる何かを作っている間に綺麗にしてきたわよ!」
成程そうか。
「だがどうなんだ?俺のこの姿・・・・汚れているし、臭わないか?」
「どれどれ・・・・クンクン・・・・土の臭いがするわね。」
ずっと土いじりしていたからなあ。
「それに、どう考えても国王陛下と謁見するような恰好じゃないはず。」
「それはいいらしいわ。何せ先ほどまで国の脅威と戦っていたのだから。あ、そうそう、浄化を使えるフロリーナが綺麗にしてくれるって。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます