④ー① 起こしに来た人物は……

「ひ〜くん。お〜き〜て。」


いつものように寝ていると、そんな声が聞こえてきた。


「ふわぁ~。おはよ~、ゆ~な……って、え⁉ひ、ひ~ちゃん⁉……ひーちゃん⁉︎」


はぁ。今日も優奈か。そんな風に思いながら目をこすり、俺を起こした人物に目を向ける。……すると、そこにいたのは、優奈ではなく、日奈だった。

……なんで⁉


「おはよう、ひ~くん。」


日奈は、俺に向かって挨拶をしてきた。……ここにいるのが当然であるかのように。


「おはよう、日奈。……なんでここにいるの?」


朝の忙しい時間に、無駄な会話を挟んでいる余裕などなかったので、単刀直入に、俺はそう聞いた。


「う~ん……。なんでかっていうとね、私となずなちゃんと優奈ちゃんの三人が、今日から毎日、ひ~くんの家で朝、過ごすことになったからだよ‼」


へ~、そうだったんだ~。……ってなる⁉いやいやいやいや、さすがにそれ、おかしいよね⁉何それ。……ていうかなんで、母さんは許可しちゃったの⁉


「……もしかして、ひ~くん、いやだった?」


申し訳なさそうな顔をして、日奈は俺のことを上目づかいで見てくる。

……だからそれは、反則じゃん。

雪城さんといい、日奈といい。計算せずに、何でこんなことができるのよ。……ヤバすぎるでしょ。


「ううん、全然大丈夫だよ。」


……まあ、あんなことをされたら、こういうしかないよね。


「ふぅ。よかった~。……それじゃあ、下で二人も待っているから手をつないで、一緒に降りよ‼」


「うん。分かった。……でも、手をつなぐ必要は。」


さすがに、ないよね。手をつなぐ必要なんて。


「だ~め‼寝起きなんだから、階段から落ちないとも限らないでしょ?だ~か~ら、手をつないで降りるの‼」


いや、大丈夫だよ‼

そう言いたかったのだが、日奈のやさしさを無下にするのは、なんか……ねえ。

そう思ってしまった俺は、その一言を言うことができなかったのだった。

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