諸事情ありの霊感なんて、いりません!

相川なつめ

交通事故...?

「わぁぁああああ!」


キキーッ。思いっきりブレーキを引くけど間に合わない!

このままだと坂の下にいる女の子をひいちゃう!

ドンッっと鈍い音がして自転車が女の子にぶつか......らなかった。

まるでそこになにもないかのように、私の自転車はただ空気を裂いて走っていく。

でも、振り返ると相変わらずそこには女の子が。

あぁ、そういうことか、と頭では理解した。

私、小夏には諸事情ありの霊感がある。諸事情ありの。

その「諸事情」が何なのか、と言うと...死んでいる人も生きている人も、同じように見えるということ。

つまり、実際に触れるまで分からない、ということだ。

見えるのに、空気のように触れない。それが、私にとっての霊なのだ。

なかなかこれが面倒くさい。

さっきみたいに一人で叫んで、笑われることなんてしょっちゅうある。

でも、ある男の子との出会いによって、私の運命は変わったんだ。


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