かわら なお

生まれて数時間の命

殺されるでも生かされるでもない空間

泣いても聞こえない声 届かない


数時間分の料金と扉が開く音に僕は飽き飽きした

「人殺し」

僕を閉じ込た女は笑って喜んだ

この怪物に僕は「母」という名前を付けた


「死んでしまったのか」と聞く男は僕の生みの親

泣きながらそいつに縋りつく醜い怪物は「愛して」なんて言いながら

僕のことは愛してくれなかったくせに


瞬く間に消えた命はなかったことに

2人の秘密もなかったことに

コインロッカーから取り出されたそれはひどく腐敗していた

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