11話 メンバー5&料理人獲得

 ガヤガヤ!!

 

 ステゴロ最強決定戦が終わり数日後の朝。ギルド前が騒がしい。マイが扉を開けるとそこには沢山の人だかりが出来ていた。


 冒険者登録お願いします!


 受付嬢として雇って下さい!

  

 料理人まだ募集してますか?


 など様々な声が飛んでくる。どうやらステゴロ最強決定戦でリュウガが剣聖けんせいを倒した事で一気に名前が知られたようだ。


(流石に多いな〜。どうしよう?)


 と、マイが悩んでいると後ろから、


「うるせぇ! 今準備するから待ってろ!」


 リュウガが怒鳴りながら出て来た。その後ろにはゴウもいる。


 あまりの迫力に全員が静かになった。

 

「ギルマス、手伝え!」


 そう言いギルドの中に連れてかれた。しばらくするとリュウガとマイとゴウは紙を持って出て来た。3人は集まった人達に白紙を渡した。


「今渡した紙に名前、職業を書いて提出しろ! そして明日、冒険者と受付嬢志望の奴は面接して決める! 料理人は準備があるから3日後に来い! 質問は?」

「何人冒険者は入れますか?」

「特に人数制限は無い! が、1人は必ず入れるとも限らない。意味は分かるな?」


 つまり、下手をすれば誰も入らないという事だ。

 

「ついでに言うと、受付嬢は2人は必ず入れる。料理人は1人だ」

「他に質問は無いね? じゃあ時間は13時から冒険者から始めて受付嬢は冒険者が終わり次第ね。料理人希望は3日後の10時に集合して詳しい説明をします。さっき渡した紙に記入したら今日は解散!」


 それぞれ記入し終えリュウガとマイとゴウに紙を渡す。しばらくしてようやくギルドは静かになった。


「いや〜、沢山の人が来てくれて嬉しいけどこれは大変だね〜」


 応募用紙は50枚はありそうだ。3人は応募用紙を見ていると、


「沢山の人達が森から出て来たんですけど何かあったんですか?」


 ソウが到着した。どうやら先程の集団に遭遇したようだ。

 

「丁度いい所に来たな」


 呟くとリュウガはソウに近づき、


「ロンを3日後うちに来るよう言え」


 いきなりの事にソウはキョトンとしたものの元気よく返事をしてギルドを出た。


「それじゃ明日の予定を決めるぞ!」


 そう言い3人は明日の面接について話を進める。



 ギルド前にはメンバー希望者が集まる。数は昨日数えたところ冒険者希望が40人、受付嬢が7人、料理人が3人だ。料理人は明後日の面接なので今日は47人の面接だ。面接官はギルドマスターのマイとサブマスターのリュウガ、案内としてゴウがいる。他のメンバーはそれぞれ依頼だったり休養と様々だ。


「それでは、面接を始める。その前に受付嬢希望者は冒険者の面接に時間がかかるのでギルド2階に案内する。ついて来てください」


 そう言うとゴウは、受付嬢希望の7人を連れてギルドへと消えた。しばらくして、


「それでは、名前を呼ばれた者から1人ずつやっていく!ズー・ラギサ!」


 呼ばれてたのは金髪の男だ。ギルドに入るとマイとリュウガがイスに座り待っていた。その前にはイスがあり、それに座るズー。


「よろしく。ギルドマスターのマイです。隣はサブマスターのリュウガ。初めになんでうちに?」

「剣聖を倒す程の人がいるギルドなら絶対これから有名になるでしょ? だったら勝ち馬なら乗るべきでしょ!」

 

 ヘラヘラとした様子で答える。


「成る程ね。言ってる事は分かるけど舐めすぎ。帰っていいよ」

「はっ?」


 あまりにもあっさりと切られて間抜けな声を出すがゴウに立たされてギルドを追い返された。マイ達は決めていたのだ。冷やかしやミーハーが来たら速攻で追い返すと。そのためギルドの外で応募者を待たせているのもやる気がない奴は待たせられるのが嫌で帰るだろうという判断からだ。実際、何人かは待たせられるの嫌って帰っている。それにプラスして次々と追い出されるのを見て無理だと判断して帰っていく者も出始めて予想より早く終わりそうだ。


「最後だな。ラン・クール」


 誰も受からないまま最後を飾るのは魔法使いの少女だ。


「うちに来た理由は?」

「あたしはマイ様に会いたくて来ました! 魔法学院始まって以来の天才に! その天才に憧れてここに来ました!」


 とんでもない熱量だ。そんなランにルイは嬉しそうに顔を綻ばせる。


「いや〜、照れるな〜」

(この様子じゃ、正常に判断しねぇな)


 マイの様子を見てリュウガは、マイが使いものにならないと判断して、


「理由は分かったが目標は?」

「マイ様のギルドをNo. 1にします!」

「だそうだが、どうなんだギルドマスター?」


 ランの答えを聞き、リュウガはマイに判定を促す。


「ここまで言ってくれる子を追い返す訳ないよ! ようこそ! 運命の宿木に!」


 その言葉を聞きランはマイに抱きついた。


 その後、受付嬢の面接をしていき声の聞き取りやすさ、簡単な筆記速度の試験の結果から、2名の受付嬢を獲得した。


 そして、明後日は料理人審査だ。



「今日は料理人希望者3名だ。希望者は1人ずつ、ここにいる料理人見習いのロンと一緒に料理を作ってもらう! こいつの指導を含めての仕事になるため掲示板募集に載ってる額よりも報酬は高くする!」


 料理人3名はそれぞれ 「はいっ!」 と返事をする。


 そしてまず1人目が料理を開始する。今回はロンの時と違い、全員がプロとして来てる。そのため味は全員美味しいだろう。だから判断するポイントはロンとの相性だ。ロンには、以前 


「見習いを卒業したらうちに来い」 


 と言ったが料理人希望者が来るならその人の下で勉強してもらう事にした。その事はしっかり伝えている。そして結果は、、


「おめでとうございます! 今日から運命うんめい宿木やどりぎ料理人として腕を振るってください! シス・ワンさん」


 料理人は、シス・ワンに決定した。予想通り全員味は美味しく、優劣をつけるのは難しかったが、料理中のロンへの気配りが素晴らしかったためこのように決定した。


「冒険者も増えて、受付嬢、料理人も出来ていよいよNo. 1ギルドへの道が見えて来たよ〜。これからも頑張っていこう!」


    「「「「「お〜!」」」」」


 マイの言葉に全員が盛り上がる。


 

 夜、人通りのない路地裏でフードを被った2人の男がいる。


「最近話題の運命の宿木。そのサブマスターリュウガ・レンを殺せ!」

「それは構いませんがウチは高いですよ」

「構わん」


 そう言って、男は金を渡す。


だ。成功したら払う」

「承りました」


 交渉が成立し、男たちは暗闇の中へと消えていく。





 


 

 

  

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