第18話 高校生活最後の学年の始まりなのに何故か彼女の様子が可笑しい? (4)
でっ、そんな情けない俺の様子を凝視した大田はと言うと?
俺に対して大田は本当に仕方がない奴だな、とでも言いたい顔で見詰め。
「はぁ~」と大きな溜息を漏らせば。
大田の奴は本当に面倒見のよい。
姉貴肌の強い、優しいJKの少女だから。
彼氏だった俺に対して不快感をあらわにしていた沙紀へと視線を変え。
「沙紀どうかしたの? 赤の他人ではなく、自分の彼氏の山田にオデコを触られたぐらいで、何でそんなに不快感を募らせて叱る訳なの? そんな事をしたら流石にあんたの彼氏の山田が可愛そうじゃない? 違うかな、沙紀?」と。
大田の奴は、一応は、今にも泣きだしそうなぐらい切なく悲しい想いでいる俺の傷ついた心を差してくれて。
沙紀の奴を諫めてくれた。
「沙紀、あんた、もう山田の事がいらないの?」ともつげ、尋ねるから。
俺を含めた、この場にいる者達は。
一斉に「えっ!」と、声を揃え驚嘆を吐く。
それも、この場にいる者達は一斉に。
各自各々が自身の両目、瞼を大きく開けてしまう。
だって大田は、沙紀の幼稚園からの幼馴染と言う奴だから。
そのことを大半の者達は知っているから。
普通の者……。
只の知り合い……。
まあ、友人だとしても中々、本人には尋ねることが不可能なことを太田は平然と、と言うよりも?
あの時の大田は……。
いや、蘭は知っていたのだろうと思う?
沙紀が、自身の家庭教師の先生に対して密かに恋心じゃない!
アイツが! 家庭教に付き合ってくれと口説かれていることを多分聞いていた?
と、言うか?
蘭は何も俺に言わなかったけれど。
『大学生で車持ちの、家庭教師の先生に。和也と別れて付き合ってくれって言われているけれど。蘭どうしたらよいと思う?』とか。
まあ、こんな感じでさ。
だから蘭の奴が、あの時に怪訝な表情で沙紀へと。
俺のことは、もう不要。
いらない、粗大ごみなのか? と、尋ねたのではないかと思う?
でッ、特にこの場の最悪な雰囲気の中で、蘭が沙紀に、俺の件をはっきりと尋ねたものだから。
俺と沙紀、蘭の周りから。
『ヒソヒソ』と静かな騒めきが俺の耳へと聞こえてきた。
だから俺は周りの喧噪に対して聞く耳を立てる。
◇◇◇
「いや、マジで新宮寺の様子が余りにも変で、過激的だったからお別れをする可能性が大だな」
「あいつら二人、本当に傍から見ても羨ましいと思うぐらいの美男美女の仲の良いカップルだったのに、とうとう別れる時がきたのか。ああ、勿体ないよなぁ……」
「うん、確かにもったいないな」
「う~ん、でも、二人揃って美男美女だからお互いの顔に飽きたんじゃねぇのか?」
「う~ん、でも二人は、大学を卒業したら結婚をするのだと言いふらしていなかったけぇ?」
「ああ、確かに言っていたな。でも、世の中の大半の者達の結婚相手は、いくら美男美女であろうとも恋人同士迄で終わり。結婚する相手はお互いが普通の人と結婚をする事が大半だと家の両親が言っていたぞ」
「ああ、それならば家の両親も言っていたね。美男美女の恋人同士は多々いるけれど。結婚の方は将来性とか、お互いの親族、身内の件とかも色々あるから中々成立しないと言った話は聞いたことがある」
「じゃ、和也と新宮寺のラブラブカップルもこれで終焉を迎えたと言う事なのかな?」
「う~ん、多分、そうじゃないのかな?」
俺と沙紀の両想いのカップルが急に不仲……。もう別れるのかもしれないと言った会話が俺の耳へと多々聞こえきた記憶がある。
だからあの時の俺は、自身の頭の中を木製ハンマーでガーン! と殴られたぐらいの衝撃を食らって呆然としながら佇んだ記憶もある。
でもね、そんな俺のことなど無視して周りにいる同級生達はね。
俺達二人の仲をヒソヒソ、小声での中傷、嘲笑って楽しんでいたよ。
だから、あの最悪の日……。
俺の厄日ではないのか? と思った日はね。
俺自身本当に一日中、学園にいるのが辛かった記憶ばかりが残る。
だって俺の親友の直人や、あいつの彼女で、沙紀や蘭も含めた共通の友人でもある
みんなの会話に加わり。
『うん』と頷いたり。『うん、うん』と首肯しているのが俺の耳へと聞こえてきたから。
俺は、この騒動の後は、本当に一日中切なく、悲しくなった記憶がある。
でも今となって思えば。
俺の親友の直人と。
その彼女の木下富美も。
沙紀が家庭教に言い寄られ、口説かれている最中だったのを知っていたのかも知れない?
まだ沙紀自身が俺と別れる、別れない。
アイツが決めかねている最中だから。
俺達二人の間に口を挟まなかったのかも知れない。
でも蘭の方はそうはいかなかったみたいでね。
自分のことを怪訝な表情で睨みながら。
「蘭、それってどう言う意味?」
沙紀が蘭へと呻るように尋ねると。
「……ん? 沙紀、どう言う意味って、そう言う意味だよ。あんたが、自分自身の大事だと常日頃から皆に言っている彼氏の山田の事がもう嫌いになり。要らなくなったのか? と。うちは尋ねただけだよ……。もしかして沙紀は、そのことが気に障った?」
この時の蘭は、妙に喧嘩腰と言うか?
自身へと呻り、尋ねる沙紀に対して、蘭も怪訝表情と荒々しい口調で言い返すものだから。
(お願い)
レヴュー・星・感想・ハート等を軽い気持ちで頂けると励みになりますのでよろしくお願いしますm(_ _"m)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます