転生したら黒竜だった件 ～魔法なんで、いらん～

第六話【異変】

兄弟の声で目が覚めた。二匹の幼竜は、食べて寝る以外にすることがないほど暇で、喧嘩は数少ない楽しみの一つだった。

　　幼竜の成長と発達はかなり早く、俺も含めて、魔法の才能がないにもかかわらず、肉体的な成長は普通の竜と同じで、三匹の幼竜は今では二メートルほどの大きさになり、地球上の肉食動物の基準に従えば、俺たちはすでに強力な獣となっていた。

　　しかし、ここは異世界、ただ強い魚が二メートル以上になるのだから、その力も兄弟姉妹より上なのではないかと思う。

　　そのため、二匹の幼竜は声で騒いでいましたが、母には関係ないようで、ただまぶたを上げて寝続けた。

　　俺は起こされたにもかかわらず、不満は感なかった。ボーナスは吸収されたようだし、石碑の研究をすぐに理解する方法はないでしょうから、俺は体を起こして、二匹の幼竜の「戦い」を見る。

　　黒竜はまだ幼いながらも、鋭い爪や歯、硬い鱗がすでに形作られていて、何年か後には獰猛な姿になっているのではないかとさえ思えた。人間とした私には想像もつかないような竜の戦いを見たのは初めてでした。

しかし、周りにいたコウモリたちは困っている。どこからともなく襲ってくる攻撃にいつ殺されてもおかしくない、大量のコウモリが巣から飛び出し始めた。

突然、考えがある俺は、右の爪を伸ばし、簡単に数匹をつまんでしまった。これには俺を一瞬凍りつき、戦っている二匹の竜に集中するのをやめた。いわゆる「体の強化」では以前とあまり変わらないだろうが、先ほどの試みで、タブレットから得られるボーナスが俺に影響を与えていることが理解できたし、それがすぐにわかったのだ。

　　 俺は右手の爪を目の前に移動させ、爪の中でもがくコウモリを見つめた。以前、この速い生き物を捕まえることができなかったのなら、川での狩りになることもなかっただろう。

　　「スピード、体のコントロールが向上しました。ただ、強さがどの程度向上したかは分からない。」

　　ボーナスによると、俺の体は急速に成長しているはずで、まだ幼竜の段階で普通の成龍を超えているかもしれないと思う。

　　竜の本名を持つとはいえ、厳密な意味での真竜ではないし、呪文の能力を覚醒させることもできないから、時間が経てば経つほど普通の竜との差は大きくなっていくだろうし、今回のボーナスで、真竜との差を埋めるくらいには身体を強化できるんじゃないかな？あるいは、このボーナスはとても強力で、俺は物理的に真竜を超えてしまったのかもしれない。

　　そして、将来はもっとボーナスを手に入れることができるかもしれないし、それは俺にこの異世界で生きていくための十分な自信を与えてくれる。

　　「おい！アバドン、お前ら、妹と戦わないのか？」

　　話したのは、この時尻尾を振って俺を見つめていた、竜としての弟、タル・ネシロン・ユリシーズだ。

　　「う………お前は彼女と戦わなかったか？」

　　俺は首を傾げながら彼に聞いた。

隣のところで、小さな雌竜ナジャ・アレシアが丸い目で嫌な顔をして俺を見つめている。

　　どうやらこの幼竜は、俺が彼女の卵殻を盗んだことをまだ覚えているようだ。

　　「執念深いな。」

　　黒竜は暴力的で復讐心が強く、小さな雌竜にも標準的なテンプレートだと思う。

　　面白いことに、三匹の幼竜の中で、最も速く、最もよく成長しているのは、俺の妹なのだ。同じように覚醒した魔法の能力を持つ雄竜ータルは、決して彼女の敵ではなく、いつも迫られていた。

　　「ふーふー」 小さな雌竜は羽をばたつかせて、かなり挑発的な低いうなり声を二回あげした。

　　「人間の子供と同じか？競うことを好む」

　　 まあ、俺は深呼吸をして立ち上がり、踏み出した。

　　「さあ、こい！」

強化した体がどこまで進化しているのか試してみろ。

　　この時ー

　　「ブーン!!!」

　　 「弱き黒竜よ、巣穴から出よ、強き青竜トリシスが来るぞ 」という声が上から聞こえてきて、相当な竜の威が沼地に押し寄せてきた。

　　 驚いた俺の視線の先には、海のような鱗を持つ巨大な竜が空から降りてきた。翼をはためかせてハリケーンを起こし、幼竜をひっくり返しそうになった。

　　体は太くて強く、体のあらゆる部分が筋肉で満たされており、鋭い歯は白くて大きく、口から突き出ており、巨大な口の上の鼻には鋭い角が生まれ、金属のような光沢を放っている。

　　「青龍！」

　　駆け出しの三匹の幼竜が一斉に声を上げた。成竜も巣を奪い合い、縄張りをめぐる摩擦は竜の物語では珍しくないという。

　　「ロアー」

　　この時、沼の中でひれ伏していた母がようやく完全に目を覚まし、怒りの声を上げて苛立ちを露わにし、泥から抜け出して空中に飛び上げた。

　　「よくも私の縄張りに侵入してくれたな、トリシス！私と戦いたいのか？」

　　今回は竜としての母親の声を聞いたのは初めてだったが、その声は嗄れて不機嫌な黒龍の設定にぴったりだった。

　　黒竜の咆哮が鳴り響くと、沼地からは何十人のホビットが武器を掲げて這い出てきたし、普段は気づかなかった地穴の入り口にも大量のゴブリンが出てきた。

　　成竜には多かれ少なかれ眷族がいて、彼らは竜の庇うで暮らし、必要とあれば主人の戦士となるのだが、巨大な青竜を前にして、これらの亜人はほとんどは肩を竦め、恐る歩き回っているように見えた。

　　それが、百年以上生きて本目を持っている強い青龍だ。主人より強くて、ゴブリンの知恵は高くないが自殺行為にはしたくないという気持ちもある。

　　 さらに言えば、青龍には眷族がいないわけではない。

　　湖岸の向こうでは、沼地全体を覆うようにオークが押し寄せてきており、少なくとも中規模の部族ほどの大きさがあるように見えた。

　　「てめぇの縄張り？」

　　"ディープブルー" トリクシスは嘲笑し　「さあ、あなたの隠れ家は徴発されたことを知らせる。今日から、ここにあるものはすべて私のものだ！」

　　「さあ、宝物を渡して出て行く」

　　「冗談を言うな！」

　　どんな竜にとっても、宝物は命と同じであり、この時に妥協できる竜はいない。

　　黒竜も例外ではなく、咆哮して空に向かって突進し、侵入者と戦っていた。

　 他の二匹の幼竜と俺は、お互いに顔を見合わせて、一瞬、頭が真っ白になった。