カマミール

 フェリ二ヤ氷原、極北のツンドラはまだ寒く、寂しい。月明かりの中、稜線を飛び交う骨龍たち、静かな氷原で、死の騎士が剣を掲げ、リッチが呪文を唱え、大戦いが始まろうとしている…………


  巨大な城の中、銀髪の少女は窓際に歩み寄り、鏡にその美しい顔を映して、空にかかる月を見て、何か考えているようだ。



  バミア王国、うらうらに照れる春日に、王国の騎士たちは日々の訓練を始めている。栄える市場では、商人たちが声を張り上げ、冒険者たちが共に狩りに行く………


  城門の外では、優しい貴族はペンで計算し、向こうの太い商人は、時に怒り、時に退く。彼らの取引はうまくいくのだろうか?かもしれない、でも誰か知るか?



  アンジェラ大森林、大陸の西側、山を越え、森林は西の大陸の半分以上を占め、最も美しい環境、最も平和な種族、最も適した日照と気候に恵まれている。


  明るい会議室では、エルフたちが互いに議論し、ある者は古い本で説明し、ある者は空中で魔法を使って何かを計算し、玉座に座る女エルフはその騒々しい光景を見て無力に微笑んでいた。



  ドミニア帝国、闘技場で二人の獣人戦士が初戦を終えたところだった。鉄の斧を持った獣人は軽蔑の念を込めて手をひっかけ、相手は怒りの咆哮をあげ、再び鉄の武器がぶつかり合った。


  帝国の北では、巨大な船がゆっくりと港に入ってくる。獣人たちは目の前の船を見って、人間が再び来た………北からやってくるのだ。



  魔域、風は魔人の顔を越え、不毛の大地を越えて吹き渡り、今年も乾季がやってきた。毎年毎年、不毛の大地はいつになったら元の姿に戻るのだろう。

  

  二本角の魔族は強靭な上半身を現し、崖を歩いて越え、砂漠に来た、剣が目の前の獣を切り倒し、刃についた血を舐めた、また良いハーベストだ。



  黒い巨竜は、山を越え、荒野を飛び、ついに北の沼地に来た。


  この一年、老人は最後の息を飲み込み、その栄光と罪深き生涯を終えた。


  この一年、黒い獣が卵殻を割って、闇から目を開けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る