第33話 不気味な森と魔物さんとお星様たち(ルナ視点)

 お日様がバイバイしたお空には、沢山のキラキラしたお星様と、二つのお月様がいるのです。


 これから、お星様の妖精さんに会いに行くのです。こんなに綺麗な夜なら、きっとたくさんの妖精さん達に会えるのです。


「ルナ、嬉しそうだな。」


 凛花さんの頭の上で、ニコニコしていたら、ノアさんに見られていたのです。


 アリーシャさんも、クスッと笑いながら、私を見上げたのです。


「本当ね。それに、星の妖精族は、皆、人懐っこいって聞くから、ルナの良いお友達になれるかもよ?」


「本当なのですか!」


 それを聞いて、とても楽しみになってきたのです!


「そういえば、星の妖精族って、どんな種族なの?」


「かつて、遠い星空からやって来たと言われている種族です。私もお目にかかった事はありませんが、手の平に収まるほど、小さいみたいですよ。」


 何と!そんなに小さいのです!?私よりも小さそうなのです。


 会うのが楽しみなのです!早く森に着かないかな〜なのです!




        ✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎



 それから少しして、森に着いたのです。


 なのですが…………。



「…………こ、これが、星降る森……?」


「そ、そのはずよ?でも……。」


 皆が、森を見上げて呆然としているのも、無理はないのです。


 森は、全体的に枯れかけていて、何だか不気味なのです。アリーシャさんが言っていた見た目とは、全然違うのです。ちょっぴり、しょんぼりなのです……。


 その時、ぶるぶるっとした揺れを感じたと思ったら、私を乗せている凛花さんが、身震いしているのです。


「な、何だか、お、おおおおお化けが出そうな森だね……。」


 それを聞いたアリーシャさんも、「ヒッ!」と細い声を出したのですが、すぐに腰に手を当てて、


「お、お化けなんて、いるわけないじゃない!」


 と、笑いながらそう言ったのですが、よく見ると、ガタガタと震えているのです。


「ん?凛花とアリーシャは、怖いのか?大丈夫だ、何かあっても、オレが守ってやるからな!」


「こ、怖くないわよ!!」


 アリーシャさんが怒鳴り声を上げた、その時なのです。


 森の中から、唸り声が聞こえると同時に、たくさんの赤く光る目が、一斉に私達を捉えたのです!


「きゃあああああああっ!!!」

「いやあああああああっ!!!」


 凛花さんとアリーシャさんは、びっくりして、それぞれノアさんと、ロキさんの背中にしがみついたのです。


 二人の声で、耳がキーンとなったのです……。


「……ロキ、この森に魔物は居ないんじゃなかったのか?」


「そのはずですが……。」


 ノアさんと、ロキさんが、そう言いながら身構えると、たくさんの大きな猪の魔物さん達が、一斉にヨダレを垂らしながら襲いかかってきたのです。


「うおらっ!!」


「はあっ!!」


 ノアさんは、白魂のパンチとキックで力強く殴り、ロキさんは重そうな大剣を素早く振り回して、バッサバッサと斬り裂いていくのです。二人ともすごいのです!


 すると、魔物さんの一体が、いつの間にかロキさんの背後に回り、アリーシャさんに噛みつこうとしているのです!


「アリーシャさん!危ないのです!」


 バチッ!!


 ロキさんが大剣を地面に突き刺したら、白いバリアが張られ、魔物さんを弾き返したのです。あれが、ロキさんの神器の力なのですね。


 ロキさんは、背後で起きあがろうとしている魔物さんに、キッと睨みつけているのです。


「……魔物とはいえ、子供を狙うとは、卑怯ですね。」


 その言葉を聞いて、怯えていたアリーシャさんは、ハッと我に返ると、すぐに短刀を抜き、バチバチさせたのです。


「……よくも怖がらせたわね!!!」


 そして、雷の様に、一瞬で魔物さんの目の前にジャンプすると、雷鳴を轟かせながら、雷の刃を振り下ろし、トドメを刺したのです。


 次にアリーシャさんは、ロキさんをキッと睨みつけ、不愉快そうにプクーっと頬を膨らませているのです。


「それと!子供扱いしないでよね!!」


「は、はは……。申し訳ありません。」


 ロキさんは、苦笑しながらも、仁王立ちするアリーシャさんに、ペコッと頭を下げたのです。ロキさんは優しいのです。


「チッ。まだ湧いてきやがる!」


 森の方をもう一度見ると、あと10体ぐらいの魔物さんが、こちらを睨みつけているのです。


 ここは、凛花さんと力を合わせて、一気に蹴散らしてやるのです!


「凛花さん!!」


 私が弓矢に変身しながら呼びかけると、凛花さんはノアさんの背中から顔を出して、私を掴んでくれたのです。


 そして、魔物さんに向かって、矢を引きながら、私にマナを込めているのです。凛花さんのマナは、いつも温かくて、何だかほわほわするのです。


「はあっ!!!」


 気合と一緒に放たれた矢は、魔物さん達が立つ地面に突き刺さると、星空へと続く巨大な炎の渦が生まれ、魔物さんを焼き尽くしたのです。凛花さんのマナは、優しくも豪快で強いのです!


「……はあ〜〜。怖かった……。」


 魔物さんを一掃し、安心した凛花さんは、ヘナヘナと力なく座り込んだのです。


「まあ、お化けなんて、いるわけ…………。」


 凛花さんは、そう言いかけると、何故か目を見開きながら、森を見つめているのです。


「ん?何だ、アレ。」


 ノアさんも何か見つけたみたいなのです。私も、森を見ると、そこにはたくさんの黄色い光が漂っているのです。


 その光が、ふわふわとしながら、近づいてくるのです。


「きゃあああああああっ!!!」

「いやあああああああっ!!!」


 腰が抜けて立てない凛花さんは、ノアさんの足にしがみつき、アリーシャさんは、再びロキさんの後ろに隠れてしまったのです。


『ありがとうなのね〜。助けてくれて。』

『あの魔物さん達、住み着いちゃって困っていたのね〜。』 

『これで、とりあえず一安心なの〜。』


 光から、穏やかな声がするのです。

 よく見てみると、光の中には、小さな人の様な姿があったのです。


 金色に輝く髪に、目が点の様に小さく、皆違う色のローブを着ていて、手には星のステッキを持っているのです。まるで、小さな魔法使いの様なのです。


「お、お前らが……、星の妖精族なのか?」


『そうなの〜。』


 凛花さんとアリーシャさんも、驚いて顔を上げたかと思いきや、すぐに星空に負けないぐらいにパアッと顔を輝かせたのです。


「か、可愛い……!!!」


 そう言うと、さっきまで怯えていたのが嘘の様に、星の妖精さん達に飛びついたのです。


『か、可愛いだなんて、そんな〜。……はっ!そ、そんな事よりも、助けてほしいの〜!早く、こっちに来てほしいの〜!』


 顔を赤くして照れていた星の妖精さんは、突然、慌てた顔になると、森の奥へと私達を誘ったのです。


 何か大変な事が起こっていそうなのです。私たちは、お互いの顔を見て頷くと、森の中に足を踏み入れたのです。


 


 

 


 

 


 



 

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