第37話 限界
ホワイトナイトは盾を使い、ゾンビの攻撃を受ける。
これまでよりも防御能力が浄書し、力の強いゾンビの攻撃ぐらいではビクともしなくなっていた。
「ホワイトナイト……こいつは強いな」
「本当に頼りになるよ。行くぞ、ホワイトナイト」
「ビー」
ホワイトナイトが攻撃を受け、僕とウェイブが左右からゾンビに切りかかる。
そして弱ったゾンビをホワイトナイトが止めを刺す。
これまで以上にゾンビを倒す速度が上がり、僕とウェイブは拳を突きつけその事実を喜ぶ。
「強くなるぞ。俺たちは俺たちの夢と復讐を叶えるために強くならなければならない」
「……うん。強くなろう。僕らには力が必要だから」
「ああ。ずっと一緒に強くなろう。これからもずっと一緒にいてくれるよな、レイン」
「当然だよ。だって僕らは家族なんだから」
「……ああ!」
◆◆◆◆◆◆◆
それからも僕らはモンスターと戦い続け、そしてヨワキムたちから逃げ続けていた。
やり返すにもヨワキムのバックには貴族がついており、反撃することができないまま逃げ続けていたのだ。
悔しい思いもしたが、それでもいつか必ずチャンスは巡ってくる。
そう信じて僕らは生き、そして自身を鍛えていた。
気が付けば僕らは十歳になっていた――
「レイン、オレに任せてくれ」
「じゃあ僕は援護に回る」
リオラが風のように森を駆ける。
僕らが相手をしているのはオーク。
以前は命の危険さえも覚えたモンスターではあったが、今の僕らには丁度いい相手であった。
「【エナジーチェーン】!」
僕の魔術の技量は上がっており、それなりにではあるが自分のイメージ通りに扱えるようになっていた。
無属性なんて最初は嫌だったが、今はその自在さに昂奮すら覚えるぐらいだ。
他の属性魔術より威力は劣るものの、僕がイメージするままに姿かたちを変える。
今僕は手の中らから鎖状に変化させた鎖でオークの体を繋ぎ止めたていた。
身動きの取れないオーク。
リオラはオークの頭の上に飛び乗る。
一閃。
リオラの剣がオークの首を斬り落とす。
その様子を見ていたエッジが口笛を吹く。
「さすがリオラ。あんまり活躍したら惚れちゃうぞ」
「惚れるな、気持ち悪りぃ」
「お前は相変わらず女のことばかりだな」
アルバートはエッジに呆れながらも炎を操りオークを炎上させる。
「俺は女のために生きると決めているのさ」
エッジの放った矢が燃えるオークの額を捉える。
「女のためじゃなく、自分のためだろ。お前は女の子と接して喜んでいるだけだ」
「それ正解。お前はこのままいけば堅物になりそうだよな。あ、元々堅物だった」
「うるさい。女にヘラヘラするよりはマシだ」
口喧嘩のようなことをしながらもオークを二人で倒してしまう。
その二人を見てリオラが僕に言う。
「仲良いのか悪いのか分かんねえね」
「全くだね」
「リオラが仲良くしろと言えば仲良くするぞー」
「どうでもいい。勝手にしてろ」
オークとの戦いはまだ続いている。
接近してくるオークに僕は対峙し――胴体を真っ二つに切り分けた。
「やっぱレインはすげーな……あれならリオラが惚れるのも仕方ないな」
「だ、誰が惚れてるんだ! 変なこと言うな!」
「ほら、オークはまだいる。ドンドン行くぞ」
「分かってるって! エ、エッジの言ったこと、気にするなよ」
「う、うん……」
真っ赤な顔で戦うリオラ。
僕は照れつつも彼女たちのサポートをし、皆と自分もそれなりに強くなったと喜びをかみしめていた。
だがそれと同時に僕には悩みが二つほどあり、大きくため息をつく。
「どうしたんだよ、レイン」
「ん? なんでもない」
「なんでもない顔してないぞ。いいから言えよ」
「本当になんでもないんだ。ありがとう、リオラ」
「…………」
少し不服そうな顔をするリオラ。
本当は悩みがあるのだけれど、彼女たちに話すわけにはいかない。
だってこれは自分で解決しなければいけない問題なのだから……
僕は戦いながら、自身の問題に関して考え続けていた。
◇◇◇◇◇◇◇
戦いが終わり、帰宅する僕たち。
食事の用意をエッジが始め、アルバートが彼の手伝いをする。
本当に仲が良いのか悪いのか。
僕はクスリと笑いながら、自分のステータスをアドに確認してもらう。
レイン
召喚戦士
HP (F)100 MP(F) 50
STR(F)50 VIT (F)50
DEX (F)50 AGI (F)50
MAG(F)50 RES(F) 50
INT(F) 50 LUC 41
スキル
アドバイザーⅡ 召喚Ⅱ 基礎剣術 17
抜刀術 7 体術 11 身体強化 22
気配察知 15
僕は確かに強くなっていた。
だが、限界に到達してしまったのだ。
能力値が上昇しなくなり、全てのステータスがカンストした。
もっと強くなりたいのに、これ以上成長しないのだ。
戦い続けても、これ以上強くなれない。
そんな絶望に近い感情が身体にまとわりつく。
才能何て関係ないと信じていても、やはり堪えるものがあるな。
僕はステータス画面を眺めながらため息をつくのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます