6. 林間学校
「はー!!終わったーー!!」
「美蘭どうだった!?」
「うん、なんとかできたかな。」
「私もできた気がする…!」
入学後初めての週末は、ずっとほくと追試の勉強をしていた。休めた気がしない。そして、今追試が終わった。なんとか、80点以上は取れてそう。結衣もできたみたい。よかった。
「じゃあ、4限は来週の林間学校について色々決めてくぞー。」
『はーい』
私の高校では、入学してすぐ一泊二日の林間学校がある。林間学校初めて行くなぁ。楽しみ。
「じゃあ、まず班決めから。6人か7人で一班作ってくれ。」
『はーい』
「美蘭ちゃん、私も入れてー!」
「理沙ちゃん!いいよー!」
「俺らも入れてー!」
勉強会をしたメンバーで同じ班になることに。
「はい、班決まったな。そうしたら、班長を決めて。」
『はーい』
「班長は北斗だろ」
「北斗くんしかいないよね笑」
「なんでだよ。」
ほくが班長になることに。頼もしい。
「あ、そうだそうだ。キャンプファイヤーの時に、1班5分くらいで出し物をするから、何やるか決めて、ちゃんと準備してこいよー。」
「えー!出し物だって。どうする?」
「どうしようね?」
「うーん、ダンスとか??」
「え!ダンスいいじゃん!」
「うん!楽しそう!」
「男子たちもダンスでいい?」
「なんでもいいよー。」
「じゃあ決まり!」
私たちの班はダンスをすることに。出し物緊張するな…。
「そうだ!男女ペアになってカップルみたいにダンスするのはどう?盛り上がりそうじゃない??」
「結衣ちゃん、それめっちゃいいね!そうしよ!」
「いいね!」
なんか、面白そう!頑張ってダンス練習しよう。
「ペアと配置どうする?」
「やっぱ、センターは美蘭と北斗じゃない?顔面偏差値上げてこ。」
「そうだね。それがいい。」
「まじかよ…。」
「美蘭!?恥ずかしいよ…。」
「お願い!美蘭ちゃんにやってほしい!」
「えぇ。うーん…、わかった。」
「ありがとう!!」
センターで踊ることになってしまった。恥ずかしすぎる。
「そういえば、7人だから一人余っちゃうよね?どうする?」
「あまり役は、寛太でしょ!」
「おい、結衣…。俺1人で踊るの?え?」
「寛太が1人の方が絶対面白い笑」
「まじかよぉぉぉ。」
結局寛太はペアなしで踊ることに。可哀想だけど、面白い。笑
ペアは、私ほく、結衣亮太くん、理沙ちゃん駿くんに決まった。
「よし、じゃあ以上だ。昼休みにしてくれ。」
『はーい』
林間学校の説明が終わり、いつものように4人揃って屋上でお弁当を食べる。そしてみんなに林間学校の相談する。
「ねえ、林間学校さ、美蘭ほくいないと寝れないんだけど。」
「忘れてた。確かにそうじゃん。」
「どうすんの?」
「どうしよう??もう睡眠を諦める?」
「映像もみないといけないでしょ?」
「うん…。」
結衣と寛太も私が毎日映像を見ていることを知っている。ほくが死んでしまう映像が見えることも。でも、心配させないように、その映像が見えても言わないようにしている。
普通だったらこんな話信じないし、馬鹿にされてもしょうがないと思うんだけど、結衣と寛太は信じてくれて心配もしてくれる。本当に優しい2人。
「寝る部屋女子と男子で一部屋ずつだもんな。さすがに、男部屋行って寝るわけにもいかないしな…。」
「そうだよね…。」
林間学校は女子部屋、男子部屋に分かれている。だから、一緒に寝るのは無理。
「俺らも映像は絶対見れるようにできることは協力するけど、一緒に寝るのは難しいかもな。」
「2人ともありがとう。」
「結衣、寛太ありがとな。」
本当に2人と同じ高校でよかった。ありがとう。
放課後保健室の先生にほくと相談しに行く。
「失礼します。」
「あら、美蘭ちゃんと北斗くん。体調悪い?」
「いや、相談があって…。」
保健室の先生も私が映像を見ることを知っている。そして先生も林間学校に行く。
「なるほどね。私の部屋が救護室にもなるからそこで映像をみることはできると思うけど、さすがにそこで寝ることはできないなぁ。」
「ですよね。」
「そうだね。次の日に2人とも体調不良っていうていで救護室で寝るとかがいいかもね。」
「確かに。美蘭、そうしようか。」
「うん。先生ありがとうございます。」
「うん、なんかあったらいつでも言ってね。」
先生ほんとに親身になって相談に乗ってくれる。ありがとうございます。
「美蘭、どうだった?」
「救護室で映像を見て、次の日に救護室で寝ることになった。」
「そっか。なんかあったら言うんだよ。」
「うん、結衣ありがとう!」
なんとか、乗り越えれそう。大変そうだけど、頑張る。
『ただいま』
「おかえりー!」
今週は私の家にほくが泊まる。ご飯の時間まで私の部屋でほくとゴロゴロしていると…
「みぃ、林間学校行きたくなかったら、行かなくていいよ。」
「ううん。行きたい。」
「そっか。なんかあったらすぐ言って。」
「うん。夜ほくがいないのが怖いなぁ。」
「そうだよね。本当にキツかったら男部屋きて俺のこと呼んで。」
「分かった。」
小さい頃から毎日ずっとほくと寝てたから、ほくがいないのがすごく怖い。
「美蘭、北斗、ご飯よー!」
『はーい』
ママに呼ばれたので、ご飯を食べに行く。
「2人とも、来週林間学校ね!楽しそう!」
「うん。楽しみ。ほくと部屋離れ離れだけど…。」
「あ、そっかぁ。まぁ、なんとかなるわよ!」
ママめちゃくちゃ呑気だな。笑
「北斗、美蘭のこと頼んだぞ~。」
「勿論。」
「美蘭になんかあったら、北斗を未来の息子候補から消すからな。」
「えぇ。それはまずい。俺、圭さんの息子になるために生まれてきたんだよ?」
パパはほくと話してる。2人はよく冗談言い合ってる。笑
ご飯を食べ終わって、私の部屋でほくとゴロゴロしていると。
ピコンッ。
「あ、理沙ちゃんからだ。」
林間学校の班のグループラインで理沙ちゃんからメッセージが。日曜日にみんなでダンスの衣装買って、ダンス練習しようって。楽しみ!
「ほくってダンスできるの?」
「やったことないな。」
「みぃも、できるかなぁ。」
「これは、みぃが俺のものってアピールする最大のチャンスだから。まじでみぃ真剣にやれよ。」
「意味わかんないから。みぃも真剣にやるけどさ。」
ほくの練習する動機が不純。
そして。日曜日。
「おはよー!美蘭ちゃん私服めっちゃ可愛いねー!」
「ほんと?ありがとうー!ほくが選んだんだー!」
「まって。私服の美蘭ちゃんめっちゃ可愛いな…。」
「本当にな…。いつもより喋るの緊張するわ…。」
服も髪型も全部ほくが。メイクも今度ほくにやってもらおうかな。笑
「まずは、衣装買いに行こっか!」
「そうだね!」
衣装を買いにショッピングモールへ。どんなのがいいかな。
「テーマがカップルだから、なんかリンクした衣装がいいかな。王子様とお姫様みたいな。」
理沙ちゃんすごい頼りになる…!出し物絶対成功させなくちゃ。
話し合いの結果、私とほくは天使と吸血鬼、結衣と亮太くんはお嬢様と執事、理沙ちゃんと駿くんは、織姫と彦星の衣装を着ることに。寛太はウケを狙って学校の体操服を着るみたい。笑
「よし、じゃあ衣装買えたから、ダンスの練習しに行こうか。」
「しよう!」
公園に来てダンスの練習を始める。携帯で動画を見ながら振り付けを覚えていく。
「ほく、ダンス上手いね。」
「そう?美蘭もめちゃくちゃ上手い。」
「ほんと!!よかったぁ。」
ほくと一緒にダンスの練習をするけど、ほくダンスすごく上手。私のダンスも褒めてくれた。嬉しい。
「なんとか形になってきたね!」
「うんうん、いい感じ!」
2、3時間練習して、みんな一通り踊れるようになった。よかった。
「ねえねえ、衣装着て一回踊ってみたくない?」
「確かに!!」
「公園だとさすがに衣装は着れないよね…。」
「確かに…。あ!うち来る?今日、ママとパパ高校の同窓会で出かけてて夜までいないから、うち来ていいよー!」
「ほんと!ありがとう!」
私の家で衣装を着てダンスをすることに。ママとパパは麻美ちゃんと北斗パパと同窓会に行っている。
「よし、じゃあ着替えよう!」
『はーい』
私の部屋は7人入ったら狭くなっちゃうからリビングでみんなで衣装をお披露目することに。天使の衣装に着替えたけど恥ずかしすぎる…。
「ねえ、ほく、みぃ変じゃない?」
「変じゃないよ。」
「まって。美蘭死ぬほど可愛い。リアル天使じゃん。」
結衣がベタ褒めしてくれる。嬉しい。結衣もめちゃくちゃかわいい。
「美蘭ちゃん可愛い。」
「いや、それねめちゃくちゃ可愛いし似合ってる。」
「亮太くん、駿くんありがとう。笑」
天使の衣装恥ずかしいけど、みんないっぱい褒めてくれる。うれしい。
「ほくも着替えてきてよ。」
「そうだよ、吸血鬼はやくしてよ。」
「はいはい。」
私の衣装着替えをほくが手伝ってくれたから、ほくはまだ着替えれてない。ほくの吸血鬼楽しみだな。
「ええ!!!北斗くん似合いすぎ!!」
「おい、北斗カッコよすぎだろ…。」
「おいおい、俺ら完全引き立て役じゃん…。」
ほくが着替え終わって見てみると、めちゃくちゃ似合ってる。そのままほくがこっちにくる。
「美蘭、どう?」
「…かっこいい。」
「ありがとう。笑」
「えっ、ほくちょっと椅子座って。」
「うん?」
「口開けて。」
「ん。」
ほくにかっこいいと言うとほくが笑った。その瞬間口の中に何か見えた。ほくを椅子に座らせて口の中を見ると…
「なにこれ!?牙!?」
「そう、寛太に買わされた。」
「すごい、めっちゃ本格的。」
「美蘭、触りすぎ。噛むよ?」
すごい!牙が生えてる…。本当に生えてるみたい。不思議でいっぱい触ってると、もう触らせないように両手を握られる。
「もう、そこイチャイチャしないのー!」
「えぇ。してないよう。」
「理沙ちゃん、これが美蘭と北斗の通常運転だよ笑」
「嘘でしょ…。カップルじゃん…。」
ほくと喋ってたらイチャイチャって言われてしまった…。恥ずかしい。
「そうだ!せっかくだから髪の毛セットしたり、メイクしたりしてみんなで写真とろうよ!」
「いいね!」
「おい、俺体操服もってきてねえよ。」
「あ、じゃあほくの持ってこようか?部屋から取ってくる!」
「美蘭ありがとうー!」
私の部屋からほくの体操服を取ってくると…
「え…。なんで北斗くんの体操服が美蘭ちゃんの家にあるの…?」
理沙ちゃんに聞かれた。そうだ…。何にも考えずに持ってきちゃった。事情を知らない理沙ちゃん、亮太くん、駿くんは不思議そうな顔をしている。
「…あっ。…えーっと。えっと…。」
焦りすぎて、良い言い訳が思いつかない。どうしよう。
「俺ら一緒に住んでるから。」
『えー!!?!?』
ほくが言っちゃった。一緒に住んでることを知ってる結衣と寛太もまさか言うとは思ってなかったみたいでめちゃくちゃびっくりしてる。私も。
「え?どういうこと?なんで?なんで?」
「複雑な事情があって。笑 お前ら他の奴に言うなよ。」
もう、みんな静まり返ってるよ…。ますます、混乱してるから。
「ま、まぁ、とりあえず、髪の毛とか色々やって写真撮ろー!」
「そ、そうだね。」
結衣が話を逸らしてくれた。ありがとう。もうほく、後で覚えといてね。
とりあえず、今あったことは忘れて、ほくに髪の毛をセットしてもらう。ほくは何も気にしてないような顔で普通にセットをしてくれてる…。
「できた。」
「ほく、ありがとう。」
「うん。」
「ほくもセットしてよ。」
「わかった。」
ほくがセットしてるの久しぶりかも?隣に座って見学する。ほくは器用だからセットもめちゃくちゃ上手。
「ねぇ、みぃもほくのセットやってみたい。」
「いいけど、できるの?」
「できない。」
「なんだよ。」
「でも、やってみたい。楽しそう。」
「じゃあ今日はワックスだけな。ちょっと待ってて。」
「はぁーい。」
ほくのセットが終わるまで待ってる。一応、携帯でワックスの付け方を調べてみる。
「できた。」
「えっ!?」
「どうした?」
「その髪型初めてみた!」
いつもと違うセットしてる。いつもはパーマ風?だけど、今日は、前髪かきあげてる。なんて言うだろうこの髪型。
「どう?」
「かっこいい。すごい似合ってる。」
「ありがとう。笑」
びっくり。凄くカッコいい。髪型でこんな変わるの??ほくはいつもかっこいいけど、この髪型だともっとかっこいい。
「ワックスやって。」
「うん、わかった。こっち向いて。」
「うん。」
「ほく、かっこいい。」
「いいからやって。」
ワックスをつけるために、向かい合うとほくと目が合う。
「どうした?」
「んーん。」
めちゃくちゃ見られてる。やりにくいな。
「よしできた!」
「お、うまいじゃん。ありがと。」
やったぁ。褒められた。
「うわ、北斗かっこいいな…。」
「ありがとう。寛太も体操服似合ってるぞ。」
「絶対思ってないだろ!」
「ねぇ、北斗私の髪の毛も巻いて。」
「無理。」
「なんで!?美蘭にはやってるじゃん…。」
「無理。」
「ほく、結衣にもやってあげてよ。」
「…無理。」
「なんでよ。」
「手折れた。」
「嘘つかないでよ。ほくのいじわる。」
ほく、結衣の髪もやってあげればいいのに。いじわる。ほくは器用だからすぐ終わるのに。
「よし、みんなできたね。写真撮ろ!」
「撮ろ撮ろ!」
「はいチーズ!」
カシャッ。
「撮れた!いい感じ!!」
「理沙ちゃんありがとう!」
メイクと髪が完成して、やっと写真を撮れた。みんなかわいいし、かっこいい。似合ってる。
「よし、じゃあそろそろ帰ろっか。」
「そうだね。美蘭、お邪魔しましたー!」
「またいつでも来てねー!」
「ばいばいー!」
「ばいばい!」
衣装を着てダンスはいい感じに踊れた。あとは本番まで、何回も練習するのみ!楽しすぎて、あっという間だったな。
さてと…。
「ほく、こっちきて。」
「どうした?」
「さっきのは何?」
「何が?」
「みんなに一緒に住んでるって言ったこと。何で言ったわけ?」
「…なんとなく。」
「なんとなくじゃないでしょ。」
なんとなくで言うことじゃない。本当に、何で言ったの?みんなめちゃくちゃ驚いてたし、引かれてないかな…。はぁ…。
「なんで言ったの。答えて。言う必要なかったでしょ。」
「ある。」
「なんで。」
「…。」
「ねえ。黙らないで。なんで?それに、結衣にも意地悪して。髪の毛やってあげればよかったのに。」
ほくが理由を言おうとしない。なんでよ…。イライラする…。
「ねえ、ほく!答えて!早く!」
「…だって。」
「なに。」
「…みぃが天使の衣装着てて、」
「うん。」
「…めちゃくちゃ可愛くて、」
どいうこと?全然関係ないじゃん。ホントになんなの?
「…みぃが可愛くて、俺だけがこの姿を見たくて、みぃを独り占めしたくて、俺はみんなが知らないみぃをいっぱい知ってるって分からせてやりたくて言った。」
…ホントにくだらない。くだらないけど、いつものほくからは想像できない弱々しい声で、困った顔をしながら理由を言われて、責められなくなってしまった。
「そっか。分かったよ。もう他の人には言わないでね。」
「分かった。ごめん。あと結衣の髪の毛の事だけど、美蘭だけに髪の毛巻いたり結んだりしてあげたかったから断った。それもごめん。」
「そっか。」
「怒ってる?」
「もう怒ってないよ。話してくれてありがとう。」
怒ってないと言うと、ほくが安心したのか笑顔になる。それにつられて私も笑う。
「ねぇ、みぃもう一回天使になって?」
「えぇ。なんでよ…。」
「みぃと2人で写真撮りたい。」
「もう、しょうがないなぁ。」
ほくの希望で、もう一度2人で衣装を着ることに。何回着ても恥ずかしいなぁ。
「みぃ、こっち来て。」
「うん。」
カシャッ。
「よし、撮れた。次はみぃ単体で撮らせて。」
カシャッ。カシャッ。カシャッ。
「ねぇ、撮りすぎ。」
ほくがいろんな角度から、連写してくる。
「撮れた!!」
「…みぃもほく撮っていい?」
「うん。」
恥ずかしいから、一枚だけ横顔を撮る。
「みぃ、こっちきて。」
「うん。」
「よく見せて。」
「うん。」
「みぃ、めちゃくちゃかわいい。」
可愛いっていいながらハグしてくれる。こんなことされたら他の女の子は勘違いしちゃうよ。
「ありがとう。ほくもかっこいい。」
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