第26話 隣人4

ガチャン!!

勢いよくドアをあけ放つ

そしていつものように

キーーーという音も関係なく

隣のおばさんの家に耳を澄ませる。

「ドチャ!!」

音が聞こえた

しかも

なにか生々しい音が後半に交じっている。

それはなにか液体じみたものを勢いよくたたきつけるような・・・

気になり声をかける。

「おばさん!!おばさん!!!」

本当は呼び方に気を付けた方がいいだろうが

そんな余裕はない。

「おば」さんという前に

「ドチャ!!!」

音がまた聞こえた。

昔の作りのアパート

リビングがカーテンがなければ見えるような作り

それに気づき窓を見ると

カーテンは開いてて中が見えた。

そこにはおばさんが土下座をするような格好でうずくまっていた

「おばさん!!」

どんどんどん!

窓をたたき呼びかける。

するとおばさんは

ゆらっと上半身を持ち上げた。

そしてその持ち上げた後をついていくように

なにかが床に垂れ落ちている。

その先には

血だまり・・・・

おばさんの顔から落ちた血がその場に見えるぐらいにたまってる。

「ドチャ!!」

おばさんはその血だまりめがけてそのまま顔を打ち付ける。

その反動で血だまりの血は飛び散り

辺りも徐々に赤くなっていた。

ドンドンドン!!

さっきより強くたたくがこちらを向かない。

「ドチャ!!」

同じ行動をまた繰り返している。

「!!」

こっちがダメなら

そう思い玄関に向かいドアを開こうとする

ガチャガチャガチャ!!

「ドチャ!!!!」

鍵が閉まって開かない。

「そんな!!」

同じくまたやるが

「ドチャ!!!!」

ドアはガタガタと音をたてるのみで開く気配すらない。

そしてもう一度窓の方に行く

「おばさん!!!」

ドンドンドン!!!!

「ドチャ!!!!」

おばさんは血だまりの血を派手にとばして

頭をいや顔面を打ち付ける。

すると周りがすこし騒がしくなる。

「どうした!?」

「なに??」

ご近所の方が俺の声を聴き集まってる

「兄さん?どうした?」

一人が聞いてくる。

「あのここの人が!!」

そういって窓の前に立つ

「ドチャ!!!!」

「「「!?」」」

奇妙な音にみんな驚く

そして声をかけてくれた人は

「なにやってんだ!?」

と驚き声を上げる。

その様子に周りがざわつきだす。

四方から「なに?」や「え!?」

など同様の様子がわかる。

「ドチャ!!!!」

音がするとさらに広がる動揺

しかし

おばさんは

ゆらっと上半身を持ち上げた。

(また!!)

とその光景を何とか止めたいと感じた時

おばさんの動きはそのまま静止した

「「・・・・」」

窓に寄ってきた人と俺はその様子をみて

止まったのかとどこか安心感を覚えたのだろう

でも違った。

おばさんは窓の俺たちに視線を向けると

血まみれになった顔をさらしながら

目をカッと見開いた。

血が流れてそれが目に入ってるのもかまわないそんなように

こちらをみている。

瞳孔はひらき血にまみれた顔を狂気を感じさせる

「・・・あ・・・」

まるでさっき見た写真の男のような顔

そう感じた時に

「あは・・・あはは・・・あはははははははははははは」

笑った。

おばさんが声をあげて笑ってる。

しかし

表情には楽しみなどは微塵も感じない。

あるのは狂気

そしてその笑い声は

その狂気をより強固にした。

「「・・・」」

声をかけてくれた人と顔を見合わせた。

その人の表情は引きつり

まったくもって理解の範囲を超えた何かが起きたことを受け入れられない

そんな表情にも見えた

きっと俺もそうだろう

顔が引きつってるのがわかる。

目の下あたり

普段は使わないような筋肉が

ピクピクと痙攣しているようなそんな感じがわかる。

「あははははははははははははははははははははははははは」

おばさんは笑い続けている

その様子は周りにも伝染した

みんなあんなにざわついていたのに

水をうったように静かになり

「ははははははははははははははははははははははははははは」

おばさんの笑い声だけが周囲をつつんだ

「・・・・警察・・・警察に」

どうしていいかわからなかった。

が警察に連絡しようとスマホを探る。

しかし作業中にでてきて防護服の下にスマホがあるため

空をきるかのように意味がないのに

防護服をまさぐる。

怯えていた俺はどうしていいかわからずにその作業を

焦ってやっている。

「ははははははははははははははははははははははははは」

おばさんの声は止まない。

「あ!あのすいません!!!」

やっと意味のないことに区切りをつけて声をかけてくれた人に

「警察!!警察に連絡してください!!」

「あ、ああ」

とその人もこの状況に呆けてしまい

から返事をうつ

「あの!!警察!!お願いします!!!」

懇願するようにもう一度声をかけると

「!!!わかったいまやる!!!」

そういってスマホを取り出す。

その手は震えててすこしおぼつかない

でも連絡ができたようで

「もしもし!!!あの今人が!!!」

と必死に訴えた

そして俺も防護服を脱ぐと

スマホを手にした

そのままいちようの連絡用にもらっていた大家さんの連絡先に電話する。

「もしもし!!実は!!!」

「はははははははははははははははははははははははははははは」

おばさんの声にかき消されないように大きな声で状況を話す

一時は収まっていた人のざわつきもまた始まった。

「そうなんです!!隣のおばさんが!!!」

「・・・・ドチャ・・・・」

笑い声は止みその代わりに

さっきより弱くだが音がした

その音に視線を移す。

そこにはまるで土下座をするような体制で倒れてる?

おばさんがいた・・・

「もしもし!もしもし!!」

電話口から大きな声が聞こえる。

さっきまでの大音量の笑い声は消え

周囲のざわつきだけが残る。

そのあっけのない終幕に

「・・・・」

言葉を失った。

「もしもし!!もしもし!!」

「あ、あの・・・とりあえず早く来てもらいますか!?」

俺の声を残し電話をきった。

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